濾胞性リンパ腫

世界的に、濾胞性リンパ腫(FL)は非ホジキンリンパ腫(NHL)の2番目に多い病型で1、50歳以上の人に多くみられます。FLは、リンパ節内の濾胞で塊となって発生する異常なB細胞にちなんで名付けられた、緩徐進行性の慢性的疾患です。FLは難治進行性の病とされていますが、10年生存率が約80%と予後は良好です2。リツキシマブの導入以来、10年生存率は大幅に改善されています3。また、この疾患の臨床的異質性を認識する新しい研究により、治療および診断戦略のさらなる改善につながる可能性があります4。一部のFLは、より進行の速いNHL(通常はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)に形質転換し、その場合の転帰は極めて不良です5

形成

FLの遺伝的特徴は染色体転座t(14;18) で、患者の約85%に見られます。この転座によって、アポトーシスを調節するタンパク質ファミリーのメンバーであるBCL2が過剰発現し、アポトーシスが抑制されます 。t(14;18)転座を有するナイーブB細胞が二次リンパ組織にコロニーを形成し、胚中心(GC)反応を受けた場合、生存上の有利性は明らかです6が、転座だけでリンパ腫の形成が誘発されるわけではなく、その他の遺伝子的要因や微小環境における腫瘍性B細胞と免疫細胞および間質細胞との間のコミュニケーションなどが、腫瘍細胞の増殖を助け、免疫特権を育み、形質転換を促進すると考えられています7

診断と治療の評価

FLは何年も無症状の場合もあり、多くの場合、再発性リンパ節腫脹を呈します。リンパ節生検で、腫瘍性濾胞の塊、偏光性の消失、マクロファージの欠失を認めた場合、FLと診断されます8。腫瘍性細胞は中心細胞と中心芽細胞で構成され、中心芽細胞の割合が高いほど、臨床的な悪性度が増します3。WHO分類では中心芽細胞の割合によりグレード分けされ、悪性度が最も高いグレードは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と臨床的および生物学的に類似し、同様の治療法が選択されます3。ほとんどの患者で骨髄浸潤が認められ、脾臓、末梢血、および他の節内部位(消化管、肝臓、睾丸など)への浸潤が認められるケースもあります8

 

Figure 1. 濾胞性リンパ腫の顕微鏡写真の例9

他にも、組織学的検査やイムノフェノタイピングと併用して患者のリスクを層別化し、治療選択肢の指針とすることができる予後ツールがいくつかあります。例えば、濾胞性リンパ腫国際予後指数(FLIPI)では、5つの因子(年齢、病期、リンパ節病変数、血清乳酸デヒドロゲナーゼ値、ヘモグロビン値3)に基づいて、患者の予後を判断します。

細胞マーカー

FL細胞は、CD19CD20CD10、 BCL6を発現しており、CD5CD23は陰性です3

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参考文献

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  4. Magnoli F, Tibiletti MG et al. (2019) Unraveling Tumor Heterogeneity in an Apparently Monolithic Disease: BCL2 and Other Players in the Genetic Landscape of Nodal Follicular Lymphoma. Front Med (Lausanne). 6:44. doi:10.3389/fmed.2019.00044
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  9. https://www.shutterstock.com/de/image-photo/lymphoma-awareness-microscopic-image-follicular-type-554837482

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