Case 18: 急性骨髄性白血病

臨床ビネット

T55歳男性の症例。末梢全血塗抹標本に芽球が認められます。骨髄吸引サンプルで、ClearLLab 10C* パネルを使用したフローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングを行いました。

フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピング

M1 細胞チューブ

Figure 1. このCD45と側方散乱光のドットプロットは、「Cells」ゲート内のイベントを示しています。このプロットでは、CD45陽性としてゲートされた白血球のさまざまなサブセットが区別して表示されています。 CD45陰性ポピュレーションには通常、赤血球、血小板凝集体、組織破片、または非造血細胞が含まれます。
Figure 2. このCD45と側方散乱光のドットプロットは、「CD45+」ゲート内のイベントを示しています。このドットプロットでは、末梢血、骨髄、リンパ節サンプルに典型的に見られる白血球である、リンパ球(Lyゲート、赤)、単球(Moゲート、緑)、顆粒球(Grゲート、青)が区別して表示されています。 CD45 dimゲート(紫)内は、通常、骨髄芽細胞と未成熟B細胞が占有しています。好塩基球、形質細胞、NK細胞もこの領域に現れることがあります。各ゲートを構成するイベントに異なる色を適用することで、全体の解析からさまざまなポピュレーションを識別できます。 CD45 dim ゲート(紫)の前駆体が広がっていることに注目してください。

Figure 3. このCD7と側方散乱光のドットプロットはすべて、生細胞を示しています。また、NK細胞(赤)上で均一に発現し、形質細胞様樹状細胞のサブセットおよび分化系統の決まった前駆体のサブセット上で弱く発現します。前駆体(紫)は、CD7を中~高レベルに発現しています。
Figure 4. このCD13とCD34のドットプロットは、すべて生細胞を示しています。 CD13は成熟した顆粒球(青)、単球(緑)、好塩基球、およびCD34陽性前駆体で発現します。 CD34は初期造血前駆細胞で発現しています。 CD13は、CD34陽性B細胞前駆体または成熟リンパ球細胞(赤)ではあまり発現していません。前駆体ではCD34が発現し、CD13は弱陽性~欠損しています。

Figure 5. このHLA-DRとCD10のドットプロットは、すべての生細胞を示しています。 HLA-DRは単球、B細胞、形質細胞様樹状細胞、CD34陽性前駆体で発現します。CD10は成熟顆粒球と未成熟B細胞で発現します。未成熟B細胞はCD10とHLA-DRの両方を発現しています。前駆体はHLA-DRを様々な強度で発現しますが、CD10は発現しません。
 
 

M2 細胞チューブ

Figure 6. このCD34とCD117のドットプロットは、すべて生細胞を示しています。CD34は骨髄芽球および初期の未熟B細胞前駆体に発現しています。 CD117は骨髄芽球、前骨髄球(青)、初期赤血球前駆体に発現しますが、初期B細胞前駆体には発現しません。前駆体(紫)でのCD34およびCD117の発現量は中程度です。
Figure 7. このCD33とCD13のドットプロットは、すべて生細胞を示しています。 CD33とCD13は単球(緑)、成熟顆粒球(青)、好塩基球、およびCD34陽性前駆体で発現します。単球では、CD33が高いレベルで均一に発現しますが、CD13の発現量は細胞によって異なります。未成熟顆粒球は、成熟顆粒球よりもCD33を高いレベルで発現しますが、CD13の発現レベルは低いです。リンパ球はCD13およびCD33(赤)をほとんど発現しません。前駆体(紫色)ではCD33が中~高いレベルで発現しますが、CD13は弱陽性~欠損しています。
Figure 8. このCD38とCD34のドットプロットは、すべて生細胞を示しています。分化系統の決まった前駆体ではCD38が均一に発現していますが、CD34の発現量は細胞によって異なります。前駆体(紫)はCD34とCD38を共発現しています。
 
 
フローサイトメトリーのドットプロットをすべて表示するには、下のリンクから、PDF形式でこのケースをダウンロードしてください。

フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングの結果

フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングで、表現型の異なる芽球ポピュレーション(CD7:中、CD13:弱~欠損、CD33:中、CD34:中、CD38中、CD45:弱、CD117:中、CD123:中、HLA-DR:様々な強度、CD14、CD15、CD64およびその他のリンパ系抗原または骨髄系抗原:欠損)が同定されています。正常なCD34陽性の前駆体と比較すると、CD7の発現やCD13の発現減弱が認められます。

異常ポピュレーションの免疫表現型は、異常CD34陽性前駆細胞のものです。この所見は、骨髄分化を伴う急性白血病と一致しています(CD33およびCD117発現による)。ただし、併せて行った細胞質CD3検査および細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体検査から、初期前駆T細胞性リンパ芽球性白血病および混合表現型急性白血病の可能性は除外されます。確定診断には、臨床的所見、形態学的所見、細胞遺伝学的所見を相関させて評価しなければなりません。

*研究用試薬です。診断用には使用できません。

*解析ファイルの表示には、KaluzaまたはKaluza Cが必要です

Leukemia and Lymphoma

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