Ⅶ.パルス処理系(4) A/D変換(アナログデジタルコンバータ)

Ⅶ.パルス処理系

4.A/D変換(アナログデジタルコンバータ)

検出された電圧パルスはアナログ値です。これを通常、1024分割のスケール(物差し)で計り、0から1023までのいずれかの整数値に置き換えることを、アナログ/デジタル変換(A/D変換)と呼びます(デジタルフローサイトメーターの登場により、100万以上の分割のA/D変換を行う装置も登場しました)。このA/D変換により、測定データはコンピュータ上での処理が可能なパラメータになります。
スケールの目盛りをチャンネルと呼びます。例えば、5Vの電圧パルスは512チャンネルに相当します。10Vを越えるパルスはすべて1023チャンネルになります。チャンネルに置き換えられた電圧パルスをパラメータの種類ごとに整理し、数値データにします。
これに基づき各細胞がチャンネルのどれに相当したかを表す細胞数頻度グラフを作ります。
また、各細胞ごとの各パラメータのチャンネルの値をリストモードデータとして保存します。

マニアのための基礎知識

1024分割、つまり10ビットA/D変換は、アナログ方式であれば十分な分解能です。しかしアナログ方式は、ログアンプ回路(直線性)と蛍光補正回路(低精度)の問題点を解決することができません。
そこで、デジタル方式フローサイトメーターが1995年に登場しました。デジタル方式ではログ変換をDSPが数学的に変換します。蛍光補正もDSPが数学的に差し引きを演算します。さらに都合のよいことに、高分解能のリニアデータを取得するので、逆行列解析による高精度蛍光補正アルゴリズムを採用できます。
デジタル方式の問題点は、量子化誤差です。EPICS XLでは、20ビットA/D変換機を開発することにより、この難題を解決しました。20ビットとは、約100万チャンネルで6桁ログ(6Log)に相当する広いダイナミックレンジです。推量補間することなしに、精度の高いデータを提供します。

量子化誤念差概図