BiomekによるゲノムDNAライブラリ調製の
自動化がもたらす研究の加速
Biomek i-SeriesによるIllumina TruSeq DNA PCR-free
サンプル調製の自動化
Introduction
Illumina TruSeq DNA PCR-Free Library Preparation kitはPCR増幅を必要としないPaired-End Library調製用キットです。この調製プロトコルの中で、Solid Phase Reversible Immobilization(SPRI)ビーズケミストリーはサイズセレクションから精製工程に至るまで随所で用いられています。これらの工程は手間がかかり作業ミスを引き起こしやすいことから、Biomekによる自動化の活用が期待できます。Biomek自動分注ワークステーションは少数から多数のサンプルまで幅広いサンプル数に対応しつつ、サンプル調製のすべての工程を自動化可能です。本自動化アプリケーションによって、追加の調製工程なしにそのままシーケンサーに供することのできるライブラリを調製でき、また標準サンプルを用いた試験を通してその品質が実証されています。この即実装可能なアプリケーションはIllumina TruSeq DNA PCRFree Sample Preparation Kit(Illumina P/N FC-121-3001, FC-121-3002 or FC-121-3003)のLTバージョンとHTバージョンのいずれにも対応しています。
この自動化アプリケーションはBiomek全機種で使用可能となっており、経験豊富なサポートチームによる迅速な導入を通して、以下のような面で研究を加速することが可能です。
- 標準化されたワークフローによるデータ品質の向上
- コスト増につながるような作業ミスの低減
- 作業時間の短縮とスループットの向上
Spotlight: Biomek i5 Span-8 Genomics Workstation
Figure 1
- 1 ~ 1,000 μLの分注容量
- 最大25のポジションの高キャパシティ
- サンプル調製のためのシェーカー、温調ペルチェ、チップ洗浄
- オプションアイテム
- エンクロージャー
- オンデッキ サーマルサイクラーの統合 (Biometra T-RobotまたはThermo ATC)
Figure 1. エンクロージャータイプのBiomek i5 Span-8 Genomics Workstation(専用架台に設置)。完全自動化ためのオンデッキ
サーマルサイクラーをオプション搭載したデッキレイアウト(下部)。
Demonstrated Method Interface (DMI)
作業ミスを防ぐためのセットアップ手順に沿った指示画面、ユーザーの作業スケジュールの自由度を最大限に高めるための設定画面などを、以下の3種のモジュールを通して提供しています。
1. Biomek Method Launcher (BML) —アイコン化されたメソッド選択画面を選択するだけで簡単に実行することができます。
Figure 2
Figure 3
Figure 2. Biomek Method Launcher のメソッド選択および開始画面
Figure 3. Biomek Method Launcher からのマニュアル操作画面
2. Method Options Selector (MOS) — オプションで各種調製条件を選択・指定することで、調製内容や実行ステップを柔軟に変更できることから、調製作業全体のスケジューリングの自由度を最大限に高めることができます。
Figure 4
Figure 4. Illumina TruSeq DNA PCR-Free Method の Method OptionsSelector 画面。1 ~ 96 サンプル内でサンプル数を選択可能。メソッドはIllumina 推奨のストップポイントに準じたモジュールで構成されており、個別のモジュール単位もしくはメソッド一括ランを選択可能。調製されるライブラリサイズは350 bp もしくは550 bp から選択可能。アダプターはIllumina 96-wellDNA adapter plate もしくは独自のアダプター用プレートから分注可能。アダプターの組み合わせは自動もしくはユーザーが作製した分注計画ファイルで指定可能。
3. Guided Labware Setup (GLS) — MOSで選択したオプションを反映したセットアップ手順を表示します。試薬の種類や必要量の表示を含めたグラフィカルなセットアップ画面によって、ユーザー側で必要とされる作業内容を表示します。
Figure 5
Figure 5. Guided Labware Setup 画面。サンプル数に応じた試薬の分注量とプレート類の配置を支援
Modular Design
本アプリケーションは2 つのモジュールで構成されており、柔軟な実験スケジューリングが可能です。
Figure 6
Figure 6. Illumine TruSeq DNA PCR-Free ワークフロー
Major Process Description | 24 Samples | 48 Samples | 96 Samples |
---|---|---|---|
End Repair | 1 hr 46 min | 2 hr 8 min | 2 hr 50 min |
Atailing,Ligation | 1 hr 26 min | 1 hr 47 min | 2 hr 28 min |
Hands-on-Time | 15 min | 15 min | 15 min |
Total Method Run Time | 3 hr 26 min | 4 hr 10 min | 5 hr 32 min |
Note: **Timing does not include thawing of reagents.
Table 1. Biomek i5 Sapn-8 Genomics WorkstationにおけるIllumina TruSeq DNA PCR-Freeの想定時間。メソッドはIllumina推奨ストップポイントに準じたモジュールで構成。1 ~ 96サンプルの間でサンプル数を選択できるほか、個別のモジュール単位もしくは一括での完全自動実行を選択可能。
Experimental Design and Results
サンプルDNA は、Genomic DNA (Promega P/N: G3041)とCovaris S220 focused Ultrasonicator を用いて、Illumina TruSeq DNA PCR-Free Sample Preparation Kit protocol に記載の550bp インサート用設定で断片化を行い、これを12 サンプル分用意しました。断片化した2 μg分のDNA 50 μ Lをそれぞれライブラリ作製に供しました。得られたライブラリの品質はAgilent TapeStation High Sensitivity D5000 kit を用いて評価しました。
Figure 7
Figure 7. Agilent TapeStation におけるHS D5000 kit を用いたライブラリの泳動パターン。ライブラリサイズはIllumina プロトコルと同等であり、120 bp付近に検出されるアダプターダイマーは認められなかった。qPCR によるライブラリの定量値は約9 nM。
Summary
Biomek i-Series 自動分注ワークステーションに対して標準化されたIllumina TruSeq DNA PCR-Free SamplePreparation kit の自動化アプリケーションは、安定的な稼働とともに、サンプル数や作業スケジューリングに対して高い自由度を持ちつつ、追加作業なしにそのままシーケンサーに供することのできるライブラリを調製できる性能を有することが示されました。
Biomek 自動化ワークステーションは、病気などの診断に使用することを意図したものではなく、また検証されたものでもありません。共有されるデータは、開発中に得られたものです。
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