DNA精製とサイズセレクションのためのSPRI磁性ビーズ比率

磁性ビーズとサンプルの混合比率とは?

磁性ビーズとサンプルの混合比率は、AMPure XP、SPRIselect、RNAClean XP などの SPRI磁性ビーズ試薬を用いたDNA精製およびサイズセレクションを行うために必須な概念です。

Manual AMPure XP Beads Pipetting

この磁性ビーズ比率は、DNA断片の長さに応じた磁性ビーズへの結合効率を考える上で重要です。一般的には磁性ビーズ比率を大きくすると、小さなDNA断片の磁性ビーズへの結合効率が高くなります。最良の結果を得るためには、この比率を慎重に検討すること必須です。

DNA精製のための AMPure XP 磁性ビーズ比率

AMPure XP は、SPRI磁性ビーズ技術によりPCR産物精製や次世代シーケンサー(NGS)のクリーンアップに最適化されています。100bp以上のPCR産物に対して高い回収率を確保しつつ、dNTPs、プライマー、プライマーダイマー、塩類など夾雑物を効率的に除去します。

DNA精製でのAMPure XPの推奨磁性ビーズ比率は1.8です。この値は、DNAサンプルの容量に対して必要なAMPure XPの試薬容量を示しています。AMPure XPの添加量は、DNAサンプル容量に1.8を乗じた量です:

(AMPure XP の添加容量) = 1.8 x (サンプル容量)

AMPure XPの磁性ビーズ比率を変えると、精製されるDNA断片長のレンジが変化します(Figure 1)。一部の試薬キットメーカーは、AMPure XPを使用した DNA サイズセレクションのプロトコルを開発していますが、弊社ではDNAサイズセレクション用に十分に開発されたSPRIselectをDNAサイズセレクションに使用することを推奨しています。

AMPure XP Beads Size Selection Chart

チャートの色 磁性ビーズ比率
桃色 Input/Reference
1.8 x
0.9 x
0.7 x
水色 0.6 x

Figure 1. 断片化ゲノムDNAをサンプルとして、AMPure XP、試薬「K」、試薬「O」をそれぞれ使用して得られた精製標品について、Agilent TapeStationを用いて断片長解析を行いました。磁性ビーズ比率は、1.8 倍(赤)、0.9 倍(青)、0.7 倍(緑)、0.6 倍(水色)でそれぞれ実施しました。

試薬間のトレースを比較すると、AMPure XPのみが高回収率を維持しながら予測可能なDNAサイズセレクション性能を示していることが分かります。このことは、Input(桃色)と1.8倍の磁性ビーズ比率(赤色)の比較から分かります。

  

DNAサイズセレクションのための SPRIselect 磁性ビーズ比率

自在なDNAサイズセレクションを可能にする SPRIselect は、DNAの断片サイズ分布がシーケンス結果に大きく影響するNGSのライブラリ調製に広く使用されています。

SPRIselectは、以下の3種類のDNAサイズセレクションに対応します:

  • レフトサイドセレクション:標的サイズより小さいDNA断片を除去し、標的サイズ以上のDNAをサイズセレクションします。
  • ライトサイドセレクション:標的サイズより大きいDNA断片を除去し、標的サイズ以下のDNAをサイズセレクションします。
  • ダブルサイズセレクション:特定のサイズ範囲内(150bp以下、800bp以下)のDNAをサイズセレクションします。

必要とするDNAサイズ分布に応じて、DNAサイズセレクション条件を決定します。

SPRIselect Beads—Left Side DNA Size Selection Chart

SPRIselect Beads—Right Side DNA Size Selection Chart

Figure 2. Agilent High Sensitivity DNA Chip Electropherogram での泳動結果: (左) レフトサイドセレクション、(右) ライトサイドセレクション。M = DNAサイズマーカー、Shear = Inputサンプル 20ng/μL から1μLをアプライ。1.2x~0.4x = それぞれの磁性ビーズ比率条件でDNAサイズセレクションを行った標品 1μLをアプライ。

ダブルサイズセレクションで使用される磁性ビーズ比率条件の詳細については、SPRIselect Instruction for Use を参照してください。

  

AMPure XP 類似製品では、磁性ビーズ比率が異なります

すべての磁性ビーズ式のDNA精製試薬キットが、1.8倍の磁性ビーズ比率を採用しているわけではないことに注意する必要があります。Figure 3に示すように、さまざまなメーカーから発売されている12種類の精製キットのうち、AMPure XP, SPRIselectを含め、精製に1.8倍の磁性ビーズ比率を推奨しているのは5種類だけです。

Comparison of bead ratios used in cleanup reagents of different manufacturers

Figure 3. 各メーカーの精製試薬キットの磁性ビーズ比率の比較。赤いバーは、AMPure XPとSPRIselect。 

AMPure XP, SPRIselect から別の精製試薬キットへの切り替えを検討している場合は、以下のような影響に注意する必要があります:

  • 目的サイズのDNA断片のロス:磁性ビーズ比率が異なると、特定サイズのDNA断片の結合効率や回収率に影響することがあります。異なる比率のキットに切り替えた場合、目的サイズのDNA断片が失われてしまう可能性があります。
  • 磁性ビーズ比率の再計算:新しいDNA精製試薬を採用した場合、磁性ビーズ比率をメーカーが提供する技術情報に基づいて再計算する必要があります。
  • ラボプロトコルの書き換え:これまでの標準的な1.8倍の磁性ビーズ比率を採用していた研究室は、新しいDNA精製試薬に対応する磁性ビーズ比率に変更するにあたり、ラボプロトコルやSOPを修正する必要があります。

さらに技術情報は必要ですか? SPRI磁性ビーズのスペシャリストにお問い合わせください。

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