臨床ビネット
組織塊を認める20歳男性の症例。リンパ節生検サンプルで、ClearLLab 10C*パネルを使用したフローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングを行いました。
フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピング
T 細胞チューブ
Figure 1. このCD45と側方散乱光のドットプロットは、「CD45+」ゲート内のイベントを示しています。このドットプロットでは、末梢血、骨髄、リンパ節サンプルに典型的に見られる白血球である、リンパ球(Lyゲート、アクア/レッド)、単球(Moゲート、緑)、顆粒球(Grゲート、青)が区別して表示されています。 CD45 dimゲート内の領域は、通常、骨髄芽細胞と未熟B細胞が占有しています。好塩基球、形質細胞、NK細胞もこの領域に現れることがあります。各ゲートを構成するイベントに異なる色を適用することで、全体の解析からさまざまな集団を識別できます。前駆体集団(紫)に広がりが見られます。
Figure 2. このCD3と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD3+ゲートは表面にCD3を発現している細胞(アクア)を同定します。 CD3はT細胞に対して非常に特異的であり、成熟T細胞と後期の未成熟T細胞の表面にのみ発現します。 CD19陽性細胞の側方散乱光の強度は、通常、低~中程度です。前駆体(紫)は、表面にCD3を発現しません。
Figure 3. このCD4と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD4は、未熟および成熟T細胞で高レベルで発現します(アクア)。 CD4は単球細胞(緑)でも発現していますが、発現のレベルは、CD4陽性T細胞よりも低いです。また、骨髄中の複数の細胞系統の未熟前駆細胞でも、低レベルで発現しています。前駆体(紫)では、CD4が多様な強度で発現しています。
Figure 4. このCD2と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD2は、未熟および成熟T細胞(アクア)ほぼすべてに発現する抗原です。 CD2はNK細胞(赤)にも発現し、単球(緑)にも低レベルで発現します。前駆体(紫色)ではCD2が中程度の強度で発現しています。
Figure 5. このCD5と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD5は、ほとんどの未熟および成熟T細胞(アクア)で発現し、成熟B細胞のサブセットでは低レベルで発現します。非常に初期の未熟なT細胞とガンマ・デルタT細胞は、通常、CD5はほとんど発現しないか欠損しています。 NK細胞の小サブセットでD5を発現しています。前駆体(紫)では、CD5が成熟T細胞(アクア)よりも低いレベルで発現しています。
Figure 6. このCD34と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD34は初期造血前駆細胞のマーカーです。 CD34は、造血幹細胞、初期骨髄前駆細胞(骨髄芽球)、未熟なB細胞とT細胞(リンパ芽球)に発現します。 CD34陽性の前駆体は、通常、側方散乱光の強度が低~中程度であり、CD45 dimゲート内にあります。未成熟B細胞前駆体では、未成熟骨髄前駆細胞よりも側方散乱光の強度が低くなります。前駆体(紫色)はCD34を発現していません。
Figure 7. このCD7と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD7はT細胞発生の初期段階の未熟T細胞で発現し、成熟期を通して発現は維持されます。成熟T細胞(アクア)ではT細胞の発現強度は細胞により異なります。また、NK細胞(右下の赤)にも均一に発現し、形質細胞様樹状細胞のサブセットおよび分化系統の決まったCD34陽性前駆体のサブセット上で弱く発現します。前駆体(紫色)はCD7を強く発現します。
Figure 8. このCD8と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。 CD8は未熟および成熟T細胞のサブセット(アクア)上で発現しており、これにより、この集団は細胞傷害性の成熟T細胞と定義されます。 CD8は、NK細胞とγδT細胞に低いレベルで発現します。前駆体(紫色)はCD8を発現しません。
フローサイトメトリーのドットプロットをすべて表示するには、下のリンクから、PDF形式でこのケースをダウンロードしてください。
フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングの結果
フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングで、表現型の異なる細胞集団(CD2:中、CD4:様々な強度、CD5:中、CD7:強、CD10:弱、CD38:強、CD45:中、表面CD3、CD8、CD19、CD34、CD56、 CD117およびその他のB細胞または骨髄系抗原:欠損)が同定されています。正常な未成熟T細胞と比較すると、CD4とCD10の発現、CDの欠損、CD38の強発現が認められます。
異常集団の免疫表現型は、異常な未熟T細胞、すなわちTリンパ芽球と一致しています。この所見は、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫の診断と一致します。追加検査として、細胞質内CD3のマーカー分析によるT細胞の系統特定、TdT活性検査での未熟T細胞の確認も可能です。
*研究用試薬です。診断用には使用できません。
*解析ファイルの表示には、KaluzaまたはKaluza Cが必要です