アレルギー

アレルギー反応時にヒスタミンを放出する肥満細胞の3Dイラスト

アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息などのアレルギー性疾患は、小児および成人の双方に影響を及ぼす、世界的に有病率が増加している代表的な慢性免疫介在性疾患です1。これらのアレルギー疾患は、無害な環境アレルゲンに対する過剰または不必要な免疫応答によって定義され、アナフィラキシーショックを含む、望ましくない、場合によっては生命を脅かす症状として現れます2

免疫応答

アレルギー性疾患の病因には、遺伝的要因、発生的要因、環境的要因のすべてが重要な役割を果たしており、エピジェネティックな修飾が、アレルゲン曝露の影響と、その結果として生じる転帰に関与しています1。アレルギー反応は、免疫学的なメカニズムに基づいて、IgE媒介性反応か非IgE媒介性反応のいずれかに分類されます。IgE媒介性のアレルギー性疾患は最も一般的なタイプであり、特定の抗原に対する免疫記憶が個体に形成される感作期が起点となります3

  • 感作–最初の曝露時に体内に侵入したアレルゲンが捕獲され、ペプチド断片に分解され、抗原提示細胞(APC)によって提示されます。その後、循環するT細胞がAPCと相互作用し、Th2サイトカインの発現が始まり、B細胞によるIgE抗体産生が促されます。これらのアレルゲン特異的IgE抗体は、肥満細胞や好塩基球に結合します4
  • 再曝露–アレルゲンが細胞表面のIgEに結合し、肥満細胞または好塩基球の急速な脱顆粒を引き起こします。その結果、ヒスタミンなどの炎症性化合物が放出され、炎症性細胞の流入が誘導されます5

治療のアプローチと戦略

抗ヒスタミン薬、鼻充血除去薬、コルチコステロイドなど、アレルギー反応の症状を管理するための薬剤は数多くあります。一方、アレルゲン免疫療法(AIT)では、患者を制御された条件下で繰り返しアレルゲンに曝露することで、時間の経過とともに免疫応答を低下させる、効果的な長期療法です6。欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI)および世界アレルギー機構(WAO)は、さまざまなAIT療法を用いたIgE媒介性アレルギーの管理に関するガイドラインやエビデンスに基づく推奨事項を提供しています7, 8

過去10年間、初期の肥満細胞や好塩基球の脱感作、T細胞およびB細胞応答やIgE産生の調節、さらに影響を受けた組織における免疫細胞応答の抑制など、さまざまなメカニズムで作用するAIT薬が開発されてきました9。これらの治療薬は、注射(皮下)または経口(舌下)で投与されるのが一般的であり、一部の研究では、特定のアレルギーにおいては皮下投与のようがより効果的であることが示されています10。これらの治療の有効性を評価するには、血清中の予測バイオマーカー(アレルゲン特異的IgE値や好塩基球活性化など)を測定することが重要です6。アレルギーの有病率が上昇する中で、AITへの関心が高まっており、治療法の標準化や安全性の向上、さらにAIT中止後の効果を長期間維持するための取り組みが進んでいます11

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参考文献

1. Akhtari, M., & Mahmoudi, M. (2019). Epigenetic biomarkers of asthma and allergic disorders. In Prognostic Epigenetics (pp. 139-169). Academic Press.

2. Sicherer, S. H. (ed.). (2013). Food allergy: practical diagnosis and management. CRC Press.

3. British Society for Immunology. (2022). Retrieved 24 January 2022, from https://www.immunology.org/policy-and-public-affairs/briefings-and-position-statements/allergy

4. Oettgen, H., & Broide, D. H. (2011). Introduction to mechanisms of allergic. Allergy E-Book, 1.

5. Yu, W., Freeland, D., & Nadeau, K. C. (2016). Food allergy: immune mechanisms, diagnosis and immunotherapy. Nature reviews. Immunology, 16(12), 751–765. https://doi.org/10.1038/nri.2016.111

6. Nakagome, K., & Nagata, M. (2021). Allergen Immunotherapy in Asthma. Pathogens (Basel, Switzerland), 10(11), 1406. https://doi.org/10.3390/pathogens10111406

7. Alvaro-Lozano M, Akdis CA, Akdis M, et al. (2020) EAACI Allergen Immunotherapy User's Guide. Pediatric Allergy and Immunology. 31 Suppl 25(Suppl 25):1-101. doi: 10.1111/pai.13189. PMID: 32436290; PMCID: PMC7317851.

8. Simons, F. E., Ardusso, L. R., Bilò, M. B., El-Gamal, Y. M., Ledford, D. K., Ring, J., Sanchez-Borges, M., Senna, G. E., Sheikh, A., Thong, B. Y., & World Allergy Organization (2011). World allergy organization guidelines for the assessment and management of anaphylaxis. The World Allergy Organization journal, 4(2), 13–37. https://doi.org/10.1097/WOX.0b013e318211496c

9. Berings M, Karaaslan C, Altunbulakli C, Gevaert P, Akdis M, Bachert C, Akdis CA. Advances and highlights in allergen immunotherapy: On the way to sustained clinical and immunologic tolerance. J Allergy Clin Immunol. 2017 Nov;140(5):1250-1267. doi: 10.1016/j.jaci.2017.08.025. Epub 2017 Sep 20. PMID: 28941667.

10. Tsabouri S, Mavroudi A, Feketea G and Guibas GV (2017) Subcutaneous and Sublingual Immunotherapy in Allergic Asthma in Children. Frontiers in Pediatrics. 5:82. doi: 10.3389/fped.2017.00082

11. Pfaar, O, Bousquet, J, Durham, SR, et al. (2021) One hundred and ten years of Allergen Immunotherapy: A journey from empiric observation to evidence. Allergy. 00: 1– 15. https://doi.org/10.1111/all.15023