GenFind V3性能データ
血液(全血、血漿、血清)からのゲノムDNA抽出
GenFind V3はSPRI磁性ビーズ技術を用いた、ゲノムDNAを抽出するための試薬キットです。EDTA、クエン酸塩、ヘパリンなどの抗凝固剤を含む採血管に採取した血液から、PCRやNGSなどに使用できる品質のゲノムDNAを抽出可能です。2mLマイクロチューブまたは96ウェルプレートでの手動実験だけではなく、ベックマン・コールターの自動分注機Biomekシリーズで96ウェルプレートを用いて自動化することもできます。また、非凍結または凍結血液サンプルの両方から安定してゲノムDNAを抽出することが可能です。
- ゲノムDNAを、安定した高純度と高収量で抽出
- 抗凝固剤などの残存がなく、PCRやNGSなどのアプリケーションにも最適
- 最大400 μLの非凍結血液・凍結血液から抽出可能
ゲノムDNAの収量・精製度の比較
GenFind V3と他の試薬キットを使用して、抗凝固剤としてEDTA、クエン酸塩、またはヘパリンを添加した全血200 µLからDNA抽出を行いました。各実験は、非凍結血液と凍結血液の両方で行いました。DNA定量は、Thermo Fisher Scientific Quant-iT DNA assay kit, Picogreen, NanoDrop を使用しました(Figure 1)。GenFind V3は、抗凝固剤の影響を受けづらいことがわかります。DNAへのタンパク質の混入を指標とした精製度は、Thermo Fisher Scientific NanoDropによりA260/A280比の算出により評価を行いました(Figure 2)。各条件で高いA260/A280比を得ており、タンパク質の混入は少ないことがわかります。


GenFind V3による収量・精製度の向上
各試薬キットを使用して、抗凝固剤としてEDTA、クエン酸塩、またはヘパリンを添加した全血200 µLからDNA抽出を行いました。各実験は、非凍結血液と凍結血液の両方で行いました。DNAへの低分子化合物の混入を指標とした精製度は、Thermo Fisher Scientific NanoDropによりA260/A230比の算出により評価を行いました。GenFind V3は各条件で、他のキットより高いA260/A230比を得ており、低分子化合物の混入は少ないことがわかります。
血液400 μLから、最大12 μgの収量
サンプル量を増やすことで、精製度に影響を及ぼすことなく、総収量を増やすことができます。GenFind V3を使用して、抗凝固剤としてEDTAを添加した非凍結の全血200 µLおよび400 µLからDNA抽出を行ったところ、全血400 µLからDNA 12 µgが抽出できました。DNA定量は、Thermo Fisher Scientific NanoDropを使用しました。


PCR阻害物質を確実に除去精製
GenFind V3を使用して、抗凝固剤としてヘパリン、EDTA、クエン酸塩を添加した非凍結の全血からDNA抽出を行い、そのうち10ngをテンプレートとしてqPCRを行いました。β-アクチン遺伝子(ActB)のエクソン4と5にまたがるように設計されたプライマーセット (Forward: 5'-ggacttcgagcaagagatgg-3', Reverse: 5'-agcactgtgttggcgtacag-3') を用いて327bpのアンプリコンを増幅しました。いずれの条件でも、PCRに阻害は見られませんでした(Fingure 6)。Figure 7では、GenFind V3とGenFind V2を使用して、クエン酸塩を添加した凍結した全血からDNA抽出を行い、そのDNAをテンプレートとしてFigure 6と同じ条件でqPCRを行いました。GenFind V3のほうがV2より良好な増幅を示しました。


DIN 9以上の分解の少ないゲノムDNA
GenFind V3は、分解の少ない高品質なDNAが抽出可能です。GenFind V3、GenFind V2、他の試薬キットを使用して、抗凝固剤としてヘパリン、EDTA、クエン酸塩を添加した全血からDNA抽出を行いました。DNAの分解程度の評価には、Agilent Genomic DNA ScreenTape を使用しました。GenFind V3 で抽出したDNAのDIN値は全て9.0以上であり、分解の少ないゲノムDNA が抽出されたことを示しています。他の試薬キットを使用して抽出されたDNAはDIN値が7.8と低く、やや分解していることがわかります。Figure9と10では、ヘパリンまたはクエン酸塩を添加した全血から抽出されたゲノムDNAの泳動チャートを示しました。



GenFind V3 ワークフロー

- サンプル(全血、血漿、血清)を、Lysis BufferとProteinase Kで溶解
- Bind Buffer(磁性ビーズ)にDNAを結合
- 磁性ビーズを磁石に結合させ上清を除去
- Wash Buffer 1で磁性ビーズを洗浄
- Wash Buffer 2で磁性ビーズを洗浄
- 溶出液で磁性ビーズからDNAを溶出
- DNAを新しいプレートに移す
カラム式より短時間、少ないピペッティング動作回数
GenFind V3とカラム式キットとの1~96サンプルのDNA抽出時間(ハンズオン時間)を比較しました (Fugure 11)。12サンプル以上の場合で、GenFind V3のほうがハンズオン時間が短くなります。Figure 12では、GenFind V3とカラム式キットとの1~96サンプルのDNA抽出に要するピペッティング動作回数を比較しました。ピペット操作には、サンプルの分注、混合、上清の廃棄などが含まれます。GenFind V3ではマルチチャネルピペットを使用できるので、24サンプル以上の場合はカラム式キットよりもピペッティング動作回数が少なくなります。


製品モデル
GenFind V3は、スループットに合わせて2種類の製品を用意しています。表の製品番号をクリックして、お見積もりをご依頼ください。詳細についてはGenFind V3のページをご覧ください。
| PART # | NAME | PREPS |
|---|---|---|
| C34880 | GenFind V3 | 50 |
| C34881 | GenFind V3 | 384 |
病気などの診断に使用することを意図したものではなく、また検証されたものでもありません。
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