Ⅱ. 試薬・材料および検体2

2.検体

①ヒト全血 ①EDTA(2Kまたは3K)またはへパリン採血したもの。(EDTA 3K推奨)
全血検体は採血後、室温(20~25℃)保存し、6時間以内のものを用いてください。
[白血球数の調整法]

白血球数をユニセルDxH800等の血球計算機にて測定し、3~10×103/mm3であることを確認します(白血球分画を行う場合は、EDTA採血のみとなります)。
10×103/mm3を越える場合は、検体の希釈が必要です。
TQ-Prepを用いる場合は、検体を同一患者の血漿または正常ヒトAB型血漿で、希釈してください。
その他の溶血試薬の場合は、PBSで希釈してください。
また、3×103/mm3より少ない場合は、遠心してバフィーコートを採取してください。
*ユニセルDxH800 (製造販売届出番号:13B3X00190000020)


a.白血球数が多い場合 ①-a.白血球数が多い場合( >10×103/mm3
白血球数 希釈倍率
10~20(×103/mm3 2倍
20~30(×103/mm3 3倍
30~40(×103/mm3 5倍
40~50(×103/mm3 6倍
50~100(×103/mm3 10倍
100~200(×103/mm3 20倍
白血病やリンパ腫検体で見られるタンパク質異常による非特異結合を減らすには、あらかじめ37℃のPBSで洗浄してください。
b.白血球数が少ない場合 白血球数が少ない場合(<3×103/mm3
【バフィーコート法】
  • 検体を25℃で500×g、5分間遠心します。
  • 白血球層をピペットで採取します。この際、白血球全部を確実に回収するため、赤血球および血漿も一部回収します。
  • 数回ピペッティングして、十分に懸濁させます。
  • 血球計算機または血球計算板を用いて細胞濃度を測定します。
  • 細胞濃度を10×103/mm3に調整します。
②ヒト骨髄サンプル ②へパリン採血したもの。
【調製法】
  • 血清加PBSをほぼ等量加え、よく攪拌し、4℃で、400×g、4分間遠心します。
  • 上清を吸引除去し、沈渣に同一患者血漿または正常ヒトAB血漿(TQ-Prep処理の場合)、あるいはPBS(その他のサンプル処理の場合)を加え、細胞濃度を3~10×103/mm3(3~10×106/mL)に調整します(脂肪や異物の混入が著しい場合は、40μmナイロンメッシュで濾過してください)。
  • Fcレセプタによる非特異染色が予想される場合は、抗体反応の10~15分前にヒトγグロブリンを最終濃度1mg/mLになるよう加えます。表面イムノグロブリンを染色する場合は、ヒトγグロブリンは入れないでください。
③単核細胞分離サンプル
(比重遠心法)
③【調製法】
リンパ球 比重分離液を用いて、ヒト全血やヒト骨髄サンプルより単核細胞を分取し、1×107個/mLに調整します。
  • 15mL 遠沈管にヒト全血(抗凝固剤を含む)を4mLとり、ほぼ等量のPBS を加え、転倒混和します。
  • 別の遠沈管にリンパ球分離液を4mL入れ、その上に1.の希釈血液を重層します。
  • 4℃で、 400×g、30分間遠心します。
  • 分離液と血漿の間の層をピペットでとり、 別の試験管に移します。
  • PBSを加え、よく攪拌し、4℃で、400×g、8分間遠心します。
  • 上清を吸引除去し、沈渣にPBSを加え、よく攪拌し、4℃で、400×g、4分間遠心します。
  • 吸引除去し、沈渣にPBSを加え、よく攪拌し、4℃で、400×g、3分間遠心します。
  • 吸引除去し、沈渣にPBSを加え、細胞濃度を1×104/mm3(1×107/mL)に調整します。
  • Fcレセプタによる非特異染色が予想される場合は、抗体反応の10~15分前にヒトγグロブリンを最終濃度1mg/mLなるよう加えます。表面イムノグロブリンを染色する場合は、ヒトγグロブリンは入れないでください。
*:リンパ球分離液により遠心時の温度設定や回数が異なります。 リンパ球分離液の添付説明書をご参照ください。

 

末梢血を分離したサンプル中に赤血球が少量残っている場合は、 塩化塩化アンモニウム溶血剤で溶血します。
塩化アンモニウム溶血剤
【調製法】
  • NH4Cl
  • 8.26g/L
  • KHCO3
  • 1.0g/L
  • EDTA-4Na
  • 0.037g/L

 

これらを蒸留水1Lに溶解します。
IOTest 3 溶血試薬(製品番号A07799)が使用可能です。
④リンパ節浮遊液 ④【調製法】
  • 切り取られた組織塊をPBSで洗浄し、付着した血液を除きます。また、組織塊の周辺部は切り捨てます。
  • シャーレに少量の培養液を入れ、組織塊を浸してください。幅の広い鉗子で組織を圧搾するか、あるいはピンセットで組織塊を解きほぐすようにすると、培養液中にリンパ球が遊出してきます。また、目の細かい金属メッシュの上に組織塊を置き、2本のメスを鉛直にして組織塊をはさんで交叉し、細切しても結構です。
  • リンパ球が培養液中に充分遊出したら、培養液をピペットで吸い上げ(組織の破片を吸わないように)、遠沈管に移し、 数分静置して沈殿物を除きます。あるいは、リンパ球が遊出してきた培養液から比重遠心法によりリンパ球を採取します(3)単核分離サンプル (比重遠心法)を参照してください)。