FormaPure XL 性能データ
FFPE組織からのDNA/RNAの抽出(手動実験・自動処理)
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織からのDNA/RNA抽出は、前処理を含め大きな困難が伴います。FormaPure XLは、次世代シーケンシング(NGS)やqPCRを含む下流アプリケーションに好適なDNA/RNA抽出が実証されている試薬キットです。重要な遺伝情報を失うリスクを最小限に抑えるためには、FFPE組織からの抽出DNA/RNAの分解程度の小ささ、収量、純度を最大限に高める必要があります。
- FFPE組織サンプルからの抽出、抽出DNA/RNAのNGS解析まで実証
- 10~70µMのスタートサンプル濃度に対応
- qPCRやNGSアプリケーションの結果向上に貢献する高品質な抽出DNA/RNA
NGSのパフォーマンスは分解の少ないRNA抽出から始まる
フラグメント解析の結果から、FormaPure XLはカラム式キットで抽出したRNAと比較して、DV200スコア(200nt以上のRNAの割合)の高いRNAを抽出します。DV200スコアが高いと、NGSのパフォーマンスが向上します。

Figure 1, 2:FormaPure XL Total/RNAは、カラム式キットよりも分解の少ないRNAを抽出します。FormaPure XL RNA(青チャート)とカラム式キット(オレンジチャート)を用いて、4 種類の FFPE 組織からRNAを抽出し、Agilent RNA ScreenTapeでフラグメントサイズを評価しました。乳がんと大腸がん組織からのRNA抽出は、10μm切片7枚から行いました。DV200の値は、200nt以上のRNA断片の割合です。

Figure 3:乳がん、大腸がん、前立腺がん、肺がんの各組織から10μm切片1枚からRNA抽出を行い、Agilent RNA ScreenTapeで抽出RNAを評価しました。FormaPure XL Total/RNAは、カラム式および超音波式キットと同等以上にRNA分解程度が小さいという結果となりました。DV200の値は、3回のテクニカルレプリケートの平均および標準偏差を表しています。
DNA/RNA収量は以下の要素によって決まります:組織の種類、組織の大きさ、腫瘍の種類、固定方法、パラフィン包埋方法、試薬、保存条件、組織投入量、抽出化学、固定からの年数

Figure 4:5種類のFFPE組織(10μm切片7枚)からFormaPure XL Totalとカラム式キットを用いてDNA/RNAを抽出しました。3回のテクニカルレプリケートによる平均収量および標準偏差を示しました。DNA/RNA収量は、ThermoFisher Quant-it assayで定量しました。
FormaPure XLは、希望するFFPE組織切片数(最大10μm切片7枚)からDNA/RNAを抽出することができます。
| Number of Curls | RNA Yield (ug) | DNA Yield (ug) |
|---|---|---|
| 1 | 1.0 | 1.2 |
| 3 | 3.5 | 3.1 |
| 5 | 10.3 | 11.3 |
| 7 | 13.3 | 9.5 |
Table 1:乳がんFFPE組織からFormaPure XL Totalを用いて、切片(Curl)数を変えてDNA/RNAを抽出しました。DNA/RNA収量は、10μm組織切片7枚からDNA抽出した場合を除いて、切片数が増えるにつれて収量が増加しました。このデータの解釈には、切片内の組織含有量のばらつきを考慮する必要があります。
FormaPure XL Total ワークフロー

- FFPE組織の脱パラフィン
- FFPE組織の溶解、RNA用サンプルの脱クロスリンク
- Lysateの半分をRNA用サンプルとして分割し精製
- 磁性ビーズにRNAを結合
- 磁性ビーズと夾雑物を磁力で分離
- 磁性ビーズを80%エタノールで洗浄し夾雑物を除去
- DNase I 処理
- RBAバッファーによるRNAの磁性ビーズへの再結合
- 磁性ビーズと夾雑物を磁力で分離
- 磁性ビーズを80%エタノールで洗浄し夾雑物を除去
- 磁性ビーズからのRNAの溶出
- 溶出したRNAを新しいプレートに移す
- Lysateの残りをDNA用サンプルとして精製
- RNA精製中に、DNA用サンプルの脱クロスリンク
- RNase A処理
- 磁性ビーズにDNAを結合
- 磁性ビーズと夾雑物を磁力で分離
- 磁性ビーズを80%エタノールで洗浄し夾雑物を除去
- 磁性ビーズからのDNAの溶出
- 溶出したDNAを新しいプレートに移す
手動抽出と自動抽出の所要時間比較
FormaPure XL Total/DNA/RNAは、手動実験・自動処理の両方の抽出ワークフローに適した柔軟な抽出試薬キットです。
- スループットに応じた自動化提案
- すぐに導入可能なBiomek自動化メソッド
- 試薬、自動分注機、自動化メソッドの知識豊富なベックマン・コールターによる包括サポート
| FormaPure XL Total | FormaPure XL DNA | FormaPure XL RNA | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Manual | Automated | Manual | Automated | Manual | Automated | |||
| Batch Size | 8 | Hands-on Time | 3.5 | 0.5 | 1 | 0.5 | 2 | 0.5 |
| Total Time | 6.5 | 6 | 3.5 | 5.25 | 4.5 | 5 | ||
| 24 | Hands-on Time | 4 | 0.5 | 1.5 | 0.5 | 2.5 | 0.5 | |
| Total Time | 7 | 6.25 | 4 | 5.5 | 5 | 5 | ||
| 48 | Hands-on Time | NR | 0.5 | NR | 0.5 | NR | 0.5 | |
| Total Time | NR | 6.5 | NR | 5.5 | NR | 5.5 | ||
| 96 | Hands-on Time | NR | 0.5 | NR | 0.5 | NR | 0.5 | |
| Total Time | NR | 6.75 | NR | 5.75 | NR | 5.5 | ||
Table 2:8, 24, 48, 96サンプルからのFormaPure XL Total/DNA/RNA抽出を行うために必要な、手作業時間と合計時間(hour)の推定値です。手動実験だけではなく、自動分注機Biomekシリーズで自動抽出を行うことができます。Biomek i7 Hybridで自動抽出に要する時間を示しており、手動実験と自動処理の所要時間の違いがわかります(NR = 推奨しない処理)。
製品モデル
FormaPure XL Total/DNA/RNAは、スループットに合わせてそれぞれ2種類の製品を用意しています。表の製品番号をクリックして、お見積もりをご依頼ください。
| Part Number | Name | Preps |
|---|---|---|
| C35991 | FormaPure XL Total | 50 |
| C35992 | FormaPure XL Total | 96 |
| Part Number | Name | Preps |
| C35996 | FormaPure XL DNA | 50 |
| C35997 | FormaPure XL DNA | 96 |
| Part Number | Name | Preps |
| C36000 | FormaPure XL RNA | 50 |
| C36001 | FormaPure XL RNA | 96 |
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