コールター原理を用いた細胞分析

高速、高精度による細胞計数測定

はじめに

Wallace H. Coulter - Beckman Coulter1940年代後半、米国海軍との契約のもと、Wallace H. Coulter (写真)は、細胞数および細胞サイズを測定する方法を開発しました。この方法は、当初、血球を正確かつ迅速に計数するために開発されました。現在、コールター原理は自動細胞計数の98%以上で取り入れられていることから、血液学分野で認められていることが実証されています。過去50年間、この方法は、数千に及ぶ様々な生物学的試料や工業原料の特性評価に利用されてきました。細菌、酵母細胞、薬物、色素、トナー、食品、研磨材、火薬類、粘土、無機物、金属、など多くのものがコールター原理を用いて分析されてきました。この方法は、電解質に懸濁できる粒子の測定に用いることができます。この方法は、国際規格ISO13319に記載されており、いくつかのASTM基準の対象にもなっています。7000以上の文献において、様々なCOULTER COUNTER原理を用いた機器の使用が記載されています。

 

コールター原理

いかに細胞のサイズと数を測定するか

コールター原理は、導電性の液体(希釈液)に懸濁された粒子または細胞が小口径のアパチャーを通り抜ける際に生ずる電気抵抗の変化を検出して測定することに基づいています。細胞または粒子を導電性の液体に懸濁すると、それらは個々の絶縁体として機能します。粒子の希釈懸濁液を小口径の円筒状アパチャーを介して吸引する時、個々の細胞の通過が、アパチャーの両側に位置した2本の電極間(電極は溶液に漬かっています)の電気経路のインピーダンスを瞬時に変化させ、電気パルスを生成します。Figure 1 では、細胞がアパチャー通過をする様子を示しています。

original coulter counter model history

電気パルスの数は細胞計数を示し、生じた電気パルスの振幅は細胞の容積に依存します。電極間の実効抵抗は、アパチャー境界内の導電性溶液の抵抗に起因します。アパチャー内に細胞が存在すると、細胞の体積に応じて、導電面の抵抗が上がります。アパチャー内の細胞の挙動を理論的に実際に分析することで、細胞によって生ずる電気パルスの高さが細胞の体積を最も近似して表す特性であることが分かりました(Eckhoff 1967, Grover et al. 1972, Waterman et al. 1975, Kachel et al. 1976, Harfield et al. 1984)。この方法は、細胞が生ずるパルスを電子的に選択することによって、非常に狭いサイズ範囲に分布する細胞の計数ができるようになりました。

Multisizer 4eで使われているコールター原理

コールター原理による細胞数とサイズの測定

Figure 1. コールター原理による細胞数とサイズの測定

 

なぜサイズ計測は重要か

細胞サイズ分布を解析することで、多くの貴重な情報を得ることができます。これらの情報から、薬剤が組織培養細胞の増殖、細菌の増殖速度、加齢に伴う細胞サイズの変化への影響、および他の生物医学に関する項目にまで及びます。

細胞容積は以下のような多くの生物学的プロセスで変化します。

  • 細胞増殖および細胞周期
  • 細胞死
  • 浸透圧ストレスに対する細胞応答
  • 病原に起因する細胞の変化
  • エンドサイトーシスおよび(貪)食作用

例えば、培養中の増殖細胞は、分裂する前に体積が二倍になる傾向があります。しかし、どのように増殖速度および分裂速度が連動して、細胞サイズが維持されているのか分かっていません。細胞の体積の変化を知る方法の確立は、細胞の増殖と細胞周期を制御する重要な要因になります。

また、適切な細胞数の維持は、細胞増殖と細胞死との間の絶妙なバランスにより成り立っています。このようなバランスにより、細胞が機能的な変化(=細胞数など)が必要なときには、細胞にとって最適な方向へ適応します。細胞死は、少なくとも2つの異なる機構(壊死とアポトーシス)によってなされています。壊死は、細胞膨張、細胞膜の破壊およびそれに伴う細胞内内容物の放出による病態生理学的なメカニズムです。一方、アポトーシスは、プログラムされた細胞死を引き起こすメカニズムです。アポトーシスの特徴の1つに細胞収縮があります。癌を含む多くの疾病モデルは、細胞増殖とアポトーシスのバランスをとるための制御機構が不均衡かつ機能不全になることによって引き起こされると考えられています。

コールター原理は、細胞サイズを研究する上で最も普遍的かつ適応性に富んだ技術の1つです。このアプリケーションノートでは、コールター原理を利用し、代表的な例を紹介します。

 

生物細胞測定のためのガイドライン

以下のページでは、多種多様な細胞種の細胞サイズ測定について異なる例を紹介します。解析に際し、緩衝液と希釈率の両方に関する情報をサイズ分布曲線とともに記載します。これらのデータから、異なる特徴を有する生物の細胞サイズ分布の研究に、コールター原理が感度、精度、および柔軟性をもって解析できることを示します。

細菌

アパチャーサイズ
電解質溶液
調製メモ
希釈率
機種:Multisizer 4e 10 または 20 µmを使用

Isoton II
0.22 µm メンブレンフィルターで2回ろ過

細菌研究にとって、電解質溶液のバックグランドは可能な限り低いことが重要です。自分自身で電解液を作る場合は、ろ過前に適切な静菌剤(例えば、0.1% アジ化ナトリウム)を少量添加する必要があります。

一般的に、計測可能な下限サイズで機器を設定した場合、バックグランド計数の許容レベルは、総細胞数の約1~2%でなければなりません。

電解質中1:10,000

S.aureus cell culture in concentration format

Figure 2. S.aureusの細胞計測:濃度(cells/mL)と細胞径(μm)を測定。中央径の細胞サイズが0.991ミクロンである点に注目。

E.coli cell culture in concentration format

Figure 3. E.coliの細胞計測:濃度(計数値/mL)と細胞径(μm)を測定。中央径の細胞サイズが1.059ミクロンである点に注目。

菌類

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 4e 20 µmを使用

機種:Z Series use 50 µmを使用

Isoton II
0.22 µm メンブレンフィルターでろ過

電解質を0.22 µm メンブレンフィルターでろ過し、電解質中に存在する粗大粒子を除いておきます。

電解質中1:400

Aspergillus in total cell count format

Figure 4. Aspergillusの細胞計測:総細胞数(Total number)と細胞径(μm)を測定しました。1 μm以下において計数値が高いのは細胞内デブリによるものと思われます。

Aspergillus Figure 8 image between 1.6 – 5 microns

Figure 5. Aspergillusの細胞計測:図4のデータにおける1.6~5 μmのサイズ分布を拡大したグラフ。

全血細胞

アパチャサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 70 µm を使用

機種:Z Series 100 µmを使用

Isoton II

電解質を0.22 µm メンブランフィルターでろ過し、電解質中に存在する粗大粒子を除いておきます。

Isoton II 中1:150,000

whole blood from Donor 1. Cell Concentration format

Figure 6. 全血の計測(ドナー1):細胞濃度フォーマット。全血中に大きな2つの異なる細胞集団が存在しています。

coulter principle whole blood from Donor 2

Figure 7. 全血の計測(ドナー2)

Cellular Analysis using the Coulter Principle

Figure 8. 全血の計測結果:ドナー1とドナー2の計測結果を重ね合わせて表示

白血球

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 70 µmを使用

機種:Z Series 100 µmを使用

Isoton II

全血中の白血球細胞を分析する場合、精度を得る上で適切な溶解液の選択が必要です。

Iこの例ではVersaLyse*を溶解液として使用しました。

手順:

  • マイクロチューブに100 µLの全血を添加。
  • VersaLyseを1mL添加。
  • 5秒間ボルテックスを行う。
  • 室温で10分間インキュベート。

* VersaLyseはBeckman Coulterの溶解試薬です。

Isoton II 中1:500

white blood cells from lysed whole blood

Figure 9. 全血を溶解処理したときの白血球細胞の測定溶解処理により、約5 μm付近の赤血球の大きいピークが消失

Whole Blood sample with lysed white blood cell sample

Figure 10. 全血と白血球細胞の計測全血サンプルと溶解処理したときの白血球細胞の計測結果を重ねて表示

ミトコンドリア

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈

機種:Multisizer 10 µmを使用

Isoton II

電解質を 0.22 µm メンブレンフィルターでろ過

ミトコンドリア試料を電解質溶液に添加する前に希釈する必要ありません。20 mLのIsoton IIを含むキュベットに、10、50、または100 μlのミトコンドリア・試料を添加すれば十分です。

ミトコンドリアの直径は非常に小さいので、10 μmのアパーチャーを使用してください。測定毎に、アパーチャーを十分にきれいにすることが重要です。頻繁な洗浄によって、結果としてアパーチャーが詰まる頻度を低くします。暖かいホットプレート上で温められた水の中にアパーチャーを浸し、詰まりを防ぐことも有用です。

なし
ガイドラインの提供元:
Preble, Janine M
Division of Cardiothoracic Surgery, Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical School, Boston, Massachusetts, USA

Size Distribution overlay of Mitochondria of two different concentrations

Figure 11. ミトコンドリアの計測:2つの異なる濃度におけるミトコンドリアのサイズ分布を重ねて表示しました。

哺乳動物細胞および昆虫細胞

アパチャーサイズ
電解質
調整メモ
希釈率

機種:Multisizer 70 µmを使用

機種:Z Series 50 µmを使用

Isoton II

細胞培養培地

細胞培養希釈緩衝液

細胞の研究や保存に用いる細胞培地を電解質溶液として使います。これにより、意図しない細胞の膨張や収縮を防ぐことができます。

Coulter Counterに実装されたコールター原理を用い、培養液の組成を変えることや、また種々の組成物を変えることで集めたデータを分析することで、細胞外溶液の影響を調べることができます。このアプローチを用いることで、細胞の体積の変化を経時的にモニターすることができます。

サンプル濃度を測定容器中溶液の5~10%の間になるように適切な希釈を行ってください。

U937 Insect Cell Line

Figure 12. 昆虫細胞株U937の計測

CHO Cell Line

Figure 13. CHO細胞株の計測図12に示したU937株の細胞体積分布に類似するが、体積のピークの位置において明らかな違いがある。

酵母

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 30 または20 µmを使用

Isoton II

電解質を0.22 µm メンブレンフィルターでろ過

サンプル濃度を測定容器中溶液の5~10%の間になるように希釈。

distribution of Candida in cell volume

Figure 14. Candidaの細胞体積の分布

coulter principle - size distribution of Candida in cell diameter

Figure 15. Candidaの細胞径のサイズ分布

真核性藻類

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 70 µmを使用

機種:Z Series 70 µmを使用

Isoton II

海水

特別な調製不要 サンプル濃度を測定容器中溶液の5~10%の間になるように希釈

Figure 16. 緑藻の計測 緑藻を培養したとき、2つの異なる体積をもった細胞の集団ピークが確認されました。これは親細胞が分裂したときに娘細胞が現れ、結果として2つの細胞集団が出現します。.

References:

Multisizer Series Applications: On-Board Research Ships Studying Algae and Cyanobacteria.
Ondrej Prášil and Katerina Bišová,
Department of Phototrophic Microorganisms – Algatech Institute of Microbiology,
Academy of Sciences of the Czech Republic, v.v.i.

Antoine Sciandra
Laboratoire d’Océanographie de Villefranche, Station Zoologique, Villefranche-sur-Mer, France
Beckman Coulter Application Note B2013-14236

三倍体または二倍体の魚の検証

三倍体の魚において、平均赤血球細胞体積、核容積、線形測定、およびDNA量は、二倍体魚の測定値よりも1.2から1.8倍大きく、両者の測定値結果の重なりはわずかでした。Coulterカウンターを用いて核の体積の平均値を測定することは、二倍体の魚と三倍体の魚とを区別するのに迅速で正確な方法です。

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率

機種:Multisizer 50 µmを使用

Isoton II

特別な調製不要 サンプル濃度を測定容器中溶液の5~10%の間になるように希釈

Two subpopulations of cells in a synchronous culture of green alga

Figure 17.緑藻類の同期培養における細胞の2つの亜群.

References:

Verification of the production of triploid grass carp (Ctenopharyngodon idella) with hydrostatic pressure.
Nigel H. McCarter. New Zealand Journal of Marine and Freshwater Research, 1988, Vol. 22: 501-505

The physiological response of diploid and triploid brook trout to exhaustive exercise. C.A. Hyndman et al.
Comparative Biochemistry and Physiology Part A 134 (2003) 167–179

ヒトおよびブタの心臓由来細胞

アパチャーサイズ
電解質
調製メモ
希釈率
機種:Multisizer 560 µmを使用

Isoton II

400 mLのサンプル容器中で、細胞を撹拌しながらよく懸濁して

サンプル濃度を測定容器中溶液の5~10%の間になるように希釈

cell population differences in human versus porcine cardiospheres

Figure 18. ヒトおよびブタの心臓由来細胞の計測200µmと300 µmの間に大きな凝集体ピークが確認

正確かつ精密な測定を行うために必要な測定方法があります。このセクションでは、実験する上で考慮しておくべき重要な点について説明します。

 

測定精度の確保

適切なサイズのアパチャーを使用

細胞の測定に最も適したアパチャー・サイズを選択することは、細胞の種類に依存しています。サンプルの大部分を占める細胞の直径のサイズが40:1である場合、計測に最も適切なアパチャーを選択することができます。例えば、Multisizer 4eの100 µmアパチャーは、直径が約2~80 µmの細胞を測定することができます。140 µmアパチャーは、約2.8~112 µm.の細胞を測定することができます。

細胞集団が不均一であり、そのため1つのアパチャーが測定し得る範囲より細胞の分布が広い場合があります。このとき、試験結果を重ねることで、細胞サイズ分布を評価できるように、2つ以上のアパチャーを用いて解析することが推奨されます。

より小口径のアパチャーを用いるときに考慮すべき点は、アパチャーの詰まりです。すなわち、サンプル懸濁液に含まれるデブリまたはサンプル自体の凝集によってアパチャーの詰まりが引き起こされます。COULTER COUNTER機器では、アパチャーをモニターすることで、アパチャーの詰まりが容易に分かります。アパチャーが詰まった場合には、通常、瞬間的な逆圧をアパチャーにかけることで、または柔らかいブラシを用いることで、容易に取り除かれます。上記の方法で詰まり取り除くことができない場合には、アパチャー逆圧をアパチャーにかけることで、または柔らかいブラシを用いることで、容易に取り除かれます。上記の方法で詰まり取り除くことができない場合には、アパチャー逆圧をかけることで詰まりを取り除くことができます。小口径のアパチャーを用いる場合、高電流には特に注意してください。なぜなら、それによってアパチャーが損傷する場合があるためです。

適切な電解質の使用

粒子を懸濁するために使う電解液を選択する際には、考慮すべきいくつかの点があります。溶液は、サンプル材料と化学反応を起さないものを選択してください。また、サンプルがきちんと溶液中で分散されるのを選ぶ必要があります。しばしば、界面活性剤や超音波処理による処理が必要になる場合があります。また、溶液(中)には、測定したい粒子の範囲内に別の粒子を原則的に含まないものでなければなりません。電解液は、0.22または0.45 µmのメンブレンフィルターを用いて通常ろ過されます。

電気的に、溶液は、塩化ナトリウム溶液(0.2~20%(w/v))と類似の特性を持たなければなりません。溶液中で測定されるアパチャー抵抗は、1~100kΩ、理想的には約5~40kΩの間です。コールター原理は当初、血液細胞の計数に用いられ、最も頻繁に使用される電解液は、生理食塩水(0.9 g NaCl/100 ml H2O)です。Beckman Coulter Isoton II希釈液はろ過されたリン酸緩衝液で、ヒト血液細胞に対して化学反応性はありません。そのため、ほとんどの生物細胞や多くの工業用サンプルの懸濁液として高く推奨されています。

既に述べたように、コールター原理は、電解液に懸濁できる細胞または粒子の、数やサイズの測定に用いられます。大きなサイズの粒子を懸濁するためには、グリセロールまたはスクロースなどの増粘剤を添加して溶液の粘度を高めることが必要になる場合もあります。直径が大きい(d≥560 µm)アパチャーを低粘度の電解質が通り抜ける際に、電解質に乱流が生じてノイズを発生させます。増粘剤は、そのようなノイズを減らすのに役立ちます。強力なの撹拌と、増粘剤を用いても、懸濁中で十分に撹拌されず、結果として再現性のある精度の高い計測ができない場合があります。その原因は、コールター原理による容器の選択にあります。すなわち、丸底ビーカーが実質的に平底ビーカーに置き換えられてしまい、粒子の濁液に問題がでることです。丸底ビーカーは、懸濁液全体に粒子の均一な分散を可能にするので、再現性のある測定値が得られます。

小口径のアパチャーで作業する場合、システムとアクセサリを充填、洗い流し、または洗浄するのに用いられる脱イオン水および/またはIsoton IIを、事前にろ過する必要があります。溶液と化学反応を起さない0.2-μmフィルターでIsoton IIまたは希釈液をろ過します。さらにろ過するために、 0.1-μmフィルターを0.2-μmフィルターと連続させて使用することもできます。フィルターの供給元に連絡して、用途に応じた適切なろ過材を決めてください。

アパチャーの校正

COULTER COUNTERは、2つの重要な基礎的データの測定(細胞の計数と細胞の体積)を行うことができます。細胞の計数は、校正を必要としません。原理は、正確なものと見なされ、同時期に計数した値と変わりありません(再現性の確保)。しかし、細胞サイズは校正する必要があります。

校正は、標準材料(例えば、ポリマーラテックス試料と標準物)を用いておこなわれます。NISTトレーサブルな校正標準を、ベックマン・コールターから得ることができます。これらは、サイズの範囲が狭いラテックス・サンプルがあり、そのサイズは別の方法によって正確に測定され最頻径に対して標準化されています。材料を測定して、生じたサイズ分布の最頻径はラテックスの想定された値に関連しています。

適切なサンプル濃度の調整

測定精度を最大にするためには、精度に影響する可能性のある2つの要因があり、これらを考慮しなくてはなりません。まず、計数した粒子の総数は、十分に高いものでなければなりません。第2に、粒子の濃度は、一致限界を超えてはいけません。複数の粒子または細胞が同時に感知ゾーンを移動する時に、一致(コインシデンス)が生じます。言い換えれば、理想的な計数条件は、粒子濃度が低く、大きな測定容量で測定することです。通常、これらの条件は、希釈されていないサンプルでは、これらの理想的な計測条件を満たしていません。しかし、重要なことは、任意の粒子カウンター/サイザーは統計的にも信頼性を高めるため、多数の粒子を測定する必要があることです。かなりの数の計数値を累積することが可能ではない場合、すなわち100細胞以下の場合、測定を3回反復実施し、3回の測定から得られた値の平均値を用いることをお勧めします。

 

結論

細胞が細菌、動物細胞、またはプランクトンであるかどうかにかかわらず、コールター原理は、細胞のサイズを調べるための、また細胞数を計数するための最も普遍的であり、応用可能な技術の1つです。1940年代後半に開発された技術であることから、安定した実績のある技術として認められています。

 

著者

Matthew Rhyner Ph.D., Giovanni Prestigiacomo, Kapil Kumar Ph.D., and Lena Lee

 

Exosome Research Illustration

コールター原理

コールター原理の歴史から基礎情報を始め、コールター原理を用いた粒子・細胞径分布・計測装置「Multiseizer 4e」によるアプリケーション情報など役立つ情報を紹介しています。

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Multisizer 4e coulter counter for particle characterization

Multiseizer 4e

Multisizer 4eは、0.2~1,600 μm の範囲で測定ができる高精度で多機能な粒子・細胞径の分布・計測装置です。粒子・細胞を実測するため、色、形状、組成、屈折率などの影響を一切受けず、様々な粒子・細胞の個数、体積、面積粒度分布の測定が可能です。

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