細胞を対数増殖期まで成長させる
注:出発材料がリキッドバイオプシーからの検体である場合は、このヒントは省略できます。

ほとんどの研究室では、細胞を対数増殖期まで成長させる実験は日常的に行われています。しかし、特別に注意すべき点としては、対数増殖期まで細胞を培養することではなく、対数増殖期に達する前の細胞プレートを定常的に準備することで、定常的に再現性良く細胞プレートを準備するためには、生死細胞オートアナライザーVi-CELL BLUが有用です。
血球計算盤を用いて算出した細胞数は、研究者の最善の努力もむなしく、細胞凝集物、不均一な混合、不適切な計算などのいくつかの要因によって誤った結論に至ることはよくあります。信頼性の高いセルカウンターと細胞播種時に自動分注機を用いることで、研究室での日々の作業における精度の向上と標準化を実現でき、細胞密度の誤差の影響によって生じる細胞培養初期段階での細胞外小胞(EV)の回収量の損失を避けることができます。
播種不足または播種過多の細胞は、対数増殖期を見逃さないように分光光度計などで注意深く監視する必要があるだけでなく、さらに不正確にカウントされた細胞が播種されたプレートではEVが十分に産生されず回収量が低い可能性があります。
予めわかっている密度で播種された細胞は、想定通りの時間に対数増殖期に到達するため、予定通りにアッセイを進められます。哺乳類の接着細胞を扱う場合、通常は複数のプレートで同時に培養を行い、分光光度計を用いてこれらの細胞の成長段階を実験細胞を破壊することなく評価することができます。
細胞播種方法の標準化の利点は明らかですが、さらに、細胞の典型的な増殖特性を知ることで、細胞や培養条件に問題が起きたときにいち早く気づくことができるという利点もあります。培養細胞は通常、播種後18時間でコンフルエントに達しますが、この時間が遅れていたり、先に進んでいたりする場合は、細胞の継代量(細胞密度)の変更を検討する必要があるかもしれませんし、培地成分や培養条件が変化したことを示していたのかもしれません。
エクソソームを回収するために、細胞の対数増殖期が重要なのは、なぜですか?
細胞外小胞(EVs)は特定のエンドポイントで産生されるため、細胞の培養条件とEVsの放出条件は、EVとその内包性物質の品質に直接影響を与える可能性があります。たとえば、過密状態の静止期での培養条件と同様のストレスの多い条件で細胞を培養すると、EVの内包性物質はより過酷な培養環境を反映した成分に変化しました(1)。
実験の目的が健常状態でのEVの内容性分子の分析の再現性の確認である場合、適切なタイミングで培養細胞プレートからEVを回収することが重要です。
References
- Villarroya-Beltri C, Baixauli F, Gutierrez-Vazquez C, Sanchez-Madrid F, Mittelbrunn M. Sorting it out: regulation of exosome loading. Semin Cancer Biol. 2014;28:3-13.