超遠心分離法による 金属コロイド精製と濃縮

金属コロイドは金属ナノ粒子であり、インクジェットの配線技術、触媒、ライフサイエンス分野など、幅広く応 用されています。金属コロイドナノ粒子は、主にアトマイズ法、化学還元法で合成されますが、その際、不純物 や凝集粒子が存在します。 今回の実験では、合成された金属コロイドを超遠心分離により精製、濃縮する方法をご紹介します。

 

遠心前サンプル

遠心前の銀コロイド粒子。 不純物と凝集粒子が存在している粒子径分布に なっています。

 

遠心 1 : 超遠心法による精製 

500,000 xg / 30 分間の遠心後、上清を採っ て粒子径を測定しました。 その結果から、溶液中に浮遊しているコロイド 粒子が一次粒子と思われます。チューブの底に 不純物と凝集粒子が沈降し、 沈殿を形成してい ます。

 

遠心 2 : 超遠心法による濃縮

遠心1の上清を採って、さらに 1,000,000 xg/ 60 分間遠心しました。 上清は無色透明となり、銀コロイド粒子は存在 しなくなりました。形成した沈降物は、銀コロ イドの一次粒子です。 上記の沈殿物を含む下層 1/3 程を採って再分散 しました。この粒子径分布は、濃縮前とほぼ同 じであり、銀コロイド粒子が濃縮されているこ とを確認しました。

 

考察

遠心処理前の銀コロイド粒子には、明らかに不純物と凝集粒子が存在しています。遠心 1 の 500,000 xg / 30 分間 遠心後、不純物と凝集粒子が取り除かれ、精製されたことが DelsaMax PRO の測定結果から確認できました。さらに 遠心 2 では、遠心 1 の上清をさらに 1,000,000 xg / 60 分間遠心することよって、高純度の銀コロイドを沈殿させて います。また、その沈殿物を再分散することによって濃縮することもできました。また、この濃縮された銀コロイドの 粒子径は、ほぼ一次粒子と同じになっています。

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Optima XE Ultracentrifuge

超遠心機

ベックマン・コールターは1947年に初めて超遠心機(超遠心分離機)を販売開始し、現在では高い遠心力・回転数はもちろん、バイオセーフティモデルやリモートコントロール機能などを備えた超遠心機を取り揃えております。様々なチューブや容量に対応するロータやアクセサリ類も取り揃え、エクソソーム分離やウイルスの高純度精製、その他幅広いアプリケーションのご要望にお応えします。

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