近垂直ロータの開発経緯とそれらが今でも使用される理由について
「垂直ロータの開発経緯について」で、垂直ロータがプラスミドDNA抽出の遠心分離時間を大幅に短縮するために開発された経緯についてお話しました。
今回は、近垂直ロータの開発経緯と、垂直および近垂直ロータはどうして今でも使用されているかという事に関してのお話です。


垂直ロータ(左)と近垂直ロータ(右)
垂直ロータがチューブ挿入角度0°なのに対して、近垂直ロータは7.5~9°の角度になっています
垂直ロータでのプラスミドDNA抽出においては、必要のないRNAのペレットがチューブの側面に垂直に形成されます。ところが図1のように、このRNAが側面から剥がれてプラスミドDNAのバンド層を乱したり、コンタミを起こすことが時としてありました。
図1. 垂直ロータによるプラスミドDNA抽出
チューブ側面に形成された
RNAのペレットが剥がれています
そこで、この欠点を補うために近垂直ロータが開発されて、1989年に発売されました。
近垂直ロータにおいては、沈降経路長が長くなるため遠心時間は長くなりますが、図2のようにRNAのペレットはプラスミドDNAのバンドの下の側面にペレットを形成するため、プラスミドDNAのバンドは乱れることがなく回収することがでるようになりました。
図2.近垂直ロータによるプラスミドDNA抽出
現在ではスピンカラム式やフィルトレーション式の簡便なキットによって、プラスミドDNA抽出をすることが多くなっています。一方で数は減ったとはいえ、今でも多くの研究者が超遠心機の垂直ロータあるいは近垂直ロータを使用して塩化セシウムの密度勾配遠心法(アイソピクニック法)により、プラスミドDNAを抽出しています。
理由はキット化された他の方法と比べて、純度と収量が優れているからなのです。特にトランスフェクションで使用する場合には、他の方法で抽出したプラスミドではスーパーコイルにニックが入ったものが混在してしまうなどの理由で、トランスフェクション効率の低下やプラスミドを用いるアッセイの活性低下があると多くの研究者が話しています。そんな時には、古典的なメソッドに戻してみるのも一つの策であると思うのです。
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