LS 13 320 XRの性能

粒度分布測定装置LS 13 320 XR は、非球形粒子やサブミクロン粒子の粒径測定に威力を発揮する最新のレーザー回折法やPIDS技術を搭載しています。レーザー回折法黎明期では、粒径の測定にはフラウンフォーファー回折理論のみが使用されていました。レーザー回折法には数多くの利点があり、現在では、レーザー回折粒度分布測定装置は単純な回折効果だけを利用するわけではなく、ミー理論に基づきより広い角度で散乱光の強度を測定しています。

PIDS技術の利用

ベックマン・コールターにつづき、いまではレーザー回折機器を販売する多くのメーカーが、広い散乱角度および短い波長を用いて小さな粒子の粒径を測定しています。しかし、直径数十nmといったさらに小さな粒子の粒径測定は、これら2つの手法のみでは達成できません。散乱角度をどれほど広くとっても、角度依存的な散乱強度の変動が少なく、大幅な改善は得られません。図1に、小さな粒子の広範囲にわたる角度変動を3D表示で示します。200 nmより小さい粒子では、広い散乱角度および短い波長の2つの手法の利点をもってしても正確な粒径を得ることは難しくなります。

Mie Scattering Intensity

Figure 1: 3D display of Mie scattering intensity


そこで、各メーカーは2つの方法を開発しました。一つは、測定された下限値からさらに下限値へと外挿する方法であり、ときに粒径測定の理論的な下限値である10 nmを下回ることもあります。もちろん、この方法では不確実性が生じたり、さらには外挿した領域にてまったく誤った情報が得られたりします。もう一つの別の手法は、散乱光の偏光効果を利用することです。

小さな粒子では、垂直偏光の散乱光は、水平偏光の散乱光とは散乱パターンや微細構造が異なります。小さな粒子の水平偏光の散乱強度のおもな特徴は、90°付近で最小値が観測されることです。大きな粒子では、この最小値の角度はより大きな角度に移行します。このように、小さな粒子の場合、垂直偏光の散乱強度および水平偏光の散乱強度のコントラストはいずれも小さいのですが、その差によって識別しやすい微細構造が明らかとなり、小さな粒子の粒径測定が可能になります。大きい角度で偏光効果と波長依存性を組み合わせることによって、粒径測定の下限値は理論的な限度である10 nmの範囲にまでほぼ拡大されました。この組み合わせによる手法が、ベックマン・コールターが特許を取得した偏光散乱強度差計測(Polarization Intensity Differential Scattering)技術なのです。

Scattering from Different Polarizations

Figure 2: Scattering from different polarizations

 

偏光効果の原理は以下のように理解できます。光の波長よりも大幅に小さい、きわめて小さな粒子が光ビームの中に存在する場合、その光の振動電場が粒子の振動双極子モーメントを誘起します。つまり、その粒子を構成する原子のもつ電子が、静止している粒子に対して前後に動きます。この誘起された電子の動きは電場の振動の方向であり、そのため光ビームの伝播方向に対して垂直になります。光には波動性あるため、振動している双極子は振動方向を除くすべての方向に光を発します。検出器が振動方向に向いている場合、各双極子からの散乱光を受けません。光ビームが垂直方向または水平方向のいずれかに偏光している場合、任意の角度に対する垂直偏光の散乱強度および水平偏光の散乱強度は異なります。この垂直偏光の散乱強度と水平偏光の散乱強度の差がPIDSシグナルと呼ばれます。粒子が大きくなるにつれて、粒子内の干渉により粒子の挙動が単純な双極子の挙動から逸脱し、散乱パターンは複雑になります。小さな粒子では、PIDSシグナルはおおむね90°を中心とする二次曲線となります。粒子が大きくなるほどこのパターンがより小さな角度へ移動し、散乱係数により二次ピークが現れます。PIDSシグナルは光の波長に比例した粒径に依存するため、いくつかの波長におけるPIDSシグナルを測定することによって粒径分布に関する有用な情報が得られます。

図3はピーク値のシフトを示しており、様々な直径の粒子に関するコントラストの変化が明確に示されています。また、PIDSシグナルは波長ごとに異なるため(長波長ほど平坦になる)、いくつかの波長においてPIDSシグナルを測定することにより、粒径測定のさらなる改良に有用な追加の散乱情報が得られます。

図3から、対称軸のシフトに加えて、100 nmの粒子や、さらには50 nmの粒子でも散乱角度パターンが認識されます。理論的なシミュレーションおよび実験の両方から、PIDS技術を使用しない場合、散乱強度から約200 nm未満の小さな粒子の粒径を正確に測定することは困難であり、おそらく非現実的であろうことが検証されています。広い散乱角度、短い波長、偏光効果の併用によって、光散乱を用いたサブミクロン粒子の測定の精度が向上します。

PIDS Shift in Peak Value

Figure 3: Shift in peak value


図4に、PIDS技術を用い、複数の波長(λo = 475、613、750、900 nm)および最大144°の散乱角度により、偏光効果あり(実線)および偏光効果なし(破線)でのレーザー回折より得られた、3つのピークをもつ典型的な粒径分布を示します。縦の点線は、販売業者により報告された、混合液中のポリスチレンラテックス粒子の直径公称値です。PIDS技術を用いない場合、広い散乱角度と短い波長で収集された情報を用いても最小の成分は測定できませんでした。図5は、図4のサンプルの走査電子顕微鏡による画像で、3種類の大きさの粒子が見られます。

要約すると、広い散乱角度、短い波長、偏光効果の3つの手法すべてを用いた場合のみ、10 nmという大きさの粒子を、外挿によるのではなく、正確に測定することができました。技術の混合はなく、すべてのシグナルは同じ散乱現象から得られたものであり、通常のレーザー回折法による測定と同様に、単一のデータ収集プロセスにおいてまとめて処理されます。

Trimodal Mixture of PSL

Figure 4: Trimodal mixture of PSL

 

Electron Microscopic Image

Figure 5: Electron microscopic image

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