Multisizer 4eによる脂肪細胞サイズの精密測定
コールター原理(電気的検知帯法)は肥満症患者と健常者の脂肪細胞の大きさの違いを検出します
肥満症は、脂肪細胞の肥大化及び増殖により発症することが知られています。肥満症研究において、脂肪細胞の肥大化を正確に把握する必要があり、そのためには、脂肪細胞のサイズ(体積)を正確に測定しなければなりません。コールターカウンター Multisizer 4eは、脂肪細胞の体積を簡単かつ正確に測定することができますので、脂肪細胞のサイズ測定に有効な測定装置です。Mutlisizer 4eは世界で認められているコールター原理(電気的検知帯法)を用いており、測定範囲は0.2 ~ 1,600 μm、分解能は0.01 μmです。
今回は、オスミウム固定†を用いて脂肪細胞を固定し、ISOTONⅡ(1%生理食塩水)に分散し、脂肪細胞のサイズをMultisizer 4eで測定した結果を紹介いたします。
測定条件
測定装置: Multisizer 4e(電気的検知帯法 精密粒度分布測定装置)
サンプル: 脂肪細胞(健常者と肥満症患者)
分散媒: 電解液(またはISOTONⅡ)
測定範囲: 8~ 240 μm(アパチャー400 μm使用)
使用目的: 健常者と肥満症患者の脂肪細胞の大きさの変化
測定結果
普通の脂肪細胞と肥満症とみられる脂肪細胞を、オスミウム固定法を用いて、Multisizer 4eで測定した結果を、図1 に示しています。この2種類の脂肪細胞を直径ベースで計算した場合、約2倍の差がありましたが、体積ベースでは約10 倍の差となりました。Multisizer 4eは脂肪細胞の体積を測定する方法なので、微小なサイズ(体積)変化を捕らえることができ、異常な脂肪細胞を検出することに有用な装置であると考えられます。
図1. 普通と肥満症の脂肪細胞の粒度分布

Multisizer 4e について
測定原理: 電気的検知帯法測定範囲: 0.2 ~ 1,600 μm
最大カウント数: 500,000個
使用可能溶媒: 水、極性有機溶媒に対応
特長
- コールター原理(電気的検知帯法)を用いた粒子数及び体積測定
- 粒子の体積を計測しているため、粒子の微小な変化でも検出可能
- 個数、体積、面積の粒子径分布を測定
- カウントする際に、粒子サイズをみているため、悪影響を与える凝集粒子が無いかの確認が可能
- GMPに対応
原理粒子が検知帯(アパチャー感応領域)を通過する際に生じる、2電極間の電気抵抗の変化を測定します。電解液溶液中に懸濁させた粒子が、バキュームによりアパチャー(細孔)の検知帯を通過する際に、粒子体積分の電解液が排除されます。この排除された電解液の体積を電圧パルスとして測定します。このパルスの大きさが粒子体積に、パルスの発生数が粒子数になります。これによって、粒子の正確な体積から粒子径(粒度分布)と粒子数を 測定することができます。 |
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† Skp2 Controls Adipocyte Proliferation during the Development of Obesity* Tamon Sakai, Hiroshi Sakaue, Takehiro Nakamura, Mitsuru Okada, Yasushi Matsuki, Eijiro Watanabe, Ryuji Hiramatsu, Keiko Nakayama, Keiichi I. Nakayama, and Masato Kasuga VOLUME 282•NUMBER 3• JANUARY 19, 2007
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