Ⅰ.はじめに
フローサイトメトリーは、原子爆弾製造のマンハッタン計画後の大型プロジェクトの一環として、1960年代に、アメリカ政府の膨大な予算投下により、NIHを通じて、ロス アラモス国立研究所、ローレンス リバモア国立研究所などで、放射能の人体への影響、特に染色体に対する影響を測定する装置として開発されました。核のDNAを蛍光染色した細胞1個ずつを高速で測定し、核DNA含量の分析と分取を行う装置でした。ロス アラモスのVan DillaらのグループがWallece Coulterと共に、今日のセルソーターの原型とも言える直交型光学系とレーザー用いたフローサイトメーターを1967年に開発し、世界で初めてDNA細胞周期ヒストグラムの取得に成功しまた。
EPICSフローサイトメーターは、1969年ロスアラモスのパーティクルテクノロジー研究所にて開発をスタートし、1972年FASEB展示会にて、世界で初めてEPICSセルソーターのプロトタイプが、発表されたました。その後も改良が重ねられ、1974年にEPICS® が製造され、NIHに納入されました。
初心者の方々に最新のフローサイトメトリーの技術情報をお伝えすることを主眼に編集し、フローサイトメトリーの基礎と応用を、最新のアプリケーションを踏まえて平易に記載しました。最新のフローサイトメトリーの入門書として、研究者の一助になれば幸いです。