超遠心分離法 / 動的光散乱法による 顔料インクの分級と粒子径測定
プリンタのインクには顔料インクと染料インクがあり、それぞれの利点を生かして使い分けされています。染料 インクの染料は溶媒に溶けた状態で存在し、用紙にしみ込んで発色します。 一方で顔料インクは用紙の表面に定着して発色するために、小さな粒子が溶媒に分散した状態で存在します。 このため顔料を均一に分散させるための技術が重要な事は言うまでもありません。今回の実験ではマゼンタ(赤色) 顔料インクの粒子径とともに、顔料以外の安定化剤などの正確な粒子径測定を試みました。
遠心前サンプル
遠心後サンプル
考察
遠心前のサンプルでは 5.8 nm、29.1nm、366.9 nm の粒子径が測定されました。遠心後の上清は黄色みがかかった 透明になっており顔料成分はほぼ沈降したと考えられることから、測定された 4.1 nm の粒子は溶媒を構成する顔料以 外の粒子であり、また遠心前の 29.1 nm、366.9 nm が顔料の粒子径と考えられます。 遠心後の 4.1 nm が遠心前には 5.8 nm に測定されています。これは粒子が多分散している場合に小さい方の粒子径値は、 大きい方の粒子径値に近づく傾向にあるためだと思われます。 大きい粒子(366.9 nm)の測定値に近づく傾向にあるためだと思われます。