超遠心法で再現性よくサンプルを精製するための密度勾配法
密度勾配超遠心法(Density gradient ultracentrifugation)では、密度勾配溶液を作製し、超遠心分離し、サンプル中の各成分の密度の違いによってバンドを形成させるもっとも優れた高分解能分離法のひとつです。密度勾配超遠心法を利用して目的の分画を得るためには、密度勾配を慎重に作製する必要があり、初めての場合は難しく時間がかかってしまうことがあります。そのため、遠心中にサンプルが適切に分離していることを担保するために、密度勾配溶液の品質を評価することが重要です。
密度勾配溶液の準備
密度勾配溶液は、アンダーレイまたはオーバーレイアプローチを用いて、密度の違う溶液を密度の低い順または高い順に段階的に重層して作製します。ステップグラジエント法はそのまま使用可能です。また、ステップグラジエント作製後溶液の拡散を利用して連続密度勾配を作製することも可能です。操作に習熟しグラジエントの乱れを防ぐことができれば皆様の期待どおりの分離結果が得られます。
密度勾配の評価
サンプルが適切に分離されていることを担保するためには、まず密度勾配溶液が意図した通りに作製されているかを検証することが重要です。密度勾配は、ピペッティングやチューブの底からなど、さまざまな方法で作製します。遠心前や後の密度勾配は、勾配材料に応じて、密度、屈折率、および吸光度(紫外線 / 可視光など)のいずれか、またはこれらを組み合わせて測定することにより、密度勾配溶液の特性評価および最適化できます。
密度勾配溶液の使用と保管
密度勾配溶液の準備と評価が終わったら、いよいよ最終ステップの超遠心分離です。密度勾配溶液は、時間の経過とともに拡散し、不十分な分画や一貫性がない結果をもたらす場合があります。そのため、準備後はできるだけ早く使用します。あるいは、事前に密度勾配溶液作製の最適化を行うことにより、低温下でより長く保存できます。
要約
事前に密度勾配溶液を準備する際、その品質の評価をしておくことで、高品質なサンプルの分画が可能な密度勾配溶液を作製することができます。密度勾配超遠心法についての詳細は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。


