垂直ロータの開発経緯について
世界初の 分離用超遠心機 ベックマンModel L および世界初の 分光光度計ベックマンDU型 が、日本科学機器協会/日本分析機器工業会の主催による「分析機器・科学機器 遺産」に最高得点で選定されたというものでした。
これは、日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献した貴重な分析技術/分析機器や科学機器を、文化的遺産として後世に伝えることを目的に、昨年から認定事業が始まったものです。
私共にとって、とても名誉なことだと思っています。

分離用超遠心機 ベックマンModel L

分光光度計ベックマンDU型
さて本題に入ることにします。
「超遠心機の固定角ロータとスウィングロータはどのように使い分けますか?」、「汎用品の15/50 mLコニカルチューブの場合、 固定角ロータとスウィングロータ どちらを使いますか?」、「1.5 mL微量遠心チューブ用のスウィングロータがあるのをご存知ですか?」では、スウィングロータと固定角ロータの使い分けについて説明しました。
今回は、超遠心機の垂直ロータおよび近垂直ロータについてお話します。
多くの大学の共同利用遠心機室には、数多くの超遠心機ロータが並んでいますが、その中の垂直ロータ(Vertical Rotor)あるいは、近垂直ロータ(Near Vertical Rotor)が他の固定角ロータと形状が違うので、これは何に使うロータですか?という質問を若い研究者の方から受けたことが何回かありました。
確かに、これらのロータは使用頻度が減っていることを実感させられる質問です。
以前、プラスミドDNA抽出は超遠心機の最もメジャーなアプリケーションで、30数年前まではこの抽出を固定角ロータで24~48時間ほどの遠心で行っていました。
そこで、この遠心時間を短縮するために沈降経路長を最短にしたデザインの垂直ロータの開発が進められ、1980年にVTi 80、VTi 65、Vti 50ロータが発売されました。
垂直ロータVTi 90遠心チューブはロータに垂直に挿入します
塩化セシウムの密度勾配遠心によって垂直に形成されたプラスミドDNAのバンドは、ロータの減速時に乱れることなく、水平に形成されたバンドになります。左の図のように、チューブの横幅が沈降経路長になり短いため、短時間での分離が可能になります。
このロータにより遠心時間は数時間程度になり、研究が大幅にスピードアップされたのです。もちろんこのロータは研究者に驚きをもって受け入れられ、短期間で多くのユーザーに納入されました。
しかし近年においては、プラスミド抽出はほとんどキット化された方法で行われるようになり、このアプリケーションにおいては、超遠心機の出番は少なくなっています。
それではこれらの垂直ロータ、近垂直ロータは、今はもう使用されていないのでしょうか?
もちろん違うのです。
「近垂直ロータの開発経緯とそれらが今でも使用される理由について 」で、どうして今でも使用されているのか。またその後の1989年に発売された近垂直ロータのメリットなどをお話しします。
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