分析における革命:次世代を担うOptima AUCの概要

Chad Schwartz Ph.D. | Beckman Coulter, Inc., Indianapolis, IN 46268

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Optima AUCは、ベックマン・コールターの最新のイノベーションであり、これまで使われてきたProteomeLabを上回る分析用超遠心プラットフォームとしての優れた性能を備えている。この新しいOptima AUCプラットフォームでは、多くの面でユーザーエクスペリエンスが向上していることに加え、光学系や駆動系、温度管理システムも大幅にアップグレードされ、データの質と使いやすさの点でエンドユーザーの使用感が全体的に改善されている。タンパク質、ナノマテリアルから、ウイルスベクター、脂質由来のナノ粒子に至るまで、さまざまなアプリケーションの分析がすでにこの新しい装置でなされており、特に多波長分析の場合には、データの質、再現性、および測定能の点において非常に良好な結果が得られている。本稿では、この新型装置の利点と、前述のアプリケーションに関する概念実証データを中心とした情報を提供する。

ProteomeLabとの比較:データの質、正確性、および再現性

図1は、Optima AUCにおけるスキャン頻度とラジアル方向の分解能の向上を示している。スキャン頻度が約5倍、ラジアル方向のデータポイント数が約3倍と、Optima AUCは従来のProteomeLabと比べて約15倍のデータを生成するため、フィッティングが向上し、平均二乗偏差が低くなっている。SEDFITによって作成した図2Aのc(s)プロットは、BSAモノマーのピークについてはProteomeLabとOptima AUCのデータは同等であるが、二量体と三量体間の分解能についてはOptima AUCの方が優れていることを示している。ProteomeLabに見られるBSA二量体の小さな右へのシフトは、1.5 mg/mLでは高次の分子構造を区別できないことを示唆しているが、一方でOptima AUCはシグナル:ノイズ比が高いため、2種類の分子構造を区別できる。図2Bは、Optima AUCの吸光系と干渉系が同等の性能を有していることを示している。さらに、BSAの希釈検定を各装置で5回繰り返し、c(s)プロットを積分して分画含量を求めた。希釈系列の各希釈段階における化学量論的なBSA分画組成について、Optima AUCでは、ProteomeLabと比べて非常に線形的な応答が見られた(図3A)。この結果は、Optima AUCの方が優れた感度を有していることを示している。またこの新型の装置では、化学量論的な組成について各操作間の標準偏差が低くなっており、再現性が向上していることが明らかにされた(図3B)。

 

Raw data collected from sedimentation of BSA for 3 hours at 42,000 rpm and 20°C on Optima AUC (A) and ProteomeLab(B)
図1:Optima AUC(A)およびProteomeLab(B)を用いて42,000rpm、20℃で3時間BSAを沈降させることにより取得した生データ。
SEDFIT c(s) plots of 1.5 mg/mL BSA in PBS between instruments (A) and optical systems of the Optima AUC (B).
図2:SEDFITで作成した1.5 mg/mL BSA(PBS中)のc(s)プロット。機器間(A)およびOptima AUC光学系間(B)の比較。
Fractional content of BSA over 7-fold dilution series in a series of 5 replicates assayed for monomer content (A) and standard deviation (B).
図3:希釈系列のBSA分画含量を5回繰り返して測定した際のモノマー含量(A)および標準偏差(B)。

 

新たに登場したアプリケーション:概念実証

Emerging Applications: Proof-of-Concept

Optima AUCが備えている高いスキャンレート、ラジアル方向の高い分解能、多波長分析機能は、多くの新しいアプリケーションを可能にした。左図は、ヘムを含むミトコンドリア酸化酵素の1つであるチトクロムcを60bpのdsDNAとともに沈降させ、単一のセルを用いた1回の実験において計50種類の異なる波長で分析した結果である。各波長のシグナルをデコンボリューション解析することで、タンパク質およびDNA成分のモル比や相互作用している分子の化学量論的な組成を求めることができる。右図は、NIST標準物質#8011の10 nm金ナノ粒子について、沈降係数を測定した結果である。NISTはこれまで、粒子径の評価にAFM、SEM、TEM、DLS、SAXSといったさまざまな手法を用いてきたが、ここではOptima AUCを使用して、摩擦係数比、沈降係数、および他の手法との同等性を検討した。バッファー溶液中において517 nmでのみ測定を実施したところ、この装置の高速吸光測定システムは、5,000 rpmの測定条件において、ここで使用した重いナノ粒子の特徴を適切に評価するのに十分な回数のスキャンを行うことができた。

Optima分析用超遠心システムは、疾患やその他の健康状態の診断を目的として使用するものではなく、研究用となる。

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