微生物のバイオプロセス

 

パラレル培養による研究

効率のよいバイオプロセスの開発にかかる時間を短縮しつつコストを削減するのは、難しい課題です。高収率で高いタンパク質のタイターを得るには、微生物株、培地組成、プロセス条件に関する膨大な数の実験を行うなど、かなりの量のスクリーニングを行う必要があります。ハイスループットな培養をマイクロリットルスケールで行うことで、この課題を解決することができます。さらにマイクロリットルスケールのハイスループット培養では、多くのデータが得られ、工程が自動化され、原料の投入量が少なくてすむため、培養に必要な時間と人員も少なくてすみ、コストを削減することができます。マイクロバイオリアクター BioLectorは、マイクロリットルスケールでのプロセス制御に適した製品です。

アプリケーションの例

 

嫌気性培養

マイクロバイオリアクター BioLector XTはバイオプロセス開発のトレンドに沿った機能を搭載した製品です。48ウェルによるパラレル培養を行いながら、生菌数、pH、溶存酸素、蛍光などのパラメータを、一度に最大6計測行うことができます。マイクロタイタープレートはガスリッドにより外部環境から完全に遮断されるため、マイクロバイオリアクター本体を通常のラボ環境で使用しても、ガスリッド内嫌気条件は厳格に維持されます。マイクロ流体モジュールを組み込むことで、嫌気性のフェドバッチプロセスやpH制御プロセスも可能です。

微好気性細菌には、既定条件である1%~21%の範囲に酸素量を維持するために、酸素ダウンレギュレーションモジュールの使用をお勧めします。

このように、BioLector XTは、嫌気性あるいは微好気性微生物株のスクリーニングや、マイクロバイオーム、食品および飲料研究にも力を発揮する製品です。

 

バイオプロセス開発

スクリーニングやプロセス開発などの従来メソッドの多くは、機能の拡張性に限界あり、スループットの低さ、バイオプロセスパラメータの少なさなどの課題がありました。

マイクロバイオリアクター BioLector XTは、こうした制約を取り除くことができる先進的なツールです。マイクロタイタープレートが花形の形状であることや、マイクロバイオリアクターの振とう機能により、幅広い酸素移動を行うことができ、ベンチスケールやパイロットスケールへのスケールアップが可能です。

ベンチスケールの培養槽からは多量のバイオプロセス情報が得られる一方、スループットは限定されていました。振とうフラスコを使った方法では同時培養の数は増やせますが、センサー技術を使用していないため、プロセス情報はほとんど得られません。また、サンプリングのために培養を中断する必要があり、ガス供給や培養に影響を及ぼしていました。

マイクロバイオリアクター BioLector XTは、48ウェルによるパラレル培養を行いながら、生菌数、pH、溶存酸素、蛍光(タンパク質や色素など)など最大6つのパラメータを同時に計測します。計測の間、培養が中断しないように、ガスを供給しながらプレートの振とうを続けます。計測は数分ごとに行われるため、代謝変化を示す生菌プロファイルの小さな変化も検出することができます。

 

クローンのスクリーニング

大規模なライブラリからクローンをスクリーニングするには、多大な労力がかかりるため、ある程度のランダムスクリーニングをせざるを得ず、その結果、スクリー二ングするクローンが多ければ多いほど、目的の最適な条件を見いだせる確率は低くなります。従来のスクリーニング方法はスループットあるいはデータ量が十分でなく、目的のクローンが検出されない場合もあり、どうすれば改善できるのかもわかっていませんでした。

マイクロバイオリアクター BioLector XTは、ハイスループットスにクリーニングすると同時に、生菌数、pH値、溶存酸素、蛍光など代謝に関連した情報を取得することで、この課題を解決することができます。マイクロバイオリアクター BioLector XT のハイスループット仕様は、データ収集量が多く、様々な条件下でのクローンスクリーニングのスピードを加速し、クローンスクリーニングや培養の最適化に必要となる情報を得ることができます。これは、微生物株のタイムリーかつ確実な開発への道を拓きます。

 

培地の最適化

従来法による培地の最適化において、評価計測にはサンプリングによる制限を避けるために、2~3時間に1回程度しか行うことができませんでした。この方法では生菌数やDOシグナルなどに現われるわずかな変化を見逃してしまい、収集できるデータも少ないため、間違った、あるいは不十分な情報から結論をだしてしまう場合がありました。マイクロバイオリアクター BioLector XTでは、培養パラメータをオンラインで計測するためサンプルを取り出す必要はなく、収集するデータ量も多くなります。また、ハイスループット仕様により、統計的な実験計画法(DoE)にも適しています。多くの栄養成分を個別に評価できるだけでなく、培養との相関をモニタリングできるため、最も生産性が高くコスト効率のよい培地へと最適化することができます。

 

合成生物学

合成生物学の重要なアプリケーションの一つとして、微生物の発現系から新たな代謝経路をデザインし、バイオ燃料や新規化学構造体などの革新的な化合物開発が行われています。このような新しいバイオプロセス開発では、再生可能な原料を基質として使い、バイオエコノミーとして知られる今までにない持続可能な産業を作り出しています。

BioLector技術を活用して、合成微生物の生理学的特性を研究することができます。代謝経路を改変することで、微生物の増殖変化や培養液のpHにも影響が及ぶ可能性があり、新しいバイオプロセス開発を設計する前に、詳しく調べる必要があります。プロセスのパラメータをオンラインでモニタリングできるマイクロバイオリアクターの技術を用いれば、培養や培地条件が異なっても、これら全ての微生物をハイスループットに評価できます。

研究者は、微生物の増殖速度、酸性化速度、酸素消費量、目的産物の合成速度などの比較も簡単に行えます。さらに、マイクロバイオリアクター BioLector XTは、蛍光タンパク質(例:GFPなど)をレポーターとして使い、新規プロモーターや合成プロモーターライブラリーの解析にも頻繁に使用されています。