Multisizer 4eによる工業分野領域の品質管理
Multisizer 4e は、光学的手法を用いるのではなくコールター原理を用いており、粒子を一つずつ検出・解析するため、強く染色したサンプルや透明な粒子でも精密に測定できます。
Multisizer 4e は、200 nm ~ 1,600 μmの粒子径を測定できます。一つのアパチャーで最大40 倍の粒子径差のある粒子のサンプルを解析することが可能という、ろ過効率の評価、製品均質性、粗大粒子・凝集物の検出に重要な特性を備えています。
アプリケーション
- バイオ医薬品、製薬
- 食品・飲料業界
- 製造業(石油、燃料、塗料、ニス、トナー、研磨剤、油圧油、潤滑剤、電気、化粧品など)
主な特長
- 稼働性能適格性確認(OQ)プログラムによるデータの信頼性を担保
- 標準操作手順(SOP)作成機能によるばらつきの少ない安定した測定が可能
- 各種レギュレーションへの対応
- データインテグリティへの対応
- 1 個1 個の粗大粒子・凝集物の検出が可能
工業分野領域のアプリケーション例
コールター原理は、工業分野においても、インク・トナー、研磨剤、フィルタ、金属、半導体、そして電池分野といった産業における様々な材料・粒子サンプルの品質管理、工程管理の部門において、材料の均一性、異物の検出などの目的で広く利用されている手法で、多くの産業分野において、標準的な分析方法として採用されております。
- トナー
- 研磨剤(CMP スラリー)、半導体材料
- 二次電池材料
トナー
トナーは、レーザープリンターや複写機で文字や絵を紙に印字するために用いられる粉末状の色材で、粒子径の分布測定から製造時の品質評価をするため、広くコールター原理が用いられています。測定例として示しているトナー粒子は、小粒径サイズ側に存在する微粒子数が多いとノズル詰まりの原因になり、粗大粒子が多いとにじみの原因となります。
研磨剤(CMP スラリー)、半導体材料
研磨剤は、研磨剤の粒子となる砥粒の均一性が品質管理上で重要となり、均一性評価にコールター原理が用いられます。その中でもCMP スラリーは、半導体の平坦化工程として使用されている研磨剤です。近年の半導体の微細化に伴い、CPM スラリーも微粒子化の傾向にあり、使用される材質もシリカ、ジルコニア、セリアなどがあります。CMP スラリー中の一定数量の粗大粒子により、ウェハ表面に傷(マイクロスラッジ)が発生し、半導体の歩留まりを悪くする原因となります。
半導体は、様々な電子機器に用いられる基幹部品で、半導体基板上の集積回路の微細化による集積密度の上昇で、単位面積当たりの発熱量が大きくなります。半導体封止材は、この発熱をはじめ、光、湿気などの外力から保護するための材料で、封止材材料の粗大粒子の存在により、クラック(ひび割れ)発生の要因となるため、封止材材料で用いられるシリカ粒子の粗大粒子の検出用途として、コールター原理が用いられます。
詳細はアプリケーションノート「半導体防止剤のクラックを引き起こすシリカ中の粗大粒子の検出」をご覧ください。
二次電池材料
リチウムイオン電池は車載用、設置型電源用として広く普及しており、今後も大容量化・高電圧化の研究・開発が進められております。さらに、電気自動車の普及とともに、さらなる安全性、長寿命化などの改良のために、リチウムイオン電池に用いられるセパレーターと電解液の代わりに、固体電解質を用いた全固体電池の開発も進められております。
これらの二次電池の構成材料となる電解液や正極材・負極材は、異物混入や粒子の均一性が、急激な化学反応による異常発熱や発火による安全性の問題や、充電容量、電池寿命などの性能に影響するため、コールター法は、粒子均一性の評価と粗大粒子の検出が有効な手段となります。
その他アプリケーション
- アプリケーションノート「Multisizer 4eを用いたメッキ液中の異物検出」
メッキ液の異物が表面光沢に影響を与えます。Multisizer 4eなら、メッキ液を希釈せず原液のまま測定可能です。 - アプリケーションノート「Multisizer 4eを用いたブロッキング防止パウダーの粒子径の品質管理」(PDFダウンロード)
コールターカウンターはブロッキング防止パウダー製品の品質管理用標準機として用いられています。 - アプリケーションノート「ファインバブルのサイズと粒子数を正確に測定」(PDFダウンロード)
Multisizer 4eでは、レーザー回折・散乱法では測定できない非常に小さいバブルの粒子をきちんと検出できます。
コールター法を用いた粒子計測装置 Multisizer 4e
コールター原理は数千ものサンプル種の解析に使用されています。工業分野においては、インク・トナー、研磨剤、フィルタ、金属、半導体、そして電池分野といった産業における様々な材料・粒子サンプルの品質管理、工程管理の部門で、材料の均一性、異物の検出などの目的で広く利用されています。ライフサイエンス分野でも細胞サイクルや病理過程における細胞応答、アポトーシス、幹細胞、低温生物学、海洋生物学、生態学等といった、多くの分野の研究において、細胞数と細胞径の変化を計測するのにコールター原理が用いられています。