ClearLLab Control Cells–ClearLLab 10Cパネルを用いた測定のプロセスコントロール用コントロール細胞

Li Yang, Lin Jiang, Brittany Kuhl, Xiangyang Dong, Jin Zhang, Lidice Lopez Research and Development, Beckman Coulter Life Sciences, Miami, FL 33196

はじめに

このホワイトペーパーでは、ClearLLab Control Cellsについて紹介します。フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピングは、造血器腫瘍の診断に一般的に用いられる技術です。ClearLLab 10Cパネルは4本のイムノフェノタイピング用試薬で構成され、それぞれに、WHOおよびベセスダガイドラインで推奨されている27のコンセンサスマーカーが入っています。ガイドラインに適合させるには、試薬と染色手順の性能をポジティブコントロールで検証する必要があります。ClearLLab Control Cellsは、ClearLLab 10Cパネル用のコントロール細胞で、Normal(正常コントロール細胞)とAbnormal(異常コントロール細胞)があります。ClearLLab Control Cellsは、ClearLLab 10Cパネルに含まれる全てのマーカー/抗原に対して、一貫性のあるプロセスコントロールおよびポジティブコントロールを提供できる全血コントロール細胞です。

方法

Fresh(*T0M)およびAged(*T3M+Op-1M)のコントロール細胞でClearLLab 10Cの4パネルそれぞれを複数本ずつ染色し、染色シグナル、各抗原の分解能、検体の安定性を評価しました。さらに、コントロール細胞のデータ収集と解析に使用するゲーティング戦略が用意されており、目的の細胞ポピュレーションを簡単かつシンプルな測定と、一貫性のある評価が可能です。

Figure 1. コントロール細胞は、ClearLLab 10Cパネルで使用する全血検体と同じ手順に従ってサンプル調製と細胞取得を行います。データはKaluza C ソフトウエアで解析します。

ClearLLab Control Cells tubesNormal(正常)およびAbnormal(異常)コントロール細胞

  • コントロール細胞をPBS + 2% FBS(0.45mL:12mL)で3回前洗浄します。
  • コントロール細胞をPBS + 2% FBS(0.45mL:12mL)で3回前洗浄します。
  • ClearLLab 10C T細胞チューブ、B細胞チューブ、M1細胞チューブ、またはM2細胞チューブで洗浄済み細胞(100 μL)を染色します。
  • IOTest3 溶血試薬とIOTest3 固定試薬(1サンプルあたり2mL)で細胞を溶血します。
  • 遠心後吸引し、1x PBS(1サンプルあたり3mL)で再度洗浄します。
  • 遠心後吸引し、細胞ペレットを1 x PBS(1サンプルあたり0.5mL)で懸濁します。
  • ハイエンドクリニカルフローサイトメーターNavios EX** でサンプルを取得します。
  • Kaluza Cソフトウエアでデータを解析します。

結果

ClearLLab Control Cellsは、ヒト全血試料に典型的な溶血、光散乱、抗原発現、抗体染色特性を持つ、安定化したヒト赤血球および白血球(リンパ球、単球、顆粒球)の液状コントロール細胞です。赤血球は溶血特性の評価に使用する溶血対象としてClearLLab Control Cellsに加えられています。‌白血球は、CD34、CD117、CD123などのClearLLab 10Cパネルに含まれる抗体に結合する表面抗原を細胞上に発現している陽性細胞成分として加えられています(Figure 2)。

Figure 2. ClearLLab 10Cパネル。4つのClearLLab 10Cパネル(B細胞チューブ、T細胞チューブ、M1細胞チューブ、M2細胞チューブ)には、27種類のマーカー/抗原が入っています。

1Pacific Blue. 2APC-Alexa Fluor 700. 3APC-Alexa Fluor 750.
Alexa FluorおよびPacific BlueはMolecular Probes, Inc.の登録商標です。

Figure 3. B細胞チューブ、T細胞チューブ、M1細胞チューブ、M2細胞チューブに使用する、ClearLLab Control Cellsゲーティング戦略:目的の細胞ポピュレーション全てを簡単、シンプルかつ一貫して評価できるように、各コントロール細胞に専用のゲーティング戦略が用意されています。同じポピュレーション/マーカーは、同様の方法でゲートされます。ClearLLab Control Cellsには、Normal(正常)コントロールとAbnormal(異常)コントロールがあります。この2種類のコントロールの違いは、Abnormalコントロールに芽球様ポピュレーション(CD45dim)が含まれ、CD34、CD123、CD117を発現している点です。Normal、Abnormal、B細胞チューブ(3A)、T細胞チューブ(3B)、M1細胞チューブ(3C)、M2細胞チューブ(3D)に同じゲーティング戦略が適用されます。ゲーティング戦略‌には解析ソフトウエア Kaluza Cが使用されます。

3A: B Cell Tube

3B: T Cell Tube

3C: M1 Cell Tube

3D: M2 Cell Tube

Figure 4. ClearLLab Control Cellsの染色プロファイル:‌ClearLLab Control Cellsの典型的なドットプロット(Normal およびAbnormal): Freshな ClearLLab Control Cells標本(T0M)とAgedの ClearLLab Control Cells標本(T3M + Op-1M)を比較した結果、時間の経過した細胞で側方散乱の減弱と、芽球と単球との識別が減少したことを除き、大きな違いは認められませんでした。どちらも ClearLLab Control Cells の使用に影響はありません。この結果から、ClearLLab Control Cells の一貫した染色性能が確認されました。

おわりに

  • ClearLLab ClearLLab Control Cells (NormalおよびAbnormal)は、ClearLLab 10Cパネルに含まれる27の抗体を強く発現し、目的細胞ポピュレーションを識別可能であることが示されました。
  • コントロール細胞は、ClearLLab 10Cパネルを使用した測定でのプロセスコントロールとして、抗体染色性能、赤血球溶血特性、フローサイトメトリー解析に関して、全血検体と同様の特性を示しました。‌
  • ClearLLab Control Cellsに固有のゲーティング戦略が用意されていることによって、ClearLLab 10Cパネルの目的細胞ポピュレーション/マーカーを、簡単、効率的かつ一貫して評価することが可能です。

謝辞

Robert Magari氏、Karen Lo氏をはじめ、ClearLLab 10Cプロジェクトチーム全メンバーのご協力に感謝いたします。

*Fresh(T0M): 製造後2週間以内に使用。
Aged(T3M + Op-1M):製造後、3ヶ月間の密封状態での保存、開封から1ヶ月間の保存を経て使用。

**製造販売届出番号:13B3X00190000050 Navios EXハイエンドクリニカルフローサイトメーター
一般医療機器(特定保守管理医療機器、設置管理医療機器)

ClearLLab 10CパネルおよびClearLLab Control Cellsは、EU体外診断用医療機器規則(Regulation (EU) 2017/746)への適合を示すCE-IVDマークを受けていますが、日本国内においては研究用試薬です。非ホジキンリンパ腫のみに対応しています。

IOTest 3 Lysing Solution, IOTest3 Fixative Solution, and Kaluza C are CE-IVD marked under Regulation (EU) 2017/746. For In Vitro Diagnostic Use.

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