ミネラルウォーター製造工程のばらつき最小化

はじめに

HIAC 8011+は、ミネラルウォーター製造工程の多くのクリティカルポイントにおいて、粒子数測定に使用することができます。ミネラルウォーターは、製造メーカーや最終製品の性質により、それぞれ独自の測定基準や粒子数を監視する重要工程管理ポイントを持っています。これらの分析により、工程の再現性、反復性を評価することで、最終製品における一定した品質を維持することができます。

作業工程がすべて

製造において何らかの精製(ろ過)手法を導入する場合、飲料水のろ過効率および精製プロセスの一貫性を、液中パーティクルカウンターHIAC 8011+による飲料水(製品)の粒子数測定で確認することができます。また、この重要なステップにおける決定的かつ客観的な合否判定を確立することができます。精製後にミネラル成分を追加することにより、風味や飲みやすさを向上させるプロセスが加わることもあります。このプロセスの評価としてもHIAC 8011+を使用でき、最終製品の一貫性と反復性を評価するもう1つのポイントになっています。さらに、容器に充填した後、再度粒子数を分析することで、充填した容器からの汚染がないかどうかを判断することができます。最後に、最終的な品質工程の重要な点は、容器自体の材料配合の影響および輸送中の手荒な取扱いや消費者による取扱いを評価することです。条件に変わりがないとすると、これら品質検証後に明らかに粒子数が増えていた場合、容器自身からのプラスチック粒子の剥離、混入を考える必要があります。
ミネラルウォーターで使用する水の入手先は、湧水・伏流水・深井戸に代表される天然水のほか、製造メーカーによっては、蒸留もしくは逆浸透(RO膜)により精製などの代替処理を施すところもあります。弊社のこれまでの経験によると、各拠点における自社ラボ試験において、ほぼすべての製造メーカーは、粒子数測定による品質管理に関して、それぞれ独自の合否基準を持っています。これまで述べてきたように、性質が異なる数多くの製品や異なる関連処理技術を採用していることが要因といえます。このことは、メーカーを問わず、品質・工程管理用の測定装置としてHIAC 8011+を使用することで、複数の製造拠点間や地理的条件のばらつきを最適化、制御し、標準化を図ることができることを意味しています。

工程管理における重要サンプルポイントの一例

  • 原水。粒子数の基準を決定します。これは、ミネラルウォーターの製造工程にけるプロセス安定性および(もしくは)ばらつきを測定する重要なポイントです。
  • 精製後(処理が行われた場合)。粒子数を目安にしてフィルター効率と機能性を測定します。
  • 充填前(風味や飲みやすさを向上させた後)。風味、安定性、一貫性に直接、影響を及ぼす成分がさらに添加された後の工程において新しい判定基準を確定します。
  • 充填後。キャッピング工程で製品が汚染されていないことを確認します。
  • 最終的なQA/QCにより、世界中のどこの製造拠点であるかにかかわりなく、最終製品が一定の品質を保っていることを確認します。

品質を向上させるさらなるアクションと懸案事項

  • 出荷後または、手荒な取扱いを意図的に行った製品を検定することにより、容器に異常がないかを測定します。
  • 姉妹設備における同一工程内検定、最終製品検定を行い、相違点を比較、分析、評価します。この方法は、類似工程の標準化に極めて有効であるといわれています。
  • 工程内の不良を直ちに、正確に是正し、修理完了後に直ちにフィードバックを行うことで、問題の原因を確定します。

HIAC 8011+が選ばれる理由

  • 工程・品質管理用測定装置としてHIAC 8011+が選ばれていることに、いくつもの理由があります
  • HIAC 8011+では、NISTトレーサブル粒子で校正したセンサーを搭載している。
  • 粒子径範囲と流速に応じて複数のセンサーから選択できる。
  • 最大18チャネルを設定できるカスタムレポート規格設定機能を搭載している。
  • 減圧脱泡システムを内蔵しているため、前処理を行わず簡単に測定できる。
  • 加圧サンプリング機構(最大90 PSI)により、カウントエラーの原因になる気泡の発生を予防できる。
  • 大型の加圧チャンバーを搭載しており、様々な容器サイズに対応できる。
  • ウェブサーバー接続に対応しており、データへリモートアクセスできる。
  • 各国に拠点があり、販売およびサポートを全世界で行うことができる。

Bill F. Bars

ミネラルウォーターはすべて同じように製造されているとは限りません。製品の種類の多さだけでも膨大であり、しかも、その製品ごとに製造方法やボトリング方法が違います。その多様性の中にあっても、誰もが求めるのは、風味や製品の品質が一定に保たれ、安全性が第一だということです。

液中パーティクルカウンター HIAC 8011+は、このNISTトレーサブルな装置をミネラルウォーター製造工程管理ポイントでの粒子数モニタリングに効果的に使用し、製品のばらつきをモニタリング、さらには品質目標が維持され一定であることを評価できます。
処理方法のいかんにかかわらず(蒸留もしくは逆浸透(RO膜)により精製、もしくは天然水の直接ボトリング)、工程管理において厳密に分析しなければならない重要なパラメーターがあります。
つまり、最終製品のいかんにかかわらず、HIAC 8011+による粒子数カウントが、ミネラルウォーター製造工程における製品のばらつきをモニタリングおよび検出するために効果的で効率的な方法であるといえます。


著者:

Bill F. Bars(ビル F バーツ)は、ベックマン・コールター粒子計測部門のシニアアプリケーションサイエンティストです。これまでHIAC 8011+、PODS+、ROCおよびHRLDセンサーなどの多くの液体システムプロダクションプロセスを作成・開発してきました。また、22年以上にわたりベックマン・コールター粒子計測部門において、計測学、カスタマーサービス、テクニカルトレーニングおよびアプリケーションサポートなど技術にかかわる多くの業務に従事しています。加えて、米国フルードパワー工業会(NFPA)の U.S. TAGメンバーとして ISO/TC131/SC 6 (コンタミネーションコントロール)に参加しています

 

 

 

 

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