エクソソームについて
生物学を理解するのに不可欠な、複雑に絡みついた細胞が信号として発信する情報の中には、あまりにも単純に見えるため、ないがしろにされてしまう細胞発信情報があります。識別ミスや廃棄物とみなされている細胞小器官などはその一例です。改良させた細胞培地や体液に豊富にある小さな(30~120 nm)膜結合性小胞であるエクソソームは、事実、そのエクソソームが入っている細胞内で特定の状態を誘発することができる小さな生理活性分子パッケージです。
今日、エクソソームは健康状態あるいは疾病状態を表す有用なバイオマーカーであることが知られており、薬物送達を行うナノ粒子物質としての開発が進んでいます。エクソソームは、ほぼすべての種類の細胞から放出されているため、体液から簡単に回収することができます。また、培地にある細胞からも回収できるため、培地は、この情報を有する小胞の有用な回収源となっています。このような、非侵襲的なエクソソームバイオマーカーの採取源は、リキッドバイオプシーとして知られ、分子を用いた次世代の診断方法として急速に選ばれるようになってきています。起始細胞の膜から採取された脂質二重膜により、免疫反応を誘発せずに、これらは「配達物」を特定の臓器や細胞に送達することができます。この機能により、エクソソームは薬物送達に特に適していると考えられています。
エクソソームの内包物の特質、標的細胞によるエクソソームの取り込み、および内包物分子による特定状態の誘発が研究によって証明されたごく最近まで、エクソソームの生物学の利点は正しく認識されていませんでした。現在、このようなエクソソームの処理構造は、継続してさまざまな用途および専門分野の基礎および応用研究の研究対象となっています。