細胞表面Kappa/Lambda鎖の測定におけるPre洗浄回数の比較
各成熟Bリンパ球はそれぞれKappa鎖またはLambda鎖のいずれか1種類の軽鎖を含む免疫グロブリンを細胞表面に発現しています。
フローサイトメトリーによるB細胞上の免疫グロブリン軽鎖発現の評価は、B細胞悪性腫瘍検査に重要です。 一般的に、健常人ではKappaとLambdaのB細胞比率は約3:2ですが、この比率は悪性腫瘍のクローナルな細胞の増大によって偏りが生じます。
これらの細胞表面免疫グロブリンを検出するには、血漿中の存在する免疫グロブリンやFcレセプターを介して細胞表面上に非特異的に結合している免疫グロブリンを除去することが重要となります。すべてを除くことは難しいですが、洗浄回数を増やすことで解決できることがあります。
Pre洗浄回数を1回、2回、3回と増やした場合のKappa/Lambdaの分離具合を比較しました。
使用抗体
| 製品名 | 製品番号 | クローン (アイソタイプ) | 添加量 (1テスト/μL) |
|---|---|---|---|
| Anti-Kappa-FITC* | C15623 | Polyclonal (F(ab')2fragmentsヤギ) | 20 |
| Anti-Lambda-PE* | C15189 | Polyclonal (F(ab')2fragmentsヤギ) | 20 |
| CD19-PacificBlue* | A86355 | J3-119 (IgG1マウス) | 10 |
溶血試薬
| 製品名 | 製品番号 |
|---|---|
| VersaLyse溶血試薬* | A09777 |
| IOTest3 固定試薬* | A07800 |
溶血試薬と固定試薬の混合は溶血試薬1mLに対して固定試薬25μLを添加します。
*本製品は研究用試薬です。
サンプル調製方法
- 検体1 mLにPBS 2 mLを添加します。
- 400g×3分間、遠心分離し、上清を除きペレットをほぐします。
- 「1.」「2.」を必要回数繰り返します。
- PBSを1mL添加して再浮遊します。
- FCM用チューブに抗体を規定量添加します。
- 「4.」の洗浄済み検体を100μL添加し、混和します。
- 30分間インキュベーション(室温、暗所)します。
- VersaLyse溶血剤(固定試薬添加済み)を1 mL添加します。
- 10分間インキュベーション(室温、暗所)します
- PBSを2 mL添加し400g×3分間、遠心洗浄し上清を除きます。(×2回)
- 細胞ペレットほぐしPBSを500μL添加し、再浮遊します。
- サンプル調製後2時間以内に測定します。データは少なくとも白血球で10万個取得します。
解析方法

- FS/SSのプロット図で白血球(Leukocytes)とリンパ球(Lymphocytes)をゲートします。
- SS/CD19のプロット図でCD19陽性細胞をゲートします。
- リンパ球かつCD19陽性集団をKappa/Lambdaのプロット図に展開します。
洗浄回数の比較結果
染色前の検体を1回洗浄した場合、2回洗浄した場合、3回洗浄した場合のKappa/Lambdaを比較しました。洗浄回数が多くなるほどKappa/Lambdaの分離が良くなることがわかります。

参考文献
Flow Cytometric Testing for Kappa and Lambda light chains Sponsored and reviewed by ICCS Quality and Standards Committee