ワクチン開発・製造を推し進める

ワクチン開発・製造のための効率的な遠心システム

Egg著者

Chad Schwartz, PhD, Senior Application Scientist

Beckman Coulter, Inc., Life Sciences, Indianapolis, IN USA

ワクチンの性能が向上し、QOLを大きく改善できるようになったことで、ワクチンの需要がさらに高まっている。新たながん治療や季節性インフルエンザの予防に用いるものから、バイオテロや新興感染症の脅威を防ぐものまで、これまで以上に優れたワクチン製品が求められるようになってきた。ベックマン・コールターは、ワクチンの開発および製造を後押しするための遠心分離関連製品を幅広く提供している。ワクチンの製造初期に実施する細胞の除去から、不活化ウイルスの精製・分離に至るまで、ベックマン・コールターはそれぞれの研究室に最適な遠心機を揃えている。当社の遠心分離製品のラインナップには、70年を超える歴史の中で蓄積してきた専門知識が生かされており、どの製品も短時間で高品質の遠心分離を提供できる。ウイルス、細菌、細胞など、ワクチンのベースとする材料の種類にかかわらず、当社の遠心分離技術は、作業工程を高速化することに加えて、収量も増加させることができるため、ワクチンの開発・製造におけるハードルの高い目標の達成が可能になる。ベックマン・コールターは分離用遠心機のほかにも、生死細胞オートアナライザー、フローサイトメトリー、分析用超遠心システムなど、ワクチン開発環境を補完するソリューションを提供している。高品質なワクチンを作り始める最初の段階から、製品を人々に届ける最後の工程に至るまで、開発・製造全体におけるパートナーとして、当社を利用していただきたいと考えている。

Beckman Coulter Avanti JXN-26 and Optima XPN 100性能

当社の機器、ロータ、チューブ、ボトル、およびアダプタは、合わせて使用した際に1つの総合的なシステムとして機能するように設計されている。モジュール方式を採用し、ロット間の比較ができるようにしたことで、クロスコンタミネーションの問題にも対応している。このおかげで、ワクチンの市場投入までの時間を短縮し、医薬品の開発コストを削減し、さらに最適な投与効果を保証することができる。ベックマン・コールターはこれらの点で期待に応えるべく、長期間にわたって確実なサポートを提供している。
当社の機器やロータは、使用者である研究者たちが持っている、より高速で遠心したい、温度管理や真空システムの制御をより厳密にしたい、容量を大きくしたい、迅速・正確・ハイスループットでありながら再現性の高い分離を簡単に行いたい、といった希望を念頭に置いて設計されている。

規制への対応

Avanti JXNおよびOptima XPNソフトウェアには、トレーサビリティ機能および稼働に関する電子記録機能が搭載されており、21 CFR Part 11への準拠およびGLP/GMP環境をサポートしている。組み込まれたソフトウェアが、稼働パラメータ、使用履歴、ロータサイクルなどの長大なリストを追跡する。Avanti JXN/Optima XPN遠心機の21 CFR Part 11への準拠の詳細については、Application Note CENT-512APP09.14-Aを参照のこと。

Workflow screen capture from Optima XPN.
Optima XPNのワークフロー画面。

柔軟性

ベックマン・コールターは、遠心分離技術を牽引する世界的企業として、世界中のワクチン開発・製造施設の生産性、業務効率、コンプライアンスを向上させる革新的な遠心分離ソリューションを提供している。ベックマン・コールターの遠心分離ソリューションは、研究開発から製造・バリデーションに至るまで、ワクチンプロセス全体を通して、施設固有のニーズに応えることが可能である。当社の製品ラインナップには、ワクチンに関連したニーズに合わせて研究者が最適なものを選択できるよう、最高品質の遠心機およびロータシステムが幅広く揃えてある。遠心機、ロータ、チューブ、およびアクセサリを統合的な形で扱っているため、ベックマン・コールターのシステムを高度にカスタマイズして多機能的に使用することができ、これによって作業プロセスの各段階における効率性、生産性、安全性が確保されている。

使いやすさ

ベックマン・コールターの直感的でユーザーフレンドリーな機器操作用ソフトウェアを使用することで、研究室内だけでなく離れた場所にいても遠心機の操作を簡単にプログラムできる。Optima XPN/Avanti JXNソフトウェアは、大型デジタルディスプレイ上において、包括的なヘルプオプションやユーザーがプログラムしたワークフロー、印刷可能な形の稼働レポートを、タッチスクリーン形式で表示することができる。Optima XPNとAvanti JXNのソフトウェアシステムには一貫性があるため、ユーザーが機器間を行き来しても簡単に操作を行うことが可能である。また、人間工学に基づいたシステム設計により、オペレータの安全性、快適性、生産性が向上しており、研究者がストレスを感じることなく操作できるようになっている。

JCF-Z reorienting gradient rotor for high-throughput virus and cell isolation.
図1.実験のセットアップおよび分注した菌サンプル。

クリーンルームへの適合性

ベックマン・コールターのBioSafe遠心分離システムは、医薬品グレードの滅菌フィルターシステムを搭載しており、エアロゾル等の好ましくない形で、粒子がワクチン製造環境へ漏出することを防止できる。また、当社が提供している医薬品グレードの滅菌フィルターは、管理環境下で製造され、品質に関する種々の試験に合格している。フィルター部分は、米国薬局方(USP)の最新の改訂版に収載されている、クラスVIの121℃対応プラスチックおよび細菌捕集性能に関する生物学的試験の仕様を満たしており、FDAのガイドライン「Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing-Current Good Manufacturing Practice」の該当する要件にも適合している。さらにこのフィルターシステムは、米国連邦規則集(CFR)のTitle 21、Part 211.72および210.3(b)(6)「酸化性物質(oxidizable substances)、pH、および発熱物質」の項に準拠した清浄度の試験も受けている。

模範的なサービス

当社の卓越性、品質、および顧客サービスに対する高い評判は広く認知されているため、世界中にあるバイオテクノロジーの研究施設が遠心分離の課題に直面した際に、解決策を求めて当社を利用している。ワクチン開発・製造のための当社の遠心分離技術は、生物製剤に求められる厳しい環境基準を満たすよう設計されている。ベックマン・コールターでは、ISO 9001認証を受けたフィールドサービスチームがその技術を支えている。工場で訓練を受けた認定エンジニアが当たっている当社のサービス業務は、業界において比類のない評判を得ている。また当社では、据付時適格性確認および稼働性能適格性確認(IQ/OQ)を行うことに加えて、知識豊富なカスタマーサービス担当者が要望に対して迅速に対応できるため、施設を効率的に稼働させ続けるためのサポートを行うことができる。

 

強力な製品ラインナップ

ベックマン・コールターは、高性能な超遠心機を数多く製造・サポートしている。表1には一部ではあるが、ベックマン・コールターの遠心機の中でもワクチン開発で最も多用される4機種に加えて、ワクチン製造においてこれらの遠心機に搭載してよく使用されているロータを示した。多くのロータは、異なる遠心機のシリーズ間で交換することが可能である。さらにベックマン・コールターは、生物学的材料の遠心分離を大幅に改善するシングルユースのHarvestLine遠心用ボトルライナーも提供している。HarvestLineシステムのライナーを使用することで、遠心ボトルから固形物を回収する際に時間をかけて手作業でスクレイピングする手間を排除するとともに、オペレータのバイオセーフティを向上させることができる。HarvestLineのライナーは、滅菌(ガンマ線照射)および冷凍保存が可能であるため、製造工程を円滑に進めることが可能になる。

1. ワクチン製造において使用されるベックマン・コールターの遠心機および搭載されるロータ。

 

Optima XPN Ti-15ゾーナル 最高回転数: 32,000 rpm
容量:1,675 mL
最大流速:50 mL/min
細胞内粒子および抗原を効率的に分離
SW-32 Ti 最高回転数:32,000 rpm
容量:231 mL
レートゾーナル遠心による粒子の分離
CF-32 Ti連続処理 最高回転数: 32,000 rpm
容量:430 mL
流速:150 mL/min
大型のウイルスおよび細菌のハイスループットな分離
Type 45 Ti固定角 最高回転数: 45,000 rpm
容量:564 mL
レートゾーナル遠心による粒子の分離
Avanti JXN-26 JLA-8.1000固定角 最高回転数:5,000 rpm
容量:6,000 mL
大容量での細胞、ウイルス、および沈殿物の処理
JLA-9.1000固定角 最高回転数:9,000 rpm
容量:4,000 mL
大容量での細胞、ウイルス、および沈殿物の処理
JCF-Z勾配再配向 最高回転数: 20,000 rpm
容量:1,750 mL
小型または大型のウイルスや細菌、細胞全体の処理
JCF-Z連続処理 標準ペレットコア 最高回転数:20,000 rpm
容量:1,900 mL
ウイルスおよび細菌のハイスループットな分離および濃縮
Avanti J-HC JS-5.0スウィングバケット 最高回転数:5,000 rpm
容量:9,000 mL
非常に高いスループットでの細胞回収
J6-MI JS-4.2スウィングバケット 最高回転数: 4,200 rpm
容量:6,000 mL
大量の細胞、細胞残渣、および沈殿物の迅速なペレット化
JE-5.0エルトリエータ 最高回転数: 5,000 rpm 生細胞の大きな集団を穏やかな条件で回収するための強力な技術

 

Fig. 1. Typical workflow for egg-based influenza vaccine manufacturing.1
図1.鶏卵を用いてインフルエンザワクチンを製造する一般的なワークフロー。1

ワクチン開発のワークフローとベックマン・コールター

ワクチン開発には大きく分けて2種類の方法がある。鶏卵を使用する方法と細胞を使用する方法である。図1には、鶏卵を用いたインフルエンザワクチン製造の典型的なワークフローを示している。上流工程では、まずバイオセキュアな鶏の集団から発育鶏卵を入手し、これにウイルスを接種した後、数日間培養してウイルスを十分に増殖させる。その後、卵にヒビが入っていないか光を当てて確認し、一晩冷却する。翌日、尿膜腔液を回収し、製造に必要となる量に応じて適当な遠心分離を行って清澄化する。Avanti JXN-26は、このステップのワークフローに対応できる十分な容量を持っていることに加え、必要なスピードも備えているため、この用途における最適な装置である。
その後、ウイルスを化学的方法で不活化し、さらにろ過・濃縮を行う。現在は、スクロース溶液中でゾーナル遠心を行うことで、ウイルスをその他の汚染粒子から大きさや形状によって分離する方法が取られている。このステップでは、十分な分離速度を備えたOptima XPNを活用することで、適切に分離を行うことができる。さらに、回収したウイルスに対して界面活性剤を用い、ウイルス膜を可溶化して分割する。その後、遠心分離によってサイズの大きな汚染物質を除去し、再度清澄化する。このステップで再び役に立つのは、Optima XPNである。ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼのサブユニットタンパク質を単離した後、2度目のホルマリン処理によって不活化し、さらにろ過操作によって超精製・濃縮を行う。鶏卵ベースのワクチン開発プロトコルでは、ほとんどの場合、遠心分離ステップを3~5回実施するが、必要となるスピードや容量は製造工程によって様々である。このプロトコルは約7日間かかることに加えて、精製を行った後には、さらにバリデーション、製剤化、品質管理、およびロットリリースといった工程が待っている。

ベックマン・コールターの遠心機は、鶏卵ベースおよび細胞ベースのワクチン開発のいずれにも対応可能である。細胞ベースのワクチン開発には、製造全体において鶏卵を必要としないなど、多くの潜在的な利点が存在する。また、製造操作の再現性が高く、標準化もされているほか、より短期間で製造を行える場合もある。下流工程は、細胞ベースのワクチン開発においても、鶏卵ベースの製造と同様に、遠心分離、不活化、およびろ過を何度か繰り返して行う必要がある。上流工程は、まず凍結保存された細胞をインキュベーター内において37℃で少量培養するところから始まる。培養をスケールアップし、細胞が一定の密度に達した後、細胞を入れたバイオリアクター内にシードウイルスを添加し、ウイルスを細胞株に感染・増殖させる。その後、ウイルスを回収し、遠心分離を行って清澄化する。

ワクチン製造には、最先端の研究者が使う洗練された機器が必要である。革新的な遠心技術によって世界を牽引しているベックマン・コールターは、研究室にとって最も効率的なワークフローを構築できるよう、適切な装置の選択をサポートしている。

CENT-751APP01.15-A

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