Kaluza入門:統計値

ここでは、Kaluza解析ソフトウェア*で統計結果を表示するためのオプション、より高度な計算を実行する方法、Kaluzaから統計結果をエクスポートする方法について説明します。

フローサイトメトリーでは、細胞サブセットの頻度や、平均蛍光強度といった他の統計結果の算出が、しばしば実験に含まれます。Kaluzaには、統計結果を表示するための方法がいくつか用意されています(図1)。

Overview of statistic results display in Kaluza

図1. Kaluzaでの統計結果表示の概要A) ゲートラベルに表示されるGate Statistics(ゲートの統計値) B) プロットの下にあるStatisticメニューで設定された統計値 C) Gate Statistics Table(ゲートの統計値テーブル)には、基本的な統計結果と、ゲートの色とゲート階層に関するオプション情報が表示されます。D) 統計結果を表示するためにカスタマイズされた情報テーブル。プロットは例示のためのイメージです。

Outline

詳しい手順については、Kaluza Analysis Flow Cytometry Software IFU C10986を参照してください。この文書は取扱説明書に代わるものではありません。このテクニカルノートのデータは、PBMCサンプルを用いてドライ抗体試薬 チューブで染色し、フローサイトメーターCytoFLEX LX* (PN: C40324)で取得し、Kaluza 解析ソフトウェア* を使用して解析し、作成されたものです。 
プロットは説明のみを目的としています。

ゲートラベルに表示されるGate Statistics

基本的な統計結果を素早く把握するには、それらの結果を関連するゲートで直接表示すると便利です(図2)。これをKaluzaで実現するには:
  • プロットとゲートを作成して、関心のある集団を同定します。プロットとゲートの作成方法について詳しくはKaluza Analysis Flow Cytometry Software IFU C10986を参照してください。
  • ゲートを右クリックし、ラジアルメニュー>Displayにアクセスして、ゲートの表示方法を変更します。Statisticドロップダウンでは、プロット上に直接統計値を表示するかどうかを選択できます。Statisticのオプションには、All、Number、% Total、% Gatedがあります。また、統計ラベルを含めることもできます。
  • Statisticのドロップダウンリストを選択し、希望する統計値を選択します。
  • ラベルを表示する場合は、Show Labelの隣にあるチェックボックスを選択します。
  • Xを選択して処理を完了するか、ダイアログボックスの外をクリックします。
Kaluza Statistic options in Display menu
図2. DisplayメニューのStatisticオプション

Statisticsメニューを使って設定されたプロットの下の統計値

プロットの下に統計結果を表示すると、より幅広い統計値の中から選択することができます(図3)。

  • プロットの下に表示する統計値を選択するには、ラジアルメニュー>Statisticsにアクセスします。これによってプロットに表示する統計値を選択できます。
  • ボタンやチェックボックスを使って選択します。 オプションは以下の通りです:
    • Population Statisticsでは、Number, % Total, % Gatedを含む、プロット内のすべてのイベントに関する統計値を選択できます。
    • X Statistics/Y Statisticでは、Median(中央値)、Arithmetic Mean(算術平均)、Mode(最頻値)、Standard Deviation(標準偏差)、CV(変動係数)、Half Peak CV(変動係数の半値)、Minimum(最小値)、Maximum(最大値)、Geometric Mean(幾何平均)といった、X軸とY軸に関する統計値を選択できます。
Kaluza Statistics menu with Statistics Options dialog window

図3. StatisticsオプションのダイアログウィンドウとStatisticsメニュー

成功のためのヒント

Absolute Count(絶対数)の統計値を表示するには、計算を行う前に入力が必要です。Protocol Optionsペインの Absolute Count Settingsを設定する前に、Cells/μL (Absolute Count) の統計値が選択されている場合は、プロットに###と表示されます。

Statistics Visible(統計値の表示)は、選択した統計値をプロット上に表示します。選択を解除すると、既に選択した統計値は保持されますが、プロットには表示されません。デフォルトでは、Statistics Visibleが選択されています。

Show the "All" Gate(全てのゲートを表示)では、全てのゲートの統計値を表示するかどうかを選択することができます。“全ての”ゲートには、プロット上のすべてのイベントが含まれます。個々のゲートのチェックボックスで、どのゲートの統計値を表示するかを選択することができます。

Statisticsオプションを使用すると、整数や分数において桁区切り記号を使用したり、分数やパーセントにおいて小数点以下の桁数を0から4の間で選択したりというように、統計値の外観を体系的に変更することができます。

Gate Statisticsテーブル

Gate Statisticsテーブルには、定義されたゲートについて選択された統計値の一覧が表示されます(図4)。デフォルトでは、ゲートは階層順に表示されます。

Kaluza Gate Statistics Table

図4. Gate Statisticsテーブル

  • Plots & TablesリボンタブからGate Statisticsアイコンを選択し、シート上の希望の場所にドラッグします。
  • ゲートを選択し、表示順を指定するには:
    • 空のテーブルの中を右クリックして、ラジアルメニュー > Dataにアクセスします。
    • Composite Protocolで作業する場合は、Input Data Setドロップダウンを選択して希望するData Setを選び、テーブルに使うData Setを選択します。
    • テーブルに表示されるゲートを選択するには、以下のオプションから選択します。
      • Add All Gates:Data Setに関連するすべてのゲートを追加します。
      • Remove All Gates:既にテーブルにあるすべてのゲートを削除します。
      • Add All Colored Gates:色が割り当てられているゲートのみを追加するにはこのボタンをクリックしてください。
      • Select Gates:Gate Statisticsテーブルに表示するゲートを手動で指定できます。特定のゲートを選択するには、以下の手順に従います。:
        1. Select Gatesハイパーリンクを選択します。ポップアップメニューが開き、ゲートの種類が表示されます。
        2. Gate Statisticsテーブルに追加したいゲートの種類にマウスを合わせ、追加で表示されるポップアップウィンドウから、テーブルに追加したいゲートを選択します。追加したいゲートのタイプごとに、この手順を続けます。

以下の動画では、Kaluza 解析ソフトウェアで統計テーブルを管理する例を紹介しています。

 

成功のためのヒント

  • Gate Statistics Tableを使用すると、Show Logicを選択することでBooleanゲートのロジックを表示することができます。
  • ゲートは、次のようにしてテーブルに追加することもできます。
    • Color Precedenceペイン内からゲートを選択し、テーブルにドラッグ&ドロップします。
    • プロットからゲートを選択した状態で Altキーを押し、テーブルの中にドラッグ&ドロップします。
  • テーブルに表示されるゲートの順番を選択するには、以下のオプションから選択します。
    • Color Precedence: Color Precedenceペインに表示されている順番と同じ順番でゲートが表示されます。
    • Alphabetical: アルファベット順にゲートが表示されます。
    • Hierarchical: 親子関係を示すようにゲートが表示されます。
  • Gate Statisticsテーブルに統計値を追加するには、テーブルの上にカーソルを置いて右クリックし、ラジアルメニュー>Statisticsにアクセスします。
    • テーブルに表示されるゲートの統計値を有効にするには、Statistics Visibleのチェックボックスを選択します。
    • テーブルに表示するPopulation Statistic(集団の統計値)を選択するには、希望するオプションに対応するチェックボックスを選択してください。
    • Parameter Statistics(パラメータの統計値)では、各ゲートの個々のパラメータに対して表示される一つの統計値について、値を含めるかどうかを選択することができます。
      • Statisticドロップダウンで、パラメータに表示する統計値を選択します。
      • Select Parameterリンクを選択し、ポップアップメニュー/サブメニューから目的のパラメータを選択します。

統計結果の表示にカスタマイズされたInformation Table

Information Table(図5)とInformation Sheet(図6)を使用すると、FCSキーワード、統計値、数式などのデータセット情報を解析に含めることができます。Information Tableは2列しかないので、Name(名前)とValue(値)のみを含むデータ(キーワードや統計値など)を提示するのに適しています。Information Sheetは表計算アプリケーションに似ていて使いやすく、高度なカスタマイズが可能です。必要な数だけ列を追加することができ、列の幅を調節できるので、数式やテキストを入力するのに適しています。

Kaluza Report Sheet with Information Table

図 5. Information Tableを含むレポートシート

Information Table

  • Plots & Tablesリボンタブから、Informationアイコンのドロップダウン矢印を選択し、Informationを選択します。テーブルがシートの下部に追加されます。
  • テーブルにKeywordsを追加するには
    • テーブルの左下にある<Add Keywords>のハイパーリンクをクリックします。Add Keywordsの設定ウィンドウが表示されます。
    • Compositeで作業する場合はInput Data Setドロップダウンを選択し、キーワードを引き出すデータセットを選択するか、All Data Setを選択して、各データセットのキーワードのコピーを追加します。
    • キーワード値(キーワード、説明、またはその両方)とともに表示されるデータの種類を選択します。
注: パラメータのNamesとDescriptions(常に Parametersペインで定義されたとおりに表示されます)以外のキーワードは変更できません。ソースファイルから得られたものと同じように表示されます。
  • 統計値を追加するには:
    • <Add Statistic>ハイパーリンクをクリックして、Add Statistic設定ウィンドウにアクセスします。
    • Add Statisticウィンドウから必要なオプションを選択します。オプションには以下のものがあります。
      • Show Data Set(データセットを表示):データセットの名前を統計値に含める場合は、このチェックボックスを選択します。
      • Show Gate(ゲートを表示):ゲート名を統計値に含める場合は、このオプションを選択します。
      • Input Data Set(データセットを入力):Compositeで作業する場合は、Input Data Setドロップダウンを選択してから、統計値を表示するデータセットを選択するか、All Data Setsを選択して、各データセットからの統計値のコピーを追加します。
      • Input Gate(ゲートを入力): 該当する場合、統計値の入力ゲートを選択します。
      • Statistic(統計値):ドロップダウンから、Information Tableエントリに表示する統計値を選択します。統計値を選択すると、Parameterセクションが展開され、パラメータを選択することができます。
    • Parameter以下で、テーブルの統計値とともに表示される情報のオプションを選択します(以下のいずれか、またはすべてを選択します)。
      • Show Name: パラメータのNameを表示します。
      • Show Description: パラメータのDescriptionを表示します。
      • Show Scale: パラメータのスケールタイプを含めます。
  • Formula(式)を追加するには:
    • テーブルを右クリックし、ラジアルメニュー>Dataにアクセスします。
    • Add a row to the information tableボタンを選択します。
      テーブルの各セルには、一意の数式を入れることができ、キーワード、統計値、連結テキストの表示や、足し算、引き算、乗算、除算などの計算に使用できます。
    • Nameフィールドには、数式の名前を入力します。
    • Value欄に計算式を入力すると、計算された値がテーブルに表示されます。
以下の動画では、情報テーブルや情報シートの作成例を紹介しています。

 

Information Sheet

Information Sheetは、スプレッドシートに似た見た目で、高度にカスタマイズ可能なテーブルです。このテーブルでは、数式やテキストを直接セルに入力することもできますし、列のキャプションがスプレッドシートの列タイトルと一致するように設定した後、表計算アプリケーションから内容を直接コピーすることもできます。

Kaluza Information Sheet example

図6. KaluzaのInformation Sheetの例
 
Information Sheetの作成方法や内容の設定方法については、Kaluza Analysis Flow Cytometry Software IFU C10986をご参照ください。

統計値のエクスポート

以下の場所にある統計値は、*.csv スプレッドシートにエクスポートすることができます(図7)。

  • ラジアルメニュー> Statisticsにアクセスしたプロット
  • Comparison(比較)プロット
  • Information tableまたはInformation Sheet

選択したProtocolから統計値をエクスポートするには (この手順を完了する前に統計値を設定する必要があります):

  • Analysis Listで、統計値をエクスポートしたい行を選択します。
  • 選択したAnalysis Listの行のすべてのプロットシートとレポートシートをエクスポートするには、 選択> Export > Export selected statisticsを選択します。

または

  • 現在のシートからのみ統計値をエクスポートするには、選択> Export > Export statisticsを選択します。Export Statisticsウィンドウが表示されます。
    エクスポートが1つの項目のみの場合、名前を入力するオプションがあります。これが現在のエクスポートに関連している場合は、File nameフィールドにファイル名を入力します。
  • *.csvファイルを保存するフォルダを参照して、OKをクリックします。
Kaluza Analysis List menu options including Export selected statistics

図 7. Export selected statisticsを含むKaluza Analysis Listのメニューオプション

成功のためのヒント

Kaluza Analysisでは、1つの解析につき最大3つの.csvファイルを作成することができますが、その数は適用されるプロット/テーブルが含まれているかによって異なります。統計値をエクスポートして複数の.csvファイルが作成された場合、ファイルは自動的に以下の形式で保存されます:

  • プロットの統計値: データセット名_プロトコル名_statistic.csv
  • 比較プロット: データセット名_プロトコル名_comparison.csv
  • 情報テーブル: データセット名_プロトコル名_information.info

 

* 研究用としてのみご利用いただけます。診断用途には使用しないでください。