AUC実験での石英ウィンドウとサファイアウィンドウの使い分け
分析用超遠心(Analytical Ultracentrifuge:AUC)実験において、どのように石英ウィンドウとサファイアウィンドウを使い分ければよいでしょうか?
吸光度測定モードでのAUC実験では、従来は低UV測定領域での透過性に優れる石英ウィンドウが使用されています。干渉波測定モードの実験では、機械的強度の高いサファイアウィンドウを使用します。
サファイアウィンドウ vs 石英ウィンドウ
光学的透過性は同等
空気、緩衝液、タンパク質サンプル(ウシ血清アルブミン;BSA)に対するRubicon ES2サファイアウィンドウ(赤線)と石英ウィンドウ(青線)の光学強度スキャンをそれぞれパネルA、B、Cに示します。パネルDには、両ウィンドウタイプのBSAサンプルの吸収プロファイルを示します。パネルEとFには、両ウィンドウタイプの透過率プロファイルを示します。サファイアウィンドウの光学的透過性は、測定波長230 nm(ペプチド結合のピーク)以下においても石英ウィンドウと同等です。
吸光度測定データによるAUC解析のパフォーマンスも同等*
BSAサンプルの沈降速度法(SV-AUC)実験を回転数25 krpmで行い、サファイアウィンドウ(赤線)と石英ウィンドウ(青線)を用いて、測定波長230 nm、240 nm、280 nmの3波長による吸光度測定モードによる測定結果を解析しました。それぞれの解析結果をパネルA、B、Cに示します。パネルDには、回転数50 krpmでの干渉波測定モードの結果を示します。これらの結果により沈降係数の分布が一致していることから、サファイアウィンドウと石英ウィンドウで得られる結果が同じであることが分かります。
干渉波測定データではサファイアウィンドウの方が良好*
Rubicon ES2サファイアウィンドウは、石英ウィンドウよりも機械的な強度が優れているため、回転数50 krpmを超える高速回転でもウィンドウが変形しにくくなっています。これは吸光度測定データには影響しませんが、干渉は測定データの品質に影響する可能性があります。この表に示したシグナル・ノイズ比から、石英ウィンドウの干渉波測定データの品質が低下していることが分かります。
Summary
新世代のRubicon ES2サファイアウィンドウは、測定波長230 nm以下の吸光度測定モードのAUC測定に使用でき、石英ウィンドウと同等の光学的透過性を示します。またペプチド解析などの高速回転が必要なAUC測定においても、Rubicon ES2サファイアウィンドウは石英ウィンドウよりもノイズの少ない干渉波測定データを得ることができます。
*本解析を実施した解析ソフトウェアはベックマン・コールター ライフサイエンスから提供されるものではありません。またベックマン・コールター ライフサイエンスがその完全性を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断には使用できません。


