‌DxFLEX ClearLLab 10Cシステムのメソッド一致度を評価する性能試験

Map of the clinical study sites

サンプル調製

ClearLLab 10C System

‌ClearLLab 10Cシステム System

リンパ系および骨髄系細胞を対象としたイムノフェノタイピングによる白血病・リンパ腫*(L&L)のFDA承認・CEマーク取得、IVDアッセイ(日本においては研究用試薬です)。

*非ホジキンリンパ腫のみに対応

サンプル取得

DxFLEX flow cytometer with tube auto loader

フローサイトメーター DxFLEX *3

13カラー*2のマルチカラー解析が可能で、コンペンセーションが容易に行える新しい検出器技術を実装したDxFLEXで、ハイコンプレキシティ検査がより効率的かつ容易になります。

*2米国では、DxFLEXフローサイトメーターは ClearLLab 10C 試薬システムを使用した10カラーin vitro診断用として承認されています。蛍光チャネル(FL11-FL13)、その他のすべてのアプリケーションは、研究用途専用です。
*3 コンパクトクリニカルフローサイトメーターDxFLEX, 製造販売届出番号:13B3X00190000074, 一般医療機器(特定保守管理医療機器、設置管理医療機器)

‌サンプル解析

Kaluza C Analysis Software 10 Color Data

Kaluza

‌フローサイトメトリー解析ソフトウエア

フローサイトメトリー解析ソフトウエア Kaluzaで、取得したデータから有意義なレポートを作成できます。

‌はじめに

フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピング(FCI)は、血液リンパ系悪性腫瘍の貴重な診断ツールです1。フローサイトメーターDxFLEXは、高感度で簡単に使用できると好評いただいているCytoFLEXファミリーの臨床用途版です。DxFLEXには、CytoFLEXファミリーと同じアバランシェフォトダイオード(APD)技術が採用されています。この技術は、一般的な光電子増倍管(PMT)が使われているフローサイトメーターよりも感度が高く、ゲイン設定/電圧と測定された蛍光強度との間に線形相関があるため、マルチカラー フローサイトメトリー検査がより簡単に行えます2, 3

ClearLLab 10C*システムをフローサイトメーターDxFLEXと共に使用する多施設共同臨床試験で、DxFLEX(試験対象のメソッド)の性能が フローサイトメーターNavios EX**(比較対象のメソッド)と同等かを検証しました。

ClearLLab 10C試薬システムは、DxFLEXでの使用において、510 (k) 承認および IVDR 認証を受けていますが、日本においては研究用試薬です。
** Navios EXハイエンドクリニカルフローサイトメーター, 製造販売届出番号:13B3X00190000050, 一般医療機器(特定保守管理医療機器、設置管理医療機器)

‌結果と考察

米国、カナダ、ヨーロッパの 5 施設で多施設共同臨床試験を実施し、DxFLEXとClearLLab 10Cシステムの臨床精度性能を評価しました。合計527の検体(WB:全血=300名、BM:骨髄=172名、LN:リンパ節=55名)が登録されました。すべてのWBおよびBM検体のうち、K2EDTAで採取したものが39.62%、ヘパリンが35.59%、ACDが24.79%でした。‌登録された検体の疾患カテゴリ分布は、概ね、急性白血病:19%、慢性白血病:24%、非ホジキンリンパ腫:36%、形質細胞腫瘍10%、骨髄異形成:8%、骨髄増殖性腫瘍:3%でした。 DxFLEX 10Cシステム(試験対象のメソッド)およびNavios EX 10Cシステム(比較対象のメソッド)での解析結果の定性的なフェノタイプの一致度(表現型が異常なポピュレーションの有無)を比較しました。

統計的解析(Table 1)より、527検体全体で、DxFLEXとClearLLab 10Cシステムによる異常フェノタイプの検出結果(246の検体でフェノタイプの異常を検出)が100%一致(95%信頼下限=98.46%)、異常なフェノタイプが存在しないとする結果(281の検体がフェノタイプ正常であると確認)も100%一致(95%信頼下限=98.65%)したことがわかります。この結果から、両システムより得た結果が、全体一致度(フェノタイプの正常および異常)が100%であったと結論できます。

DxFLEX (Test Method) Navios EX (Predicate Method) Sum
Presence of Abnormal Phenotype (+) Absence of Abnormal Phenotype (-)
Presence of Abnormal Phenotype (+) 246 0 246
Absence of Abnormal Phenotype (-) 0 281 281
Sum 246 281 527
Agreement Estimate 95% Confidence Limits
Lower Upper
PPA 1.0000 0.9846 1.0000
NPA 1.0000 0.9865 1.0000
OPA 1.0000 0.9928 1.0000

Table 1.全検体での臨床精度性能

おわりに

この多施設臨床試験の結果から、ClearLLab 10Cの意図された使用において、DxFLEX 10CシステムとNavios EX 10Cシステムは、同等の精度で異常細胞の有無を判定できることが実証されました。

材料

  1. フローサイトメーター DxFLEX、DxFLEX用解析ソフトウエア CytExpert
  2. DxFLEX用オートローダー
  3. DxFLEX Daily QC Fluorospheres
  4. ClearLLab コンペンセーションキットおよびコンペンセーションビーズ
  5. ClearLLabコントロール細胞(正常細胞および異常細胞)
  6. ClearLLab 10C B細胞チューブ、T細胞チューブ、M1細胞チューブ、M2細胞チューブ
  7. ‌IOTest 3 固定試薬および溶血試薬
  8. CytoFLEX、DxFLEX、IsoFlow用シース液
  9. PBS
  10. 非働化処理済みFBS
  11. FlowClean 洗浄剤
  12. Contrad 70 試薬
  13. フローサイトメーターNavios EX
  14. Flow-Check Pro Fluorospheres
  15. Flow-Set Pro Fluorospheres
  16. ClearLLab 10Cアプリケーションの使用目的に応じて匿名化された残余臨床検体
  17. フローサイト解析ソフトウエアKaluza

方法

CLSI EP09c1に従って多施設共同臨床試験を設計し 、フローサイトメーターDxFLEXとNavios EXでClearLLab 10Cパネルを使用した場合の定性的フェノタイプ(異常または正常)の一致度を検証しました。本試験には、抗凝固剤K2EDTA、クエン酸デキストロース(ACD)またはヘパリンで採取した全血(WB)、骨髄(BM)、およびリンパ節(LN)検体を使用しました。これらの検体は全体として、白血病およびリンパ腫(L&L)の疾患ポピュレーションに分布する3つの主要な標本タイプを反映しています。試験に使用した残余検体は全て、WCG IRBの承認を得たものです。簡単に説明すると、定期的に行われる臨床検査で残ったサンプルをスクリーニングし、ClearLLab 10Cアプリケーションの意図された使用における、臨床登録の適格性を確認しました。次に、適格性が確認された残余検体を試薬取扱説明書(IFU)に従って調製し、Navios EXとDxFLEXで1回ずつデータを取得しました。すべての製品は、取扱説明書または関連するシステムガイドに従って使用しました。さらに詳しい免疫フェノタイピング評価には、解析ソフトウエア Kaluzaを使用しました。異常フェノタイプの有無は、CLSI H43-A2に従い、臨床診断に関する情報を知らされていない各施設の病理医または同等の専門医による盲検法で評価されました2。 さらに、Navios EX 10Cシステム、DxFLEX 10Cシステムのどちらか、あるいは両方から異常な細胞ポピュレーションが特定された場合には、フェノタイプの詳細な情報を取得しました。

定性的一致度は、ClearLLab 10CパネルをDxFLEX(試験対象のメソッド)またはNavios EX(比較対象のメソッド)で解析して同定された異常フェノタイプの有無のイムノフェノタイピングすることで評価しました。全検体での陽性率の一致度(PPA)、陰性率の一致度(NPA)、および全一致率(OPA)を計算しました。両側 95%信頼区間は、スコア法で計算しました。データ解析には、臨床検査標準協議会のCLSI EP12-Ed33に準拠したSAS統計解析ソフトウエアを使用しました。

参考文献

  1. Craig, F. E. and K. A. Foon (2008). "Flow cytometric immunophenotyping for hematologic neoplasms." Blood 111(8): 3941-3967.
  2. Hedley BD, Cheng G, Keeney M, et al. A multicenter study evaluation of the ClearLLab 10C panels. Cytometry Part B: Clinical Cytometry. Published online 2020.
  3. Lawrence WG, Varadi G, Entine G, Podniesinski E, Wallace PK. Enhanced Red and Near Infrared Detection in Flow Cytometry Using Avalanche Photodiodes. Cytometry A. 2008;73(8):767-776. doi:10.1002/cyto.a.20595
  4. CLSI. Measurement Procedure Comparison and Bias Estimation Using Patient Samples; Approved Guideline – Third Edition. CLSI document EP09c. Wayne, PA: Clinical and Laboratory Standard Institute; 2018.
  5. CLSI. Clinical Flow Cytometric Analysis of Neoplastic Hematolymphoid Cells – Second Edition. CLSI document H43-A2. Wayne, PA: Clinical and Laboratory Standard Institute; 2007.
  6. CLSI. User Protocol for Evaluation of Qualitative Test Performance; Approved Guideline – Third Edition. CLSI document EP12-Ed3. Wayne, PA: Clinical and Laboratory Standard Institute; 2023.

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