遠心分離状態をのぞく “超”遠心機
今回は遠心機の中をのぞくお話です。
“超”遠心機の本来の意味は既にご理解されてますね?(詳しくは「超遠心機の「超」の本当の意味は?」)
通常の遠心分離機に光学系を装備した遠心機です。(図1参照)
極端な表現ですが、重いものは速く落ちていくのが遠心分離ですよね(ニュートン大先生からは “チッチッチッ” と聞こえてきそうですが…)。そのサンプル(例えばタンパク質や核酸、ナノ粒子など)の遠沈していく状況をビデオカメラで撮影するイメージが分析用超遠心機です。 通常の遠心ロータでは中にセットされているサンプルは見えません。しかし、分析用超遠心機は遠心中のサンプルをリアルタイムで見ることができます。
何故、遠心状態をのぞけるのでしょうか?
図1は分析用超遠心機の外観(左)と分析用遠心機内部に組み込まれた光学系(中)です。 サンプルを保持するロータ(右)には4つの穴が開いています(穴は筒抜けです)。
図1 遠心機本体内部に紫外可視及びインターフェアレンス光学系が内蔵されています。
図1のロータの穴にセットするものが図2のセンターピースです。
測定するサンプルは図2の反対側が見えるセンターピースにセットします。扇型の部分にそれぞれブランクとサンプルを装填します。ちょうどダブルビーム分光光度計のイメージです。ダブルビーム分光光度計と同様に差スペクトルが得られます。このセンターピースを“上下筒抜け”のロータにセットしますので上から下まで光が通過し吸収スペクトルを得ることができます。
図2 ブランク溶液(左)とサンプル溶液(右)が入ったセンターピース
図3 センターピースの拡大図(遠心機の真上から見たイメージ図です)
遠心スタートと同時にサンプルは沈降を開始します。

図4 分析用超遠心機の光学系断面図
キセノンフラッシュランプから発せられた光ビームが、グレーティングにより分光され特定波長になった後に、センターピースを経由しフォトマルディテクタへ到達し吸光度を記録します。キセノンフラッシュランプは1秒間に60回点滅します。測定に必要な時だけサンプルに光を当てることができるためサンプルへのダメージを最小限にします。

図5 センターピースの内部
光ビームが回転半径方向へスキャンを実施し各ポジションの吸光度をプロットします。時間経過と共に界面が移動していきますので光ビームを繰り返しスキャニングすることによりサンプルの沈降速度を計測することが可能です。この沈降速度を測定することにより分子量、形状情報、拡散定数、ストークス径などを溶液中に存在した状態でデータが得られるユニークなシステムが分析用超遠心機です。
次回は超遠心分析の分析理論をお話しいたします。
ところで1つクイズです!
分析用超遠心機にて使用するサンプルの入れ物「センターピース」の形はなぜ「扇型」をしているのでしょうか?
答え合わせは「分析用超遠心機のセンターピースはなぜ「扇型」?」で!
トピック
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