T細胞大顆粒リンパ球性白血病

大顆粒リンパ球(LGL)白血病はまれな慢性のリンパ増殖性悪性腫瘍で、T細胞LGL(T-LGL)白血病とナチュラルキラー細胞LGL白血病の2つに分類されます。T-LGL白血病のほうが発生頻度は高く、その名前が示すとおり、LGL、特に細胞傷害性T細胞のクローン増殖を特徴とします。T-LGL白血病は高齢者での発症が多く、診断時の年齢の中央値は60歳で、通常進行は遅く慢性的で、無症候性の患者も認められます。T-LGL白血病の特徴のひとつとして、自己免疫疾患(多くは関節リウマチ)や、他の血液疾患あるいは悪性腫瘍を高率に合併することが挙げられます。

形成

未知の抗原がT-LGL白血病発症につながる経路を開始すると考えられています。抗原への慢性的かつ持続的な曝露により、モノクローナル細胞傷害性リンパ球集団が発生・増殖します1。その結果、炎症性サイトカインの産生や機能性キラー細胞からの細胞傷害性顆粒の放出、LGLのアポトーシスを抑制するSTAT3の活性化が誘導されます12

診断と治療の評価

T-LGL白血病は、複数の臨床所見を基に診断されます。最も一般的に認められるのはLGLの持続的な増加を伴う好中球減少症です。LGL細胞は、健常人の末梢血では、総リンパ球の10%~15%であることが一般的ですが、T-LGL白血病患者のほとんど(すべての患者ではありませんが)で、大幅に増加します。診断の確定には、このリンパ増殖が自己免疫疾患や感染性ではなく、クローン性に起因するものであることを確認します3

クローン性は、PCR法やT細胞受容体(TCR)γのプローブを用いた分子解析、またはフローサイトメトリーによるTCR Vβレパトア解析で確認できます3。フローサイトメトリーは、22のVβタンパク質ファミリーを認識できますが、すべてのLGL白血病患者の間に、再発に関与するタンパク質ファミリーが存在するかはわかっていません4。VβフローサイトメトリーでTCRのVβ領域に存在する偏りの特性評価を行うことで、T-LGL白血病患者の治療が成功しているかをモニタリングや、TCRの再構成によって生じる変化の同定が可能です。また、他の血液学的疾患の原因となっている未知のLGLクローンを発見できる可能性もあります4

細胞マーカー

白血病細胞は通常、TCR αβCD3CD5dimCD8CD16CD45RACD57を発現し2CD4CD27CD28CD45ROは陰性です4

ベックマン・コールター ライフサイエンスの試薬は、全てが臨床に使用できるわけではなく、国によっては研究用途のみとなる場合があります。 こちらから、シングルカラーの試薬を、規制状況、蛍光色素、アイソタイプ、フォーマット別でご覧いただけます。

フローサイトメトリーを用いた診断に関する詳細は、 こちらからご覧いただけます。

参考文献

  1. Lamy T, Moignet A et al. (2017) LGL leukemia: from pathogenesis to treatment. Blood. 129 (9): 1082–1094. doi:10.1182/blood-2016-08-692590
  2. Steinway SN, LeBlanc F et al. (2014) The pathogenesis and treatment of large granular lymphocyte leukemia. Blood Rev. 28(3):87-94. doi:10.1016/j.blre.2014.02.001
  3. Cheon H, Dziewulska KH et al. (2020) Advances in the Diagnosis and Treatment of Large Granular Lymphocytic Leukemia. Curr Hematol Malig Rep. 15(2):103-112. doi:10.1007/s11899-020-00565-6
  4. Giudice V, D'Addona M et al. (2021) The Value of Flow Cytometry Clonality in Large Granular Lymphocyte Leukemia. Cancers (Basel). 13(18):4513. doi:10.3390/cancers13184513

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