アッセイおよび-omicsアプローチのためのエクソソームの単離と特性化

エクソソーム研究の説明微小胞、リポタンパク質粒子、微生物、ミクロソーム、タンパク質の凝縮体、DNA、その他の精製中に起こるネクローゼ生成物などの汚染物の存続により、エクソソームの単離は技術的に困難となる場合があります。1これらが、エクソソームの正確な特性化や、アッセイ、その他のダウンストリーム用途での使用を困難にしています。1エクソソームの特性化は、その特徴や機能を理解するだけでなく、そのエクソソーム特有のマーカータンパク質を特定することができ、存在するエクソソームに合った検体解析手段を決定するのに役立ちます。単離法の標準化は、エクソソームの定量および品質の向上、エクソソーム調製物から得られる結果の再現性の向上を実現する可能性があります。エクソソームは病気の診断や治療に果たす潜在的役割が注目されており、エクソソーム検体が不純であると、望ましくない副作用を及ぼす場合があり、エクソソーム技術を医療目的で使う際には、エクソソーム検体の純度を測定することが極めて重要です。臨床診断では、検体内に汚染物質がある状態で診断を行うと偽陽性あるいは陰性反応が出ることがあり、結果として患者の診断を誤ってしまう可能性があります。2

エクソソームの単離方法

エクソソームはほとんどの種類の細胞に含まれているため、細胞を培養したものや体液(血漿、尿、唾液、血清、脳脊髄液など)から単離することができます。3エクソソームの単離プロトコルは検体の種類に合わせて、遠心速度などのパラメータを変えたり、濾過手順の追加、密度勾配法やその他の手法を使用したりすることによりカスタマイズされています。1さまざまな起始細胞からエクソソームを単離・精製する方法として最も広く使用されているのは分画超遠心分離法です。4これは、何回も遠心機を回転させることにより、死細胞、細胞破壊片、血小板、タンパク質、核酸複合体および凝縮体、その他の汚染物質を単離生成物から段階的に減らしていく手法です。1しかし、リポタンパク質粒子、ウィルスやバクテリア、ミクロソーム、DNA、ネクローゼ生成物(アポトーシス小体など)、およびタンパク質凝縮体などといった非エクソソーム汚染物質は、単離生成物に残留してしまうことがあります。

分画超遠心分離法と一緒によく使用されているその他のエクソソームの単離方法には、イオジキサノール密度勾配法、沈殿法、超濾過法、免疫親和性単離法、径により物質を除外するクロマトグラフィー法、マイクロ流体デバイスの使用などがあります。5各手法にメリットとデメリットがあるため、ダウンストリーム用途に最適な手法を慎重に選択する必要があります。さらに、一部の単離方法や精製方法は、タンパク質の回収率を最高にしますが、小胞を特定目的で使えなくしてしまうことがあります。5たとえば、径により物質を除外するクロマトグラフィー法は、比較的低汚染、低コスト、短い処理時間で高純度の検体を精製しますが、最終的に精製される検体は大幅に希釈されており、1回に検体を1つしか処理できない場合もあり、手間のかかるプロセスとなる可能性があります。5

検体内の非エクソソーム内容物は、エクソソームの特性を解析する際や、アッセイやその他のアプローチでこれらを使用する際に大きな問題となります。1小胞調製物から除去するのが困難な一部の汚染物質には、リポタンパク質粒子、微生物、ミクロソーム、タンパク質凝縮体、DNA、その他のネクローゼ生成物があります。1精製したエクソソームで意図しているダウンストリーム用途により、汚染物質を精製したエクソソーム検体から除去するために追加作業が必要となるかもしれません。たとえば、イオジキサノールの密度勾配法を用いて生成したエクソソーム調製物は、エクソソームマーカー「CD63」が豊富で、細胞外アルゴノート2複合体などの汚染タンパク質がなく、高い純度を実現することが証明されています。6汚染タンパク質の量を推定するために一般的に使われている方法は、ナノ小胞の数(NanoSightプラットフォームなど小胞可視化技術を使って得ることができます)とタンパク質濃度(BCAアッセイなど、比色タンパク質アッセイを使って得ることができます)を比較する方法です。7汚染タンパク質がある場合、この比率に変化が確認できるため、エクソソーム検体の純度を推定することができます。比率が1µgあたり3x1010粒子以上のタンパク質のある検体は純度が高いとみなされ、1µgあたり2×109~2×1010粒子のタンパク質のある検体は純度が低いとみなされることが報告されています。7単離プロトコルを作成する際には、内存するエクソソームに対して検体を評価・最適化するだけではなく、存在していない汚染物質に対してもこれを行うことを推奨します。

エクソソームの特性化

エクソソームの量と純度を解析し、精製後の小胞の特性化をさらに進めるために一般的に使用されている手法がいくつかあります。5動的光散乱(DLS)法と超遠心分析法を一緒に行うことで、特定の径範囲にある粒子内のエクソソームを、その光散乱特性に基づき選択的に濃縮します。質量分析法はエクソソーム内のタンパク質内包物を特定し、検体にタンパク質の凝縮体やその他の汚染物質があるかどうかを判断するために使用されます。5電子顕微鏡は、小胞の形態および径、さらに免疫標識と一緒に使う場合はエクソソームの一定の特徴(表面タンパク質など)を目視するために使用できます。1従来のウエスタンブロッティングは、検体内に特定のタンパク質があるか否かを特定しますが、エクソソームの量を測定することはできません。エクソソーム調製物の純度と量を解析するために使用されているその他の手法には、原子間力顕微鏡、光単一粒子追跡、フローサイトメトリー、抵抗パルスセンシングなどがあります。1

調製物内のエクソソームの存在を確認するために、数多くのエクソソームマーカーが特定・使用されてきました。8一般的に使用されているタンパク質マーカーには、Alix、TSG101、CD9、CD63およびエクソソームに豊富に含まれていると考えられているその他のタンパク質(DIP2Bや4膜貫通タンパク質属に属するタンパク質など)があります。2ただし、すべてのエクソソームにこれらのタンパク質が含まれているわけではありません。オンラインデータベース「ExoCarta (http://www.exocarta.org/)」を使うと、研究者がエクソソームの内包物を特定・特性化するのに役立ちます。このデータベースには、特定のエクソソーム調製物で特定されたタンパク質、RNAシーケンス、脂質に関するデータが記載されています。たとえば、最終的には、腫瘍から回収したエクソソームのタンパク質マーカーの特定は、その患者の腫瘍に対する臨床診断試験の開発に使用できるかもしれません。
エクソソームの単離の標準化および特性化は、アッセイやその他のダウンストリーム用途(臨床・治療など)で信頼でき、再現可能な結果を得るために不可欠です。エクソソームの回収元は無数にあり、単離方法もさまざまであるため、プロトコルの標準化や一貫して再現可能な結果を得ることが困難になっています。1ワークフローの作業を自動化することによりエクソソームの単離と特性化を向上する方法について説明します。

参考文献:

1. Witwer KW, Buzás EI, Bemis LT, et al. Standardization of sample collection, isolation and analysis methods in extracellular vesicle research. J Extracell Vesicles 2013;2. doi: 10.3402/jev.v2i0.20360.
2. Xu R, Greening DW, Zhu HJ, et al. Extracellular vesicle isolation and characterization: toward clinical application. J Clin Invest 2016;126:1152–1162. doi: 10.1172/JCI81129.
3. El Andaloussi S, Mäger I, Breakefield XO, Wood MJA. Extracellular vesicles: biology and emerging therapeutic opportunities. Nat Rev Drug Discov. 2013;12:347–357. doi: 10.1038/nrd3978.
4. Théry C, Amigorena S, Raposo G, Clayton A. Isolation and characterization of exosomes from cell culture supernatants and biological fluids. Curr Protoc Cell Biol. Editor. Board Juan Bonifacino Al (2006) Chapter 3, Unit 3.22. doi: 10.1002/0471143030.cb0322s30.
5. Abramowicz A, Widlak P, Pietrowska M. Proteomic analysis of exosomal cargo: the challenge of high purity vesicle isolation. Mol Biosyst 2016;12:1407–1419. doi: 10.1039/c6mb00082g.
6. Van Deun J, Mestdagh P, Sormunen R, et al. The impact of disparate isolation methods for extracellular vesicles on downstream RNA profiling. J Extracell Vesicles 2014) 3. doi: 10.3402/jev.v3.24858.
7. Webber J, Clayton A. How pure are your vesicles? J Extracell Vesicles 2013;2. doi: 10.3402/jev.v2i0.19861.
8. Mathivanan S, Simpson RJ. ExoCarta: A compendium of exosomal proteins and RNA. Proteomics 2009;9:4997–5000. doi: 10.1002/pmic.200900351.

 

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