ドライ抗体試薬DURACloneを用いたフローサイトメーターCytoFLEXによるヒトT細胞サブセットの13カラー解析

Content Type: Tech Note
Authors: Nicole Weit1, Michael Kapinsky2, Andreas Böhmler1

Affiliation:

1 Beckman Coulter GmbH, Krefeld, Germany

2 Beckman Coulter Immunotech S.A.S, Marseille, France

 

要約

マルチカラーのフローサイトメトリーは、不均一なヒトT細胞を解析するための強力なツールです。10カラーのDuraClone IM T 細胞ドライ試薬パネル(CD45RA-FITC、CD197-PE、CD28-ECD、CD279-PC5.5、CD27-PC7、CD4-APC、CD8-Alexa-Fluor* 700、CD3-APC-Alexa-Fluor* 750、CD57-Pacific Blue*、CD45-Krome Orange)と、紫色レーザー用の3種類の液状抗体(Brilliant Violet 605TM抗ヒトCD95、Brilliant Violet 650TM抗ヒトCD25、Brilliant Violet 785TM 抗ヒトCD127抗体)を用いて、主要な末梢T細胞サブセットを、サンプル調製の労力は最小限にとどめながら、従来および最新の分類基準に基づいてT細胞を同定する13カラーチューブをデザインしました。

 

はじめに

Tリンパ球(T細胞)は獲得免疫系の主要部分を形成する細胞であるため、研究者の注目を集めています。最近の研究例としては、国際研究機関ONE Study (www.onestudy.org) と、欧州委員会の助成を受ける免疫モニタリング分野の国際的専門家グループBIO-DrIM (www.biodrim.eu)によるものが挙げられます。この研究において、フローサイトメトリーの専門家が、ヒトの免疫応答の研究に使用するマーカーと色素の選択を設計・最適化しています [1] 。

この両グループとベックマン・コールターとの密接な協力によって、ヒト免疫細胞解析用のドライ試薬DuraClone IMシリーズが開発されました。10カラーのDuraClone IM T細胞サブセットキットと3つの液状抗体を用いて、主要なT細胞サブポピュレーションの表現型解析を行うための13カラーチューブをデザインしました。

 

手順

インフォームドコンセントの実施後、健常ドナーから採取したヒト末梢血100 μLをDuraClone IM T 細胞サブセットドライ抗体チューブ(ベックマン・コールター)に加え、続いて、Brilliant Violet 605TM抗ヒトCD95、Brilliant Violet 650TM抗ヒトCD25、Brilliant Violet 785TM抗ヒトCD127抗体(BioLegend)をそれぞれ5 μL添加しました。サンプルを8秒間混合し、室温・暗所で15分間インキュベートしました。VersaLyse Lysing solution2 mLとIOTest 3 Fixative Solution50 μL(ともにベックマン・コールター)を添加して赤血球を溶血しました。インキュベーション(室温で20分間)後、懸濁液を遠心(200 x g, 5 min)し、上清を除いた後、ペレットを3 mL 1 x PBSに再懸濁しました。さらに遠心と上澄み除去を行った後(上記参照)、細胞ペレットを500 μL 1 x PBSに再懸濁し、13カラー/ 3レーザーCytoFLEXフローサイトメトリーシステム(ベックマン・コールター)で分析を行いました。

 

結果

細胞機能、分化、活性化に関係する表面分子の特異的な発現に基づいて、T細胞サブセットの解析が行われてきました [2]。その結果、T細胞の解析では、これまで報告されてきた様々なポピュレーションを捉えるために多数なマーカーが必要とされます[3]。ここで使用した13カラーチューブは、表面マーカーの発現パターンによって分類することのできる多くのメモリーT細胞のサブポピュレーションを特定できます。この13カラーチューブは、5-3-5光学レイアウト(488および561 nm / 638 nm / 405 nm)を有する全てのフローサイトメーターに適しており、サンプル調製は基本的にわずか4ステップのピペット操作に減少します。

 

参考文献

1. Streitz M. et al. Standardization of whole blood immune phenotype monitoring for clinical trials: panels and methods from the ONE study. Transplantation Research 2013 2:17.
2. Appay V. et al. Phenotype and function of human T lymphocyte subsets: consensus and issues. Cytometry A 2008 73A: 975.
3. Mahnke Y.D. et al. The who’s who of T-cell differentiation: Human memory T-cell subsets. Eur. J. Immunol. 2013 43: 2797.

 

注記

本アプリケーションシートの研究結果は、レーザー構成が488 nm / 638 nm / 405 nmのベックマン・コールターCytoFLEXフローサイトメーターによって測定されたものです。分析機器により性能が異なるため、他のフローサイトメーターを使用して同様の結果が得られるという保証はできません。

 

試薬

 試薬 メーカー 製品番号
 DuraClone IM T Cell Subsets Kit Beckman Coulter B53328
 VersaLyse Lysing 溶血試薬 Beckman Coulter A09777
 IOTest 3 Fixative 固定試薬 Beckman Coulter A07800
 Brilliant Violet 605 anti-human CD95 BioLegend 305628
 Brilliant Violet 650 anti-human CD25 BioLegend 302634
 Brilliant Violet 785 anti-human CD127 BioLegend 351330

 

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