研究に最適な卓上遠心機を選択するポイント

April 2017

国立大学法人 東京工業大学 生命理工学院
准教授 蒲池 利章 先生

国立大学法人東京工業大学生命理工学院 蒲池研究室では、卓上遠心機Allegra X-30Rを二台運用されており、一台はタンパク質の実験に、もう一台は細胞の実験に使用されています。今回、蒲池利章先生と配属生の松崎真衣さんに、Allegra X-30Rを選ばれた理由と、その使い勝手についておうかがいする機会を得ました 。

 

 

 

 

研究背景

蒲池先生研究室の一つのグループは、タンパク質の中に金属が配位している金属タンパク質を研究対象にされており、金属タンパク質の遺伝子工学的な改変などにより有用物質の生産を目指されています。もう一つのグループは、細胞内に金属を含むりん光性化合物を取り込ませ、その発光現象を観察することで酸素濃度のイメージングを研究されています。このようなタンパク質や細胞関連の研究をされる上で、どのような理由で遠心機を選択されたのか、およびその使い勝手についてお話ししていただきました。

タンパク質実験における遠心機を選ぶポイント

タンパク質の精製は工程が多く、様々な場面で遠心機が用いられます。スペースの有効活用ができ、さらに、様々なロータが選択できる、汎用性に富んだ小型の冷却遠心機の選択は重要であるとおっしゃいます。実際には、比較的小型で、いろいろな遠心チューブが使え、大容量から小容量のサンプルまで遠心することができる冷却遠心機を選定した結果、Allegra X-30Rの購入を決められたそうです。Allegra X-30R用には多くの種類のロータを販売していますが、数種類のスウィングロータと固定角ロータを購入し、その中から最適なロータを選択して実験をされています。その中でも、固定角ロータは、コニカルチューブを高い遠心力で処理できるC0650ロータ (6本×50 mL コニカルチューブ, 最大回転数 10,000 rpm, 最大遠心力 10,400 xg)、C1015 ロータ(10本×15 mL コニカルチューブ, 最大回転数 10,000 rpm, 最大遠心力 10,416 xg)とF2402Hロータ (24本×1.5/2 mL コニカルチューブ, 最大回転数 18,000 rpm, 最大遠心力 29,756 xg)をメインに使用されていました。

細胞実験における遠心機を選ぶポイント

細胞実験においては、培養細胞を遠心沈降させる用途で遠心機を用いられています。特に細胞の実験では、短時間で操作を終わらせる必要があることが多く、すばやく作業が行えるように、セーフティキャビネットと遠心機、顕微鏡などの最適な配置を考慮する事が重要だということでした。蒲池先生の研究室の場合、セーフティキャビネットでサンプルを準備した後に、座ったまま椅子を回転させて、遠心機にサンプルを入れることができる配置にされています(Fig. 1)。本体が低い位置に設置できる遠心機を採用する事で、セーフティキャビネットでの操作から、スムーズに遠心操作に移行出来るとのことでした。また、遠心機本体の高さが低ければ、ロータの交換なども容易にでき、素早い実験が可能になるとのことでした。


これらの条件を満たすため、Allegra X-30Rを専用架台(ロータイプ)に載せて、運用されています。また、この遠心機のスウィングロータSX4400は、最大容量400 mLのボトルも使用できる大容量であることから、50 mLチューブを最大16本まで処理でき、汎用性に富んでおり、非常に使いやすいとおっしゃっていただきました。

Fig.1 セーフティキャビネットと遠心機の効率的な動線

まとめ

卓上遠心機Allegra X-30Rは、様々な種類のロータに対応することで、比較的大容量から小容量までの遠心に使用でき、加えて高い遠心力でも使用できます。更に、プレート遠心にも対応していることから、ハイスループットスクリーニングにも使用できます。高い汎用性を小さなサイズで実現していることが、この遠心機を選択した理由だとおっしゃっていただきました。

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