友情のpHメータ物語
1934年、カリフォルニア工科大学の助教授をしていたアーノルド O.ベックマン博士(当時34歳)は、友人の科学者グレン・ジョセフから、ある相談を受けました。ジョセフは、カリフォルニア果実栽培業者取引所の分析化学者として、レモンジュースの酸度分析をしていましたが、当時の測定方法には問題がありました。当時、酸度測定にはガラス電極とガルバノメータ(電位差計)が使われていましたが、それらは大きくて不安定で大変壊れやすく、実用的ではありませんでした。
ベックマン博士は、ベル研究所Bell Labsで習得した最新技術を駆使して、真空管を使った小型で高精度の酸度計の設計図(スケッチ)をジョセフに渡しました。しかしこれを最初に組み立てた無線通信技師は、整流回路設計を正しく理解できなかったため、正しく動作しませんでした。そこでベックマン博士は、自らこの酸度計を組み立ててジョセフに贈りました。世界初のpHメータの誕生です。
pHメータは正しく動作し測定ができましたが、また問題が発生しました。ジョセフの同僚達がこの便利な酸度計を次々と借りに来たため、ジョセフ自身がまったく使えなかったのです。
そこで、ベックマン博士は、ジョセフのために、pHメータをもう一台製作しました。それ以降、このpHメータは、名機モデルGの登場などで、数十万台の販売台数を数え、「友情のpHメータ」として業界の神話となりました。ベックマン・コールター社は限りない数のpHメータを世に送り出し、世界中の研究者、品質管理担当の方々の要望にお応えしてきました。
(後に、ベックマン博士は、分光光度計も発明します。)
世界初のpHメータが開発されてから久しいですが、常に最高の分析結果を追求し続けるベックマン・コールターは、幅広い種類のpH電極を揃え、今日の研究者にとっての「レモンジュースの酸度分析」-すなわち「課題解決」のためのご相談をお待ちしております。
世界初のpHメータ
アーノルド・O・ベックマン博士