プロセス開発

モノクローナル抗体のプロセス開発

モノクローナル抗体(mAb)は、がん、自己免疫疾患、アレルギー疾患、移植合併症などの治療に使用される重要なバイオ医薬品です。治療や診断用途におけるmABの需要が高まりと共に、製造能力の拡大とプロセス効率および費用対効果の向上が求められます。コストを最小限に抑えながら、一貫性があり高品質な製造を行うには、技術の進歩が不可欠です。このような需要に応えるためには、抗体の品質をさらに高め、より効率的で経済的な製造プロセス開発が必要です。


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細胞株開発

細胞培養/発酵

培地最適化

最も有望な候補株

流加の最適化

回収

分析法の開発

細胞株開発には非常に大きな投資が必要です。新たに目的産物の高生産株を取得したとしても、治療薬探索のプロセス完了までに、まだまだ時間を要します。商業規模での製造プロセス開発には、培地最適化、高生産株の流加培養、目的産物の回収、産物を分析による品質管理などが含まれます。このプロセスのすべてのステップが、試行錯誤の繰り返しを要する困難なものです。ワークフロー全体で一貫性と再現性を確保しながら、産物の収量を最大化する必要があります。

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細胞株開発

mAbはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて生産する方法が最も一般的です。CHO細胞が使われる理由は、mAbの機能性に重要な役割を果たす、グリコシル化を含む複雑な翻訳後修飾が可能であるためです。遺伝子操作によって生産性を高めたCHO細胞は、高収率で培養スケールを拡大できるため、mAb製造において重要な役割を果たします。高度な遺伝子工学ツールを組み入れることで遺伝子導入の精度と効率が向上し、製造プロセスはさらに最適化されます。培地組成、温度、pH、および成分供給を含む培養条件を改善すれば、細胞株の安定性を保ちながらタンパク質収量を大幅に増加させることができます。細胞生存率の定期的なモニタリングは、増殖力を備えた細胞の選択を可能にします。加えて、安定した発現系を採用することで、高い遺伝子コピー数と安定した導入部位の選択が可能となり、標的タンパク質を一貫して高収率で発現させることができます。

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プロセス開発

mAbの製造は、アップストリーム工程とダウンストリーム工程の開発と最適化に大別されます。アップストリーム工程の開発には培地・流加条件の検討、バイオプロセス設計、スケールアップが含まれ、いずれも高い産物力価、生産性の向上、一貫した品質安定性が重要です。最適化では、培養の期間を延ばすことで抗体産生率と総収量を増加させます。オンラインモニタリングとアウトカム予測により、システム制御と再現性がさらに強化され、製造プロセスの安定性と信頼性が担保されます。

 
 

培地最適化

mAb生産の促進には、生産性、細胞増殖、品質の改善が必要で、そのためには培地最適化が不可欠です。細胞株、プロセス、培地構成要素などの特有の複雑さがあり、細胞代謝経路と複雑に相互作用することから、培地の最適化にはカスタマイズされたソリューションが必要です。培地開発を効果的に進めるためには、単成分のタイトレーション、培地のブレンド、使用済み培地の分析、自動化によるスクリーニングなどが有効です。

培地のブレンド、細胞培養条件および流加方法の進歩によって、タンパク質収量は大幅に増加しました。細胞の安定した生育を維持し、高品質のタンパク質を産生するには、ビタミン、アミノ酸、微量金属などの微量栄養素のバランスが重要です。流加プロセスの培地最適化では、一般的にバッチ培地の配合、流加濃縮液の調製、および流加方法の改良が行われます。

流加の最適化

流加培地の開発では、基礎培地濃度の最適化、消費する栄養素の管理、蓄積する副産物の制御、細胞増殖と容積生産性のバランスが優先されます。副産物の濃度や培地組成は培養条件によって変動するため、生産効率を高めるためには精密な調整が必要になります。

一般的なアプローチは基礎培地の濃縮ですが、高度な流加最適化では、栄養素の取り込みや副産物の蓄積、細胞増殖の促進と生産性の最大化との間のトレードオフに対処する必要があります。乳酸やアンモニアなどの副産物は、流加を頻繁に、あるいは継続的に行うことでグルコースとグルタミンの濃度を低く維持すれば最小限に抑えることができます。流加液を段階的にボーラス添加する方法は、単純でスケールの拡大が容易なため、業界で広く採用されており、統計実験計画と組み合わせて系統的な最適化に用いられることもあります。

このプロセスは自動化装置の導入により強化することができます。ベックマン・コールターライフサイエンスの卓上小型バイオリアクターと細胞生存率分析装置を使用することにより、データ収集の合理化と、リアルタイムでのプロセス最適化が可能です。

 
 

回収

アップストリームとダウンストリームのバイオプロセス工程は、細胞、細胞デブリ、その他の不純物を除去するための重要な細胞回収工程を通じて相互に関係しています。回収工程の結果は精製効率に直接影響を与えるため、適切な回収技術を選択することが重要です。

遠心分離は細胞の収穫に最も一般的に採用されている手法の1つです。遠心分離は固体と流体の密度差を利用することで、比較的簡単に物質を迅速に沈降させることができるアプローチです。特に大容量の培養細胞の分離に有効で、短時間で回収する細胞量を最大化できます。

分析法の開発

後期のプロセス開発では、プロセスの収率、安定性、拡張性、規制コンプライアンスが優先されます。患者の安全を守るためには、産物の品質確保し、同等性の維持が重要です。Valita Titerマイクロプレートなどの細胞ベースのアッセイや超遠心分析法などの高度な分析技術は、一貫した品質管理に極めて重要な役割を果たします。また、これらのツールを活用することで、製造プロセスが合理化され、技術移転を効率的に進めることができます。

 


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