創薬シーズの探索と選別

創薬研究の目的は、治療に使える新たな物質を発見することです。薬となる物質は、目的とする生理学的効果をもたらすとともに、ヒトが摂取しても安全なものでなければなりません。

創薬研究の初期には、特定の標的にはたらきかけて狙った調節作用を発揮する「ヒット」化合物を見つけることに主眼が置かれます。ヒット生成と選別を行う際に、研究者は大量の化合物をふるいにかけて候補となりうる物質を見つけ、さらにそれらの特徴を評価し、詳しい試験を行います。

第1に研究者がすべきことは、どの化合物を調べるのか決めることです。

もっとも広く行われているのは、ハイスループットスクリーニング技術を利用して、数千あるいは数百万という分子から成る化合物ライブラリ全体を単純に探索するというアプローチです。場合によっては、薬の開発にかかる時間やリソースを節約するために、対象とする化合物の数や種類を絞って探索を行うこともあります。

すなわち、次のような化合物のサブセットを用いた探索です。

  • 標的に対する調節作用を持つことがすでにデータとして示されている化合物
  • 標的に対して調節作用を持つ既存薬剤と構造的に似ている化合物
  • 標的に対して理論上調節作用を持つように、人工的にデザインおよび合成可能な化合物 

化合物管理においては、候補物質の保管、編成、トラッキング、データベース化といった作業を行い、参照・使用しやすいように整理します。化合物管理を効率化することで、化合物を移動させる際の負担を軽減できるだけでなく、関連性の高そうな化合物だけを選んでスクリーニングを行う場合にも役立ちます。

第2に研究者がすべきは、化合物-標的間における相互作用の有無を判断する方法を決めることです。つまり、アッセイ法の選択(あるいは、必要であればアッセイ法の開発)と、「ヒット」の目印となるパラメータの選択が必要となります。偽陽性や偽陰性を避けるには、適切なアッセイを開発することが重要です。また、取得したデータをスクリーニング後に吟味してヒット化合物を選別する際や、下流解析のためにより効果の大きなヒット化合物を見つける際にも、アッセイ法の適切さは大切になってきます。

ヒット生成のための実験は、一次スクリーニングと二次スクリーニングに分けることができます。一次スクリーニングでは、化合物と標的の間に相互作用があるというエビデンスを探索します。この探索は、リガンド-受容体間や抗体-抗原間の相互作用を計測するという形で行うこともありますが、すでに知られている下流効果の阻害や活性化を定量する場合もあります。一次スクリーニングでは多くの場合、ELISAやフローサイトメトリー、エクオリンアッセイといった、非常に高いスループットを持ちシンプルに解釈ができる技術を使用します。

二次スクリーニングでは、一次スクリーニングで見つかったものの中からリード化合物を選別し、さらに詳細な解析へとつなげます。二次スクリーニングの目的は、スループットよりも感度や信頼性に主眼を置きつつ、ヒット化合物が確かに狙い通りの効果を持っているか確認することです。そのため二次スクリーニングでは、一次スクリーニングよりも複雑な、細胞・組織レベルのモデルを使用することが一般的で、作用点や用量反応曲線といったパラメータの測定を目指します。

今日、研究者が膨大な数の化合物を入手でき、最新のハイスループット技術を用いて大量のデータを高速で取得できることを考えると、ヒット生成と選別を自動化することには大きな利点があります。

一部分であれ全体であれ、ヒット生成と選別のワークフローを自動化すれば、化合物を移動させるための作業負担が軽減されるだけでなく、データの正確性や再現性が向上し、さらに人為的なミスや混乱によって生じるエラーを防止することもできます。

サマリー

  • 創薬研究の初期段階では、スクリーニングによって「ヒット」化合物を見つけ、それを確認することに主眼が置かれます。
  • ハイスループットかつ高感度なアッセイ技術を用いて、大量の化合物をスクリーニングします。
  • ヒット生成を成功させるには、化合物管理とアッセイ法の開発が極めて重要です。
  • 一次スクリーニングの目的は、標的-化合物間の相互作用を調べることです。一方で二次スクリーニングの目的は、ヒット化合物が確かに狙い通りの効果を持っているか確認することです。
  • 一部分であれ全体であれ、ヒット生成と選別のワークフローを自動化することには、研究面にも作業面にも大きな利点があります。