Stem-Kitを用いたCD34+造血幹細胞絶対数測定

末梢血幹細胞移植(PBSCT)において、CD34陽性細胞数は、比較的簡便に測定しうることから、造血幹細胞/前駆細胞数の指標としてよく用いられています。移植細胞中の造血幹細胞/前駆細胞の数は、移植の成否に直接関わるため、CD34陽性細胞数を正確に知ることは臨床的にも重要であり、測定試薬のキット化や、関連学会(国際血液療法・移植学会-ISHAGE、現ISCT)のガイドラインを代表とする標準化など、測定値の施設間差の解消に向けた努力がなされています。
ベックマン・コールター社のStem-Kitは、造血幹細胞測定をするための試薬 (CD34抗体、CD45抗体、生死判別試薬7-AAD、内部標準ビーズ)と、ISCTガイドラインで推奨されている多段階階層化ゲーティング法に加えて、独自に開発したStem-Trol(CD34陽性コントロール細胞)を用いて機器設定や試薬・操作上のトラブルをチェックすることにより精度管理も万全に行えます。 さらに同サンプルを2回分測定できる量の試薬がセットされており、重複測定による精密なデータを得ることができます。


参考:臍帯血と幹細胞移植

臍帯(へその緒)は造血幹細胞を豊富に含み、白血病や再生不良性貧血の治療に用いられる。臍帯血移植は、国内では1994年に東海大学付属病院が最初に実施したとされる。採取できる幹細胞の量は限られるが、ドナー(細胞提供者)の負担がほとんどなく、HLAが完全に一致しなくても、移植できる(2座不一致でも可能)。1995年以降、採取した臍帯血を保存し、移植を待つ患者に斡旋する臍帯血バンクが各地に設立され、現在は11バンクが活動している。1999年には、全国のバンクの情報を一元管理する日本さい帯血バンクネットワークもスタートした。2007年までに臍帯血移植は約4300例が実施されたが、採取できる医療機関はわずか100余り。現在、保存されている臍帯血は、3万本。胎盤が出てくる前に、へその緒の静脈に針を刺しバッグに採取して、3分間ほどで完了する。バンクにて検査をして精製した後、液体窒素でマイナス196度にて半永久的に保存される。CD34陽性の造血幹細胞数が基準で8億個以上必要である。10億個以上あれば、大人にも処置することができる。足りない場合は、研究に使用される。
一方、骨髄バンクのドナー登録者数は30万人に到達した。理論的には、9割の患者のHLAに適合するという。しかし、骨髄穿刺などドナーに負担の多い骨髄移植は、健康上や都合がつかないといったドナー側の理由で、約半数近くが中断される。近年、ドナーの負担の少ない末梢血幹細胞移植(PBSCT)が開発されたが、事前に造血幹細胞の増殖(動員)を促す製剤の安全性などの問題で、血縁者間または自己(患者)のみに行われている。
2007年の国内での骨髄移植実施数は、約1000例あり、臍帯血移植実施数は、急速に伸ばして約800例である。
ベックマン・コールターは、国際細胞療法学会ISCTのCD34陽性細胞数測定ガイドラインに準拠した世界で初めての造血幹細胞数測定キットstem Kitを10年前に開発し、造血幹細胞移植の大切な検査の啓蒙や実施に長年貢献している。

Stem-Kit による検体測定までの流れ

  
プロセスコントロールとして正常末梢血にStem-Trol™を加えてCD34 陽性細胞数を測定します。測定値をStem-Trol™アッセイ値と照合することにより、機器設定及びサンプル調製が正しく行われていること確認します。
問題点がないことを確認後、検体サンプルを 重複測定し、平均値を算出します。

Stem-Kit(50テスト)構成試薬および必要な試薬

● Stem-Kit CD34 HPC Enumeration Kit 製品番号:A15573(IM3630×1+IM3632×2)



● StemComp(製品番号:IM3631)またはCD8-FITC/CD4-PE(製品番号:IM1379) -蛍光補正用-

必要に応じて
● Coulter Stem-Trol Control Cells(製品番号:IM3632) -補充用-



Stem-Kit による検体測定までの流れ

ISHAGE(国際血液療法・移植学会)プロトコルの測定方法に準拠

・キットで使用しているCD34 classⅢ(581)及びCD45(J33)は、ISHAGE CD34 測定プロトコルでも推奨されているクローンで、S/N 比が高く、わずかなCD34 陽性、CD45 弱陽性細胞集団を確実に見出すことができます。
・ Isoclonic Control (図参照)を使うことにより、効果的にCD34 陽性細胞リージョン内の「偽陽性細胞」を除くことができ、ゲーティングの誤差による測定値の変動を少なくすることができます。
・ 検体として新鮮アフェレーシス検体、全血、臍帯血、及び骨髄検体に使用できます。7-AAD の使用により、凍結保存検体にも使用可能です。

◆ 造血幹細胞数測定に必要な試薬がセットになっており、抗体試薬(2 カラー)は調製済です(Ready for use)。

◆ 内部標準ビーズ法によるシングルプラットフォーム測定
絶対数が既知の Stem-Count を直接検体の中に入れて測定し、ビーズと細胞の数を比率計算します。
※FCM によるCD34 陽性細胞陽性率と血球計算機のデータからCD34 陽性細胞数を算出する方法をデュアルプラットフォーム測定と呼びます。

◆ 同一検体から調製した検体を重複測定し、その平均値を採用
同じテストサンプルを 2 本用意し、重複(繰り返し)測定します。2つの結果がかけ離れた結果でないかどうかを確認し、その平均値を採用します。Stem-Kit には、重複測定分の抗体がセットになっています。

◆ 細胞のロスを防ぐため、No-wash 法

◆ CD34 陽性コントロール細胞Stem-Trol を付属
Stem-Trol は、KG1a 細胞を長期安定化処理したCD34 陽性コントロール細胞です。あらかじめアッセイ値が明記されていますので、測定方法の正確度を評価し、精度管理ができます。

図. Isoclonic control



精度管理について
<CD34細胞絶対数測定における誤差要因>



検体が手元に届いてから、正確なCD34+細胞数測定に至るまでには、上記に示すような様々な誤差要因が存在します。正確にCD34+細胞数測定をするためには、こうした誤差要因をできる限り排除して標準化された方法に従うことが重要です。また、その結果を客観的に評価し継続的な改善を行なうことが精度管理の基本的な考え方です。

検体の採取方法や保存方法、測定時におけるゲーティング方法については、ISHAGE<国際血液療法・移植学会>の示すガイドラインや自施設内での作業標準書の整備によって標準化することが可能です。一方サンプル処理における試薬の状態や反応条件(温度、時間)、手技、機器の状態や設定については、プロセスコントロールを用いて確認する方法が一般的です。

<Stem-Trol> は正常末梢血に加えることでプロセスコントロールとしての使用が可能なCD34 陽性細胞です。これを用いて検体と同様にサンプル調製し、コントロール細胞数(回収率)をカウントすることにより、試薬や反応条件の適切さとともに、先に述べた標準化の効果を確認することができます。

 

Stem-Kit による精度管理操作手順(ダイジェスト)




Ⅵ. Stem-Kit 使用手順

1. 精度管理のためのStem-Trol 処理手順

1) 試験管の準備

試験管2本を用意し、
① TROL 45/34
② TROL 45/CONTROL とラベルします。

 

  2) 抗体の分注

準備した試験管に 各抗体を 20μL
分注します。
① CD45-FITC/CD34-PE
② CD45-FITC/CONTROL-PE

 

  3) 7-AAD の添加

7-AAD を20μL ずつ添加します。

 

  4) 正常末梢血の分注

各々の試験管に 正常末梢血を 100μL 加えます。

注) この時サンプルチューブの壁に血液が付かないよう
に気をつけてください。
付着した場合は、濡らした綿棒で拭き取ってください。

 

  5) Stem-Trol 添加

①と②の試験管によく攪拌したStem-Trol を20μL 加えま
す。

注) Stem-Trol 添加は、キャリブレーションされたピ
ペットを用いて正確に行ってください。

 
 

6) 抗体のインキュベーション

室温、暗所で 20 分間インキュベーションします。

 
 

  7) 溶血剤の添加

1×Lysing Solution(10×Lysing Solution:蒸留水=1:
9)を調製し、試験管①、②に2mL ずつ加えて攪拌後、室
温、暗所で10 分間インキュベーションします。

注) 1×Lysing Solution の調製は測定日ごとに行って
ください。
洗浄操作(遠心分離~上清除去)は、絶対数測定の誤差
要因となりますので、No Wash 法による溶血が理想的
です。

 

  8) Stem-Count の添加

室温に戻したStem-Count を泡立たないように注意しなが
らよく攪拌し、試験管①、②に100μL ずつ加え、再度5
秒以上攪拌します。

注)・Stem-Count の添加は、測定の直前に行って
ください(添加後、2時間以内に解析)。
・Stem-Count の添加は、キャリブレーションされ
たピペットを用いて正確に行ってください。

 

  9) 測定

測定直前に攪拌し、フローサイトメーターで分析します。

注) Stem-Count のビーズが凝集すると、正確な細胞数
をカウントできません。
必ず測定直前に十分攪拌してください。

 

        

CD34 回収細胞数 [#CD34tube①-#CD34tube②] が
Stem-Trol アッセイ値±15%以内ならOK!

 

2. 検体サンプル処理手順

・Stem-Kit では、検体サンプルを重複測定し、それぞれの平均値を採用することでより精密なデータを取得することを推奨しています。
・Stem-Kit の対象検体は、新鮮(採取後24 時間以内)アフェレーシス検体、末梢血、臍帯血、及び骨髄検体です。
分離した CD34 陽性細胞については、添付のLysing Solution の代わりにHank’s BSS(5%FCS 含む)に浮遊させて測定してください。

1) 試験管の準備

試験管を 1 検体につき3本用意し、それぞれ
Ⓐ45/34 #1 Ⓑ 45/34 #2 Ⓒ 45/CONTROL と
ラベルします。 

 

  2) 抗体の分注

1)で準備した試験管に各抗体を 20μL分注します。
Ⓐ CD45-FITC/CD34-PE
Ⓑ CD45-FITC/CD34-PE
Ⓒ CD45-FITC/CONTROL-PE

 

  3) 7-AAD の添加

7-AAD を20μL ずつ添加します。

 

  4) 検体の分注

各々の試験管に検体を 100μL 加えます。

注) この時サンプルチューブの壁に血液が
付かないように気をつけてください。
付着した場合は、濡らした綿棒で拭き取っ
てください。

 

  5) 抗体のインキュベーション

室温、暗所で 20 分間インキュベーションします。

 
 

6) 溶血剤の添加

1×Lysing Solution(10×Lysing Solution:蒸留水=1:
9)を調製し、全ての試験管に2mL ずつ加えて攪拌後、室
温、暗所で10 分間インキュベーションします。

注) ・ 1×Lysing Solution の調製は測定日ごとに
行ってください。
・ 洗浄操作(遠心分離~上清除去)は、絶対数測定の
誤差要因となりますので、No Wash 法による溶血が理
想的です。
・ 分離した CD34 陽性細胞の場合は、Lysing
Solution は使わず、5%FCS+Hank’s 2mL に浮遊
させます。


 

  7) Stem-Count の添加

室温に戻したStem-Count を泡立たないようによく攪拌
し、全ての試験管に100μL ずつ加え、再度5 秒以上攪拌
します。

注) ・ Stem-Count の添加は、測定の直前に行ってく
ださい(添加後、2 時間以内に解析)。
・ Stem-Count の添加は、キャリブレーションされた
ピペットを用いて正確に行ってください。

 

  8) 測定

測定直前に攪拌し、FCM で分析します。
Stem-Count 添加後2 時間以内に分析を行ってください。

注) Stem-Count のビーズが凝集しますと、正確な
細胞数をカウントできませんので、必ず測定直前に
十分に攪拌をしてください。

 

 

測定データ解析方法

ここではNaviosEXのヒストグラム例をもとに説明いたします。
KaluzaやDxFLEXでも同様のテンプレートを作成することで解析可能です。

ISHAGEガイドラインの考え方に基づき、多重ゲートをかけることによって、造血幹細胞解析の精度を上げていきます。真の造血幹細胞の特徴を参考に、下記のステップ順に各リージョン位置の確認と修正を行います。

【真の造血幹細胞の特徴】
・CD45弱陽性である。
・CD34を発現している。
・側方散乱(SS)はリンパ球と同程度を示す。
・前方散乱(FS)はリンパ球と比較すると同程度~高値を示す。


  1. ① 7-AAD negative(生細胞)の細胞集団にVIABLEリージョンをセットします。左端(7-AAD陰性側)や上下端を枠いっぱいまで囲むようにします。
  2. ② デブリスや血小板を含まないようにLEUKSリージョンのCD45側下限をセットし、CD45陽性の白血球全体を囲みます。上端(SS高値側)は枠いっぱいまで囲んでください。このプロット図はドットプロットになっており、CD34+HPCが赤く表示されているので、LEUKSリージョン内に含まれていることをご確認ください。LYMPHSリージョンをリンパ球領域にセットします(⑥で利用)。
  3. ③ CD34陽性細胞集団にCD34 POSリージョンをセットします。CD34の下限を下げ過ぎると、成熟リンパ球や成熟単球の混入が増えるのでご注意ください。
  4. ④ CD45弱陽性(Dim)の集団にCD45 DIMリージョンをセットします。③のCD34 POSリージョンでCD34下限値を下げ過ぎると成熟細胞の混入が増えますので、③のリージョンセットを変更するか、成熟細胞を含まないようにCD45 DIMリージョンをセットしてください。
  5. ⑤ FS/SSプロット図で形態的な特徴から造血幹細胞にCD34+HPCリージョンをセットします。
    (CD34+HPCの絶対数が報告値となります。) まれに出現するデブリスや血小板凝集集団を除外しやすいように、リージョンの左上端は斜めにしてあります。
  6. ⑥ また、別なFS/SSプロット図に②でLYMPHSリージョンをセットした成熟リンパ球が描写されています。FS LYMPHリージョンは上記のCD34+HPCリージョンとリンクされており、同じ形を形成しますので、FS下限値側を上げすぎて、成熟リンパ球をカットしていないか等の確認を行います。
  7. ⑦ CD45/CD34プロット図右上の絶対数測定用ビーズ(Stem-Count Beads)にBEADSリージョンをセットします。
    4分割リージョンはゲーティングには利用しませんが、CD34陽性細胞(緑円の集団)のCD45側の下限値と②のCD45/SSプロット図におけるLEUKSリージョンのCD45側下限値を比較することにより、LEUKSリージョンにおいてCD45弱陽性のCD34陽性細胞集団(CD45/SSの赤表示集団)をカットしていないかの確認に利用できます。
  8. ⑧ 時間/蛍光のプロット図に⑦でBEADSリージョンをセットした蛍光ビーズが表示されています。Single Beads集団のみにCALリージョンをセットします。この際、リージョンの左端が一番左側(TIMEの0チャンネル)になるようにセットしてください。
    Y軸側でやや高い位置にわずかに認められるダブレットのビーズ集団は、リージョンに含めません。

注: 「Stem-Trol 回収率の測定」の際には、①でVIABLEリージョンを右端いっぱいまで囲むようにします。Stem-Trol は固定細胞のため、死細胞と同様、7-AAD 陽性となります。




測定データ解析方法 -他社フローサイトメーターの場合-

以下の手順でデータ解析を行ってください。 (例:B-D FACSCalibur、CELLQuest で解析)


 

検体中の白血球領域にリージョンを設定

FL1/SSC Dot Plot 上でCD45陽性細胞集団全体(造血幹細胞を含む白血球)にR1 を設定します。
リンパ球領域に R5 を設定します。

白血球中の CD34 陽性細胞にリージョンを設定

FL2/SSC Dot Plot 上でCD34陽性かつ低SS 強度の細胞にR2 を設定します。
この Dot Plot のゲートをR1 に設定します。
この Dot Plot で75,000 以上カウントします。

CD45 強陽性の細胞集団を除き、CD34 陽性細胞領域を設定

FL1/SSC Dot Plot 上でCD45が強陽性の細胞集団[非特異反応を示す白血球(リンパ球または単球)]を含まないようにR3を設定します。
この Dot Plot のゲートをR1 かつR2 に設定します。








 

CD34 陽性細胞領域の決定

FSC/SSC Dot Plot 上で顆粒球やデブリを含まないようにR4 を設定します。
この R4 がStem Cell のリージョンになります。
この Dot Plot のゲートをR1 かつR2 かつR3 に設定します。

反応性の確認

R2 中の細胞がCD34/CD45dim かどうかを確認します。
このヒストグラム のStem-Count にR8 を設定します。

ディスクリミネータの確認

R4 をコピーして細胞数測定のためのリージョンがディスクリミネータで切られていないかどうかを確認します。
この Dot Plot のゲートをR5 に設定します。










TIME パラメータで流体系の安定性をモニタ

Stem-Count の位置にR7 を設定します。

死細胞の除去(行う場合)

死細胞の除去を行う場合は、ヒストグラム8にSSC/FL3 Dot Plot を作成します。
生細胞(7-AAD-)にリージョンR9を設定し、ヒストグラム1~4にゲートR9 も設定します。








計算・判定方法

1. Stem-Trol の回収率

例)#テストチューブ ; CD34①(試験管①の#CD34=Stem‒Trol+正常末梢血のCD34+細胞+非特異的結合) =245個/μL 

#コントロールチューブ ; (試験管②の#CONTROL=非特異的結合)= 3個/μL

Stem‒Trol回収率(%)=5x(テストチューブーコントロールチューブ)x100
           Stem-TROLアッセイ値

※校正値は、試薬バイアル瓶に貼付されているラベルに記載されています(*1250個/μL(Lotにより異なります))

      = 5 × (245 − 3) × 100
1250
= 96.8%
                          

                    許容範囲内ですので、検体サンプルの測定を行います。


Stem-Trol の回収細胞率(%)が85~115%の範囲であれば測定系には問題ないと判断し、検体の測定・解析を行ってください。
この範囲に入らないときは、測定系に異常や誤り等がないか見直した後、もう1 度サンプル処理~測定を行ってください。


NaviosEX/Naviosを使用している場合
各チューブ内の CD34 陽性細胞絶対数は、あらかじめStem-Count の校正値を入力しておくことで、自動的に計算されます。


StemTrol 回収率を計算し、85~115%の範囲内に入っていることを確認します。



DxFLEXを使用している場合

各チューブ内のCD34陽性細胞絶対数はあらかじめStem-Countの」校正値を入力しておくことで、自動計算されます。

 


 

NaviosEX/Navios以外のFCMを使用している場合

  1. NaviosEX/Navios 以外のFCM の場合は、Stem Cell のリージョンとStem-Count のリージョンのそれぞれのEvent 数(Count)から次式により絶対数を算出します。

    CD34 絶対数(/μL)= Stem Cellリージョンの Events ×Stem-Count 校正値*
                Stem-CountリージョンのEvents *製品能書に記載

  2. 1で算出した試験管①及び②のCD34 絶対数からStem-Trol の回収率を計算します。

    ・ 試験管①の CD34 絶対数から試験管②のCD34 絶対数を差し引き、換算ファクタ(Stem-Count とStem-Trolの添加量の比= 100μL/20μL = 5)をかけます。

    ・ 次式により、Stem-Trol の回収率を計算します。
    Stem-Trol 回収率(%)= 5 x (試験管① CD34 細胞数-試験管② CD34 細胞数) ×100
                      Stem-Trol 校正値 *

*製品能書に記載



2. 検体サンプル

NaviosEX/Naviosを使用している場合

<検体中のCD34 陽性細胞数の求め方>
StemTrol 回収率確認の場合と同様に、各テストチューブ内のCD34 陽性細胞絶対数を求めます。
次に、下記手順にしたがって非特異結合分を差し引いた、真の CD34 陽性細胞絶対数を算出します。

CD34 陽性細胞絶対数の計算方法

試験管 Ⓐ中の#CD34=25 個/μL、試験管Ⓑ中の#CD34=23 個/μL
両試験管での平均値をとると、(25+23)×1/2=24 個/μL
試験管Ⓒ(コントロール)中の# 非特異的結合=2 個/μL
従って、検体中の#CD34=24-2=22 個/μL


NaviosEX/Navios以外のFCMを使用している場合
EPICS XL およびCytomics FC500 以外のFCM の場合は、StemTrol 回収率確認の場合と同様にStem Cell のリージョンとStem-Count のリージョンのそれぞれのEvent 数(Count)から次式により絶対数を算出します。

CD34 絶対数(/μL)=StemCell リージョンの Events × Stem-Count 校正値*
  (#CD34)    Stem-Count リージョンの Events

*製品能書に記載

上記「a. EPICS XL SystemⅡ, EPICS XL EXPO32ADCおよびCytomics FC500使用の場合」と同様に、非特異結合分を差し引いた、真のCD34陽性細胞絶対数を算出します。




参考文献

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