細胞外小胞の概要

細胞外小胞(EVs)は、ほぼすべての生細胞から分泌される不均一な脂質二重膜構造を有する小胞の総称です。細胞外小胞は、細胞内の産生機構の違いから、エクソソーム、マイクロベシクル、アポトーシス小体の3種類に大別されます。

  • エクソソームの大きさは直径30~150nmで、エクソソームは後期エンドソーム膜の内向きの出芽により形成され、さらに細胞膜と融合することで完全な粒子を形成しエキソサイトーシスにより細胞外へ分泌されます。
  • 一方、マイクロベシクル(MVs)は、細胞膜が外側へ出芽して分離することによって生成される。大きさはかなり広範囲にわたります(直径100~1,000 nm)。
  • アポトーシス小体は、細胞が組織的な細胞死(アポトーシス)を起こすことで生じる。大きさは広範囲にわたり(直径50-5,000 nm)、その範囲はエクソソームやMVsと重なっています。

現在、エクソソームとMVsは、多くの科学的研究で注目されています。細胞内での起源が異なるにもかかわらず、この2種類の細胞外小胞の産生には共通の細胞内メカニズムと機構が関与しています。

Exosomes and Microvesicles

細胞間コミュニケーションの促進

EVsは、主にmRNA、タンパク質、脂質などの様々な生体物質を輸送する媒体として機能することで、細胞間のコミュニケーションを促進します。EVsによって運ばれる内包物の性質や量はEVsを産生する細胞の種類に大きく依存し、内包物自体の存在や量はバイオジェネシスに影響を与えます。しかしながら、細胞には生理的あるいは病理的な状態に応じて、EVsの合成と内容物の両方を調節する能力を持っているという証拠も増えてきています。

エクソソームとMVsが物理的・生化学的特性だけでなく、その内包性物質もよく似ていることも重要です。エクソソームとMVsは、細胞間コミュニケーション、遺伝子転写速度の調節、免疫応答の誘導と調整など、生体内の多くの重要な機能に関与していることから、これらの研究は非常に興味深く、さらにドラッグデリバリーの担体としても大きな可能性を秘めています。

EVs単離の課題

EVsやその他の細胞内小胞を単離するための方法は数多く報告されていますが、エクソソームとMVsはサイズが重なり、形態や表面タンパク質の発現、小胞の内容物の組成も類似しているため、実際に分離することは困難な課題です。そのため、分離分解能を向上させる技術を開発・改良することが重要な重点分野となっています。

さらに、EVを構成する分子の集合やパッケージングに関与する細胞内機構を標的として阻害するための適切な方法がないことも、EVの生命現象の理解を深める上で足かせとなっています。

このような多くのハードルがありますが、私たちは、EVの産生と分析の改善を通じて、研究の革新を推進することに注力しています。ベックマン・コールター・ライフサイエンスは、みなさまの基礎研究および応用研究に橋渡しをするEVワークフローを次のレベルに引き上げるために、多くの製品とソリューションを提供しています。

細胞外小胞の研究に革新をもたらすには、高純度のサンプル調製、検証済みの試薬、正確な特性評価が必要です。私たちは、研究者のEVワークフローに必要な分離、精製、分析を可能にする技術を保有しています。
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細胞外小胞の臨床研究

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