膜電位感受性色素

細胞膜やオルガネラ膜の電位変化は情報伝達、エネルギーの産生などに関係しており、細胞の活動を議論するのに重要である。膜電位感受性色素は、電位変化に応じて再分布し吸収や蛍光の変化を起こす色素であり、膜電位の変化をモニターできる。膜電位感受性色素はそのメカニズムから、3種類に大別できる(図6)。
ANEPPS類、ANEPEQ類、RH類などのstyryl系化合物は、細胞に添加されると細胞膜に埋もれて存在する。電位変化によって膜に埋れる深さが変化し、それに伴う環境変化によって蛍光強度が変化すると言われている。応答は速いものの、蛍光強度の変化量としては小さく、その変化は0.1%程度である。


図6 膜電位感受性色素のメカニズム

DiSC類、DiOC類、DiIC類、DiBAC類、DiSBAC類などのcyanine系、oxonol系化合物は、電位変化によって膜内外の局在が変化する膜電位感受性色素である。膜や細胞内タンパクに結合して、疎水的環境に置かれることにより、蛍光強度が10倍前後増強する。アルキル鎖長の差によって、細胞膜(長鎖)やミトコンドリア膜(短鎖)への指向性を示す。

Rh 123、TMRM、TMRE等のrhodamine誘導体は電位変化によって、局在が変化する膜電位感受性色素である。環境による蛍光強度変化が小さく、細胞外・細胞質・ミトコンドリアでの濃度を同時測定することにより、両膜の電位を議論できる。