細胞外小胞の精製に超遠心分離法を選択すべき理由
エクソソームをはじめとする細胞外小胞(EV)は、バイオマーカーや治療薬として有望視されています。ですが、多くのEV精製手法で得られるのは広範な小胞が含まれるポピュレーションであるため、その後の特性評価やアプリケーションに適していません。
超遠心分離法は、EVの特定のサブポピュレーションを再現性よく分離できるため、EV精製のゴールドスタンダードと広く認識されています1。
超遠心分離法によるEV精製
高い分離能で精製できる超遠心分離法
EVは、サイズ、組成、機能が不均一です。 EV集団の物理的特性と機能的特性を正確に評価するには、特定の成分を高い純度で取り出す必要があるため、この不均一さはEV研究における課題となっています。 超遠心分離法は多くの利点があるため、EV精製に最もよく使用される手法です2。
分画超遠心分離法による簡単な精製
シンプルでありながら効率的な分画超遠心分離法(DUC)は、複数回の遠心で、コンタミ物質や凝集物を選択的に排除し、EVを精製します3。DUCは、ハンズオンタイムが最小である、高スループット、高収率、サンプルあたりのコストが低い、という点が主な利点です。さらに、DUCは、多数の微量サンプルから数リッタースケールのバッチまで、さまざまなEV精製ワークフローに適しています。
密度勾配溶媒の使用で高純度を実現

高純度のEV製剤には、一般的に、ショ糖やイオジキサノールなどの密度勾配溶媒が使用されます。ショ糖クッションを用いた密度勾配超遠心(DCUC)法では、密度勾配溶媒の「クッション」上にEVを穏やかに沈降させます4が、DGUC法は、密度の異なる勾配溶媒を使用し、浮遊密度に基づいてEVのサブポピュレーションを分離します5。EVの純度を最優先する場合は、密度勾配による分離が不可欠です。
おわりに
超遠心分離法には明らかな優位性がいくつかあり、現在EV精製に最も広く使用されている方法です。さらに、超遠心機自体は、さまざまなEVアプリケーションに広く適しています。超遠心分離法によってEVワークフローがどのように強化されるかについては、こちらをご覧ください。
参考文献-
Saenz-Cuesta, et al. (2015). Front Immunol, 6, 50. DOI: 10.3389/fimmu.2015.00050
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Konoshenko, et al. (2018). Biomed Res Int, 8545347. DOI: 10.1155/2018/8545347
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Sharma, et al. (2020). Sci Rep, 10, 13327. DOI: 10.1038/s41598-020-70245-1
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Duong et al. (2019). PLoS One, 15, e0215324. DOI: 10.1371/journal.pone.0236914
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Van de Vlekkert et al. (2020). 10, e3576 DOI: 10.21769/BioProtoc.3576