皮膚疾患
皮膚疾患は非常に一般的な疾患であり、人口の高齢化に伴って有病率が高まっています。実際、米国皮膚科学アカデミーが発表した報告書によると、米国だけで8,500万人以上が何らかの皮膚疾患に悩まされているとされています1。
皮膚は人体最大の器官
皮膚は人体最大の器官です。爪、毛髪、皮脂腺/汗腺とともに、外皮系(体の最外層を形成する器官系)を構成します。
皮膚は、有害な環境要因から身体を守る、安定性と柔軟性を兼ね備えた保護バリアとして機能します。皮膚は、皮下組織(下層)、真皮(中層)、表皮(上層)の3層で構成されています。

皮下組織:
- 脂肪からなる層
- 体温調節への関与
- 骨や筋肉を保護する緩衝機能
真皮:
- 毛髪の成長
- 汗の分泌
- (血管を介した)表皮への血液供給
表皮:
- 病原体の体内侵入を阻止
- 皮膚に色を与えるメラニンの含有
- 新しい皮膚の生成
皮膚疾患
皮膚疾患の重症度や経過はさまざまで、長期化するものもあれば、一時的なもの、さらには命にかかわるものもあります。
代表的な皮膚疾患
- 湿疹—皮膚のかゆみ、乾燥、赤身を伴う(代表例:アトピー性皮膚炎)。
- 乾癬—かゆみや、鱗屑を伴った皮疹が、膝、肘、頭皮に現れる。
- いぼ—皮膚へのウイルス感染によって生じる。
- 口唇ヘルペス-唇や口周囲の皮膚に小さな水疱が生じる。
- にきび—毛包が角質細胞や皮脂で詰まることによって生じる。
生命にかかわる皮膚疾患
皮膚がんは米国において最も一般的ながんの1つであり2、米国人の5人に1人が生涯で皮膚がんを発症すると推定されています3。
皮膚がんとは、表皮に存在する細胞が急速かつ異常に増殖する疾患です。DNAの損傷が修復されないことで突然変異が生じ、皮膚の細胞が異常に増殖するようになり、最終的に悪性腫瘍を形成します。皮膚がんの主な原因は、有害な紫外線(UV)への過剰な曝露です。
皮膚がんは、深刻な皮膚疾患の中で最も有病率の高い疾患です。一方で、まれではあるものの、同様に生命を脅かす可能性のある重篤な皮膚疾患が、他にも存在します。
以下に代表的な疾患を5つ挙げます。
- 尋常性天疱瘡:皮膚や全身の粘膜に水疱を生じる自己免疫疾患。
- スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS):多くの場合、インフルエンザ様症状で始まり、赤色または紫色の発疹が広がって水疱を形成。通常、薬剤に対する副作用として生じる。
- 中毒性表皮壊死症:皮膚がシート状に剥がれて、広い範囲にわたって皮膚がないむき出しの状態となることで感染リスクが高まる、生命を脅かす皮膚疾患。
- 毒素性ショック症候群:細菌が体内に侵入して有害な毒素を放出することによって生じる、急性かつ生命を脅かす可能性のある疾患。赤色の平坦な発疹が全身に広がり、特に手掌と足底では皮膚が大きなシート状にはがれる症状がみられる。
- ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群:ブドウ球菌感染によって産生される毒素が原因で発症する疾患。皮膚が熱傷を受けたかのような外観を呈し、広い範囲でシート状に剥がれ落ちる。
皮膚科学
皮膚科学は皮膚を対象とする医学の一分野です。皮膚科医は、皮膚、爪、毛髪に関連する疾患の研究、診断および治療を専門とする医師です。
皮膚科専門医には以下が含まれます。
- 皮膚病理医—皮膚科と病理学を専門とし、生検で得られた皮膚サンプルを検査することによって皮膚疾患を診断する。
- モース外科医—モース手術は皮膚がん治療に用いられる技術で、皮膚を薄い層ごとに切除し、がん細胞が認められなくなるまで検査を繰り返す。
- 小児皮膚科医—重度またはまれな皮膚疾患をもつ乳児や小児の治療を専門とする。

デジタル技術を活用した皮膚科学
医学の他の分野と同様に、皮膚科学も技術の進歩とともに発展を続けています。デジタル皮膚科学は皮膚科のほぼすべての領域で活用されており4、疾患の発見、診断、治療、さらには予防に至るまで、革新をもたらしています。
モバイルヘルスアプリは、デジタル皮膚科学において重要な役割を果たしています。皮膚科領域のモバイルアプリは合計526種類も存在しており、2014年以降、80.8%という大きな成長を示してきました。遠隔皮膚科の市場シェアも2014年の11.0%から2017年には20.1%と大きく拡大しています5。
こうしたアプリは世界中で使用されており、さまざまな有益な機能を、より簡単に、迅速かつ便利に行えるようにしています。
参考文献
- Lim, Henry W et al. The burden of skin disease in the United States. Journal of the American Academy of Dermatology vol. 76,5 (2017): 958-972.e2.
- Guy, Gery P Jr et al. Prevalence and costs of skin cancer treatment in the U.S., 2002-2006 and 2007-2011. American journal of preventive medicine vol. 48,2 (2015): 183-187. doi:10.1016/j.amepre.2014.08.036
- Stern, Robert S. Prevalence of a history of skin cancer in 2007: results of an incidence-based model. Archives of dermatology vol. 146,3 (2010): 279-82. doi:10.1001/archdermatol.2010.4
- Glines, Katelyn R et al. “Digital future of dermatology.” Dermatology online journal vol. 26,10 13030/qt75p7q57j. 15 Oct. 2020
- Flaten, Hania K et al. Growth of mobile applications in dermatology - 2017 update. Dermatology online journal vol. 24,2 13030/qt3hs7n9z6. 15 Feb. 2018