B細胞腫瘍におけるCD200の発現
イムノフェノタイピングによるリンパ腫の特性評価は、この疾患の診断、サブクラス分類、病期分類、およびモニタリングを支援する上で重要な役割を果たしています1 。最近、CD200がリンパ腫、特にB細胞系リンパ腫のイムノフェノタイピングに有用な抗原であることが明らかになっています2。
CD200はタイプIのイムノグロブリンスーパーファミリーの膜糖タンパク質で、様々な成熟B細胞腫瘍（MBN）に発現しています3。フローサイトメトリーを用いたイムノフェノタイピングによるCD200 の発現パターンは、MBN、特に悪性度の低いリンパ腫の診断の絞り込みに有用です4。フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングを行うと、CD200の発現は正常B細胞と比較して慢性リンパ性白血病 (CLL)/小リンパ球性リンパ腫 (SLL) において上昇していることがわかります5。
これまで、いくつかの研究においてB細胞腫瘍におけるCD200の発現の違いについて検討されてきましたが、当初はCD200陽性であることが多いCLLと、通常はCD200を発現していないマントル細胞リンパ腫(MCL)とを区別することに焦点が当てられていました6 Sandes et al.の研究7 では、CD200は全ての非定型CLLの症例で発現しており、特にCD23を発現していないか発現が暗い（dim）症例では、MCLとの区別に有用でした。
Brunetti et al8は有毛細胞白血病（HCL）ではCD200 の発現が増加していることを示しました。その後、フローサイトメトリーによる解析を行った他の研究者9によって、CD200の発現レベルはB細胞腫瘍の種類によって異なることが示されました。
Figure 1. 正常B細胞ポピュレーションおよびB細胞腫瘍におけるCD200 の発現パターン(CD200の蛍光強度中央値をそれぞれプロット）
CD200 は末梢血（PB）B細胞、骨髄ヘマトゴン、反応性節CD10陰性エクストラフォリクルセンター（EFC）B細胞において中程度の明るさで発現し、反応性節CD10陽性フォリクルセンター（FC）B細胞では薄暗く（dim）発現しています。CD200は有毛細胞白血病（HCL）では非常に明るく発現し、慢性リンパ性白血病（CLL）とワルデンストロームマクログロブリン血症／リンパ形質性リンパ腫（LPL）では中程度～明るく発現しています。大B細胞リンパ腫（LBCL）、濾胞性リンパ腫 (FL)、限界領域リンパ腫（MZL）では、症例によってCD200の発現レベルは異なります。CD200の発現はバーキットリンパ腫ではごくわずかで、マントル細胞リンパ腫では、まれな例外を除き、95%の症例でdimまたは陰性です1。
参考文献
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