半導体封止材のクラックを引き起こすシリカ中の粗大粒子の検出

Multisizer 4eを用いたシリカの粒度分布測定と粗大粒子の検出

 

半導体は様々な電子機器に用いられている基幹部品で、特に近年5G通信が進むスマートフォン、タブレット端末、リモートワークに用いられるWebカメラ、そして空撮に用いられる無人航空機(ドローン)などに多く採用される半導体は、高性能なまま小型化、薄型化、軽量化することがトレンドです。このように半導体のいわゆるコンパクト化が進むことで、半導体基板上の集積回路の微細化による集積密度が上がり、単位面積当たりの発熱量が大きくなります。その発熱による熱暴走を防止するために用いられているのが半導体封止材です。 小型高性能化が進むにつれ発熱量が大きくなりますが、この時、問題となるのは、封止材に使用されるクラック(ひび割れ)です。この原因は多々ありますが、物理的に解消できる方法として、封止材シリカの粗大粒子を検出し、除去するのが非常に有効な方法だと言われています。 本稿は、コールターカウンターの最新モデルである精密粒度分布測定装置(Multisizer 4e)を用いて、封止材材料の一つであるシリカ粒子中の粗大粒子の検出例をご紹介いたします。

図1. 半導体封止材のクラック(ひび割れ)発生の模式図

 

測定条件

測定装置:  Multisizer 4e(電気的検知帯法 精密粒度分布測定装置)
サンプル:  シリカ粒子(推定粒径:10 nm ~ 1 μm)
分散媒:   電解液(またはISOTONⅡ)
測定範囲:  0.2 ~ 6 μm(アパチャー10 μm径使用)
使用目的:  シリカ粒子中の粗大粒子の検出

 

測定結果

測定したシリカ粒子の粒度分布測定結果を個数表記と体積表記で表したものを次のページに示します。双方同サンプルの結果ですが、前者は個数頻度で分布を取り小粒径側が強調されるのに対し、後者は計測された粒子体積の総量に対する各粒子の体積の割合で分布を取るため、大粒子側が強調されます。

図2. シリカ粒子の粒度分布測定結果(個数表記:5万個測定)

 

図3. シリカ粒子の粒度分布測定結果(体積表記:5万個測定)

 

考察

図2の個数表記による粒度分布測定結果にある通り、2 μm以上に7個の粗大粒子が検出されています。数は7個と少ないですが、図3の体積表記による粒度分布測定結果にある通り体積比で見ると16.18%も存在します。封止材に製品に混入した場合は、かなりの比率を占めてしまい、高充填がしにくくなり、ほかの部位とは異なる密着性の問題や熱膨張率などによりクラックの原因になります。

 

Multisizer 4e について

測定原理:     電気的検知帯法
測定範囲:     0.2 ~ 1,600 μm
最大カウント数:  500,000個
使用可能溶媒:   水、極性有機溶媒に対応

 

特長

  • 世界の標準法であるコールター原理(電気的検知帯法)を採用
  • 粒子の体積を計測しているため、粒子の微小な変化でも検出可能
  • 個数、体積、面積の粒子径分布を測定
  • カウントする際に、粒子サイズをみているため、悪影響を与える凝集粒子が無いかの確認が可能
  • GMPに対応

 

※すべての図および表のデータは、ベックマン・コールター社内データです。
Beckman Coulter、Beckman Coulter ロゴは、Beckman Coulter, Inc. の登録商標です。

 

 

 

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