脂質ナノ粒子の不均一性についてより深く理解するには?

Shawn Sternisha, PhD
Global Commercial Product Manager
脂質ナノ粒子(LNP)は、一部のCOVID-19ワクチンで実証されているように、mRNAなどの治療用カーゴを輸送するための重要なツールとして、医療分野で大きな注目を集めています。ですが、多くの場合LNP製剤は非常に不均一であるため、免疫原性が大きい、安定性が低い、生産コストがかかるといった問題があります。
LNP製剤はポピュレーション内の生物物理学的および機能的パラメータのばらつきが大きいため、不均一性の評価が簡単ではありませんが、密度勾配超遠心法(DGUC)を用いてLNPを分画することで、詳細な解析が可能です。Patel et al.による研究では、DGUCを用いてLNPを分画後、不均一性を評価し、LNPの組成と特性に関する貴重な洞察を得られました1。
密度勾配超遠心法を用いたLNP特性評価の利点
密度勾配超遠心法を組み入れたLNPワークフロー
密度勾配超遠心法後、LNP製剤間の不均一性を明らかに

おわりに
2種類のLNP製剤の平均粒径とトランスフェクション効率はほぼ同じでしたが、速度ゾーン密度勾配超遠心法で分画を行った結果、高い不均一性が認められました。これは、患者の安全を確保するためにはLNP製剤の組成を正確に識別することが不可欠であることを浮き彫りにしています。密度勾配超遠心法は、不均一性評価を目的としたサンプル精製に最適なアプローチです。LNPの分離には弊社超遠心機シリーズをご検討ください。
参考文献-
Patel, et al. DOI: 10.3390/vaccines11071224, Vaccines© 2023, https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/, imageswere not altered.