BioLector XT用 ガス供給リッド

はじめに

マイクロバイオリアクター「BioLector XT」は、一般的な培養パラメータとしてバイオマス、pH、溶存酸素(DO)などの他、培養液中の蛍光標識した分子、タンパク質などの蛍光をオンラインでモニタリングしながら、微生物培養のハイスループットスクリーニングを行えるベンチトップ型装置です。

biolector xt microreactor 

図1. 微生物ハイスループット培養に用いるBioLector XT

 

大量のバイオプロセスデータが生成されるため、正確で信頼性の高いバイオプロセス開発、菌株特性評価、培地最適化、クローン スクリーニングを最短時間で実行することができます。ハイスループット培養は、それぞれ32個または48個の培養ウェルを有するSBS/SLA標準フォーマットのマイクロタイタープレート(MTP)で行われ、マイクロバイオリアクターでは1回の稼働で最大48サンプルの同時処理が可能です。ガス供給リッドは、培養実験中にMTPに直接ガスを供給します。

BioLector XTとリキッドハンドリングシステムRoboLectorと併用することで、自動マイクロバイオリアクター「RoboLector XT」は、さらに自動化された培養プラットフォームで、ハイスループット培養とオンラインモニタリング機能、ロボットシステムによる精確な分注機構を兼ね備えます。自動培養により、複雑な実験も可能です。このプラットフォームは、実験計画法(DoE)のテンプレートなどから、培地の構成を自動的に作成することも可能です。マイクロ流体MTPのマイクロ流体システムと組み合わせれば、様々な供給方法やサンプリング方法が可能になります。そうした例として、培養誘導剤や供給液の追加、pH値の調整などが挙げられます。各プロセスは、事前に設定されたスケジュールに従って、またはオンラインのプロセスシグナルによって、各ウェルに対して個別に作動しモニターされます。冷却ステーションなどの様々なターゲットへの自動サンプリングにより、より高度なプロセスのモニタリングと制御が可能となります。

このページでは、「BioLector XT」と「RoboLector XT」における、ガス供給リッドの使用方法、様々なガス供給オプション、およびお客様のバイオアプリケーションに合わせて設定できる各種ガス供給リッドについて説明します。

 

様々なガス供給モードの適用

物理的な培養セットアップを準備する前に、「BioLector XT」のユーザマニュアルの記載に従って、ソフトウエア「BioLection」でプロトコルを作成します。「BioLection」を使って、5種類のガス供給モードを選択することができます。バイオアプリケーションによっては、培養実験を成功させるために、例えば培養液中の溶存酸素のような培養条件を実現するためにはガス供給オプションが必要となります。図2に示すように、Atmospheric air(大気)、嫌気性モードまたはO2ダウンレギュレーションのためのN2、CO2アップレギュレーションのためのCO2、O2アップレギュレーションのためのO2から簡単に選択することができます。

 protocol settings of the BioLection software provide five different gassing modes

図2. BioLectionのプロトコル設定で用意されている5種類のガス供給モード

 

また、図3に示すように、5~50 mL/分の範囲で一定または変動の流量選択をすることができます。

BioLection software constant or variable flow rate

図3. BioLectionでは、プロトコル設定メニューで5~50 mL/分の範囲で一定または変動の流量選択が可能

 

適切な種類のガス供給リッドの選択

関連する実験条件をすべてBioLectionで設定し、開始の用意ができたら、以下のようにマイクロタイタープレート(MTP)を準備します。

  • 培養液や発酵ブロスなどの液体を、実験に必要となる培養ウェルにピペッティングして、無菌環境での準備を開始します。
  • A列とB列のMTPリザーバーのウェルにpH調整剤や供給液を添加します。
  • BioLector XTのマニュアルに従い、Foil Applicator XTを介してMTPシリコンフォイルを取り付けます。

 

ガス供給オプションに加えて、バイオアプリケーションに応じて選べるガス供給リッドが4種類あります。

  1. E BD48:
    BioLector XTによる標準的な非マイクロ流体実験用(図4)
  2. E-BDR48:
    RoboLector XT装置による非マイクロ流体実験用(図5)
  3. E-BD32:
    BioLector XTによる標準的なマイクロ流体実験用(図6)
  4. E-BDR32:
    RoboLector XTによるマイクロ流体実験用(図7)

なお、ガス供給リッドに対応する材料はすべて酸素適合性がありますので、そのような部品を取り扱う際には汚染を避けるため必ず手袋を着用してください。

 

Gassing lid variant EBD48 for standard batch cultivation

図4. EBD48(BioLector XTによる標準バッチ培養用のガス供給リッド)

 

Gassing lid variant E-BDR48 for non-microfluidic experiment

図5. E-BDR48(RoboLector XTによる非マイクロ流体実験用のガス供給リッド)

 

 Gassing lid variant E-BD32 for standard microfluidic experiments

図6. E-BD32(BioLector XTによる標準マイクロ流体実験用のガス供給リッド)

 

Gassing lid variant E-BDR32 for microfluidic experiments in the RoboLector XT

図7. E-BDR32(RoboLector XTによるマイクロ流体実験用のガス供給リッド)

 

MTPの準備ができたら、MTPにガス供給リッドを取り付けます。

  • MTPの上にガス供給リッドを置き、MTPとガス供給リッドの両方の面取り角部が同じ側になるようにします。
  • ガス供給リッドを押し下げて、MTPをガス供給リッドに固定します。リッドの上部にある2つの金属ピンは、正しく調整すると外側に出てきます。

 

注意: 「RoboLector XT」による実験では、2枚目のシリコンフォイル「F-RSXT」をガス供給リッドの上に置きます。上記のピンにより、アプリケーションに適した正しい方向性が確保されます(図8参照)。そのため、フォイルアプリケーターの使用は必須ではありません。

 

Preparation of the gassing lid E-BDR32 microfluidic experiments

図8. RoboLector XT装置によるE-BDR32を使ったマイクロ流体実験の準備

 

図9のように、ロボットリッド(E-BDRL)をガス供給リッドにクリップで留めます。

 

Attachment of the robotic lid to the gassing lid E-BDR32

図9. RoboLector XTによるマイクロ流体実験用E-BDR32へのロボットリッドの取り付け

 

BioLector XTのインキュベーションチャンバー内にガス供給リッドを設置

用意されたガス供給リッドを無菌環境(場合によっては嫌気性環境)から取り出します。MTPフォイルが内側から濡れないよう、MTPを傾けたり、振ったりしないでください。

すべてのガス供給チューブがガス供給リッドに装着されていることを確認します。必要に応じて、すべてのガス供給チューブをガス供給リッドに取り付けてから、インキュベーションチャンバーに入れてください。

Attachment of the tubing to the gassing lid

図10. ガス供給リッドへのガス供給チューブの装着

 

マイクロバイオリアクターのインキュベーションチャンバー内のアダプタープレートが、48モード(図11)または32モード(図12)の位置に置かれていることを確認します。

 

Position of the adapter plate in the 48-mode position

図11. 48モードの場合のアダプタープレートの位置

 

Placing the adapter plate into the 32-mode position

図12. 32モードの場合のアダプタープレートの位置

 

図13、14のようにガス供給リッドをインキュベーションチャンバーに搭載して、すべてのレバーを押し下げて固定します。

 

Placing the gassing lid into the incubation chamber

図13. インキュベーションチャンバーへのガス供給リッドの搭載

 

Push down the metal levers to fixate the gassing lid

図14. 金属レバーを押し下げてガス供給リッドを固定

 

ガス供給リッドに装着されたガス供給チューブを、マイクロバイオリアクターのインキュベーションチャンバー手前側にあるシェイキングテーブルのプッシュインコネクターに取り付けます。これで培養実験が開始できます。

 

インキュベーションチャンバーからのガス供給リッドの取り外し

培養実験が終了したら、圧を解放し、ガス供給を停止します。その後、ガス供給リッドからクイックコネクトフィッティングを外し(図15)、すべての金属レバーを引いて、ガス供給リッドとMTPをインキュベーションチャンバーの外に取り出します。ガス供給リッドの上部にある金属ピンを押し下げることで、MTPもガス供給リッドから外すことができます。

Removing the gassing lid out of the incubation chamber

図15. インキュベーションチャンバーからのガス供給リッドの取り出し

 

ガス供給リッドの洗浄

ガス供給リッドを殺菌する場合は、無菌フードの中で立てた状態で殺菌剤を蒸発させます。

注意:ガス供給リッドを純酸素にさらすと、酸化することがあります。X-Y軸には注油しないでください。脂肪分解洗剤は使用しないでください。リントフリーのマイクロファイバークロスのみを使用し、ティッシュから洗浄液が垂れないようにしてください。

重要:マイクロ流体モジュールの使用時に、濃縮された酸やアルカリがガス供給リッドに溜まることがあります。

 

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