初期のアポトーシス細胞は、細胞膜の構造を保ったままで細胞膜リン脂質の非対称性を喪失します。Annexin Vキットは、細胞膜構造を調べるための核染色用色素と細胞膜非対称性を調べるためのAnnexin V試薬を含みます。

フォスファチジルセリン（PS）は陰性荷電したリン脂質で細胞膜の内側に局在していますが、アポトーシスのごく初期に細胞膜の外側に表出します。Annexin Vはカルシウム依存性のリン脂質結合タンパク質で、PSとは高い親和性で結合します。Annexin Vキットは、Biotin、FITCもしくはR-PE標識したリコンビナントAnnexin Vと、核染色用色素としてPI（ヨウ化プロピディウム）または7-AAD（7-アミノアクチノマイシンＤ）、反応用のバッファで構成されています。

染色手順は迅速かつ簡単で、アポトーシス細胞を容易に検出することができます。細胞の固定は必要ありません。Annexin Vと核染色用色素で二重染色した場合、3種類の細胞集団、すなわち、

1. Annexin Vと核染色用色素のいずれにも染まらない生細胞
2. Annexin Vおよび各染色用色素の両方に染まるネクローシス細胞もしくは後期のアポトーシス細胞
3. Annexin Vのみに染まる初期のアポトーシス細胞

が観察されます（図参照）。

分析は使用するキットの構成試薬にしたがって、488nmレーザーまたはアークランプを搭載したフローサイトメーターで行います。あるいは、蛍光顕微鏡や適切なフィルタを備えたセルイメージングシステムも使用できます。

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