CD分類チャート 解説
CD分類チャート
資料
血液は、その生理学的意義の高さと実験材料としての入手、調製の容易さから、医学研究において最もよく用いられている組織の1つであり、細胞表面抗原による白血球の機能的亜群や細胞系統、分化成熟段階の同定は、主要関連抗原検索とともにモノクローナル抗体の応用が最も進んだ研究分野です。
ヒト白血球分化抗原に関する国際ワークショップ(HLDA)では、WHO(世界保健機構)の監修のもとで、造血系細胞に対するモノクローナル抗体を反応特異性に基づくクラスターに分類し、それぞれにCD(Cluster Designation)番号を付しています。各々のCD番号は特定の細胞表面抗原分子に対応しており、その抗原に結合する抗体であることを表しています。
HLDAワークショップ(CDワークショップ)は、過去にパリ(1982年)、ボストン(1984年)、オックスフォード(1986年)、ウィーン(1989年)、ボストン(1993年)、 神戸(1996年)、ハロゲート(2000年)、アデレード(2004年)、ケベック(HCDM会議 2006年)、バルセロナ(2010年)、ウロンゴン(2014年)で開催されています。このCDチャートは、現在確定しているHLDA10(ウロンゴン 2014年)までの情報に、2015年10月現在HCDM事務局より得ている新規CDの情報に基づいて追加、修正を加えてあります。
CD分類は、当初は白血球とその前駆細胞の細胞表面抗原に限定されていましたが、現在では血小板、赤血球、血管内皮細胞などの分化抗原にも拡大されるとともに、細胞内の抗原にも適用されはじめています。このため、“HLDA”(ヒト白血球分化抗原)の名称変更が検討され、現在は、HCDMと改称されました。(Human Cell Differentiation Molecules)。また、ヒト以外の多くの動物種においても細胞表面抗原を定義づける手段としてCD分類が広く用いられています。ただし、T細胞レセプタや免疫グロブリン、主要組織適合遺伝子複合体などの可変もしくは多型性の高い分子はCD分類からは除外されています。